eラーニングシステムは、多くの企業で導入が進んでいます。便利なeラーニングシステムですが、自社に導入する場合は、事前に確認しておきたいことが多くあります。
本稿では、導入手順や導入時の検討ポイント、さらに導入効果や活用事例についてまとめました。eラーニングシステムの導入を検討されている場合は、ぜひ参考にしてください。
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eラーニングシステムを導入して得られる11の効果
eラーニングシステムを導入すると、数多くの効果が得られます。具体的にどのような効果なのかを詳しく解説します。
1、学習の効率化と教育の均質化
eラーニングシステムは、教材さえ用意すれば、受講者は同じ教材を利用して学習を進められます。対面学習の場合、教育の質は講師の質に左右されます。一方、eラーニングシステムなら誰にでも同じ教育を提供可能です。
2、「いつでもどこでも」学習可能
対面学習の場合は、受講場所までの移動時間もあり、受講日は平日がほとんどなので、仕事の都合もつけなくてはなりません。多忙な従業員の場合、受講の時間を確保するのも難しい場合があるでしょう。
クラウド型のeラーニングシステムは、社外からアクセスできます。忙しくてなかなか教育を受講できないでいる従業員も、空き時間を利用して、いつでもどこでも学習可能です。
3、好きなデバイスで学習可能
クラウド型のeラーニングシステムは、スマートフォンなどのモバイルデバイスでもアクセス可能です。持ち歩けるモバイルデバイスなら、通勤電車の中など場所を選ばす受講可能できます。また、自分が普段使っているデバイスなら、操作に悩むことなくスムーズに学習を進められます。
4、マイペースで何度でも学習可能
対面学習は1度きりですが、eラーニングシステムなら何度でも受講可能です。1回だけでは完全に理解できなかった場合でも、何度も学習を繰り返すことで理解度を上げられます。
5、研修コストの徹底削減
対面学習の場合は、講師の人件費、学習場所のレンタル料、受講者の交通費などさまざまなコストがかかります。遠隔地に行く場合は、宿泊費や出張旅費も必要です。eラーニングシステムなら、受講のために移動する必要はなく、これらの費用は不要です。
ただし、eラーニングシステムの運用にはシステムの導入費用や月額料金、教材を作成または購入する費用がかかります。それでも、eラーニングシステムの運用コストと対面学習のコストを比較すると、総合的にはシステム化の方が低コストで済みます。
6、視覚効果でより多くの情報伝達が可能
eラーニングシステムの教材は、シンプルなテキスト形式だけでなく、PowerPointなどのスライド画像や、動画コンテンツなども利用できます。特に動画コンテンツは、テキストのみの教材に比べてより多くの情報伝達が可能です。教材を作りこむことによって、同じ時間の学習でもより多くの知識を伝えられます。
7、資料配付の手間削減
対面学習の場合は、教育資料の配付が必要です。教材の印刷代も必要であり、配付の手間もかかります。また、受講後に持ち帰る際、紛失する可能性もゼロではありません。eラーニングシステムを受講する場合は、紙の教育資料は不要です。画面の中に表示される教材を見ながら学習を進められます。
8、受講者に合わせたプログラム構築
対面式の研修では、全員に対して均一な教育を行い、受講者のレベルによって教育内容を変えることはできませんでした。受講者の理解度によってクラス分けはできても、受講者個人のレベルに合わせるまでの決め細やかな対応は困難です。
eラーニングシステムの場合は、受講者の理解度に合わせて学習プログラムを変更することができます。適切なレベルの学習ができるため、受講者の理解は深まり、学習効果を最大化することも可能です。
9、学習履歴の完全管理
eラーニングシステムは、受講者の学習履歴をすべて記録し、過去データとして管理できます。学習履歴は従業員個人のフォローに利用できるほか、受講者全体の理解度分析などにも使えます。分析によって理解度が進みにくい部分を見つけ、教材のブラッシュアップなどにも活用可能です。
10、教材の変更やアップデートも簡単
eラーニングシステムは、どの企業でも利用するビジネス関係の教材を提供している製品もあれば、自社で教材を用意するタイプの製品もあります。システムで提供している教材は、サービス提供者側で随時最新の内容に更新され、自社でメンテナンスの必要はありません。
自社で教材を用意している場合も、教材データはシステム内で一元管理しているため、複数の担当者で教材を更新できます。単純に教材ファイルを共有して更新するのに比べると、版管理もシンプルです。
11、教育場所の確保が不要で一度に多くの受講が可能
場所や時間の制約がないeラーニングシステムは、従業員数の多い企業にとって、大きなメリットがあります。対面で教育を行う場合、大勢の受講者が集まる場所を確保するだけでも大変です。人数によっては、時間をずらして複数回に分けて教育を進めるなどの手間もかかります。
eラーニングシステムなら受講場所の確保は不要です。また、一定の期間内に大勢の受講者が学習を進められるため、受講者が多くても特別な対応をする必要もありません。
このように、eラーニングシステムには数多くの導入メリットがあります。では、実際にeラーニングシステムを導入する場合、どのような点を検討しなければならないでしょうか。
eラーニングシステム導入時の検討ポイント6つ
eラーニングシステムを導入する際は、いくつか事前に検討しておきたいことがあります。どういうことを検討するべきかを6つのポイントにまとめましたのでチェックしてください。
1、eラーニングシステムの導入目的を明確化
まず、どういう目的でeラーニングシステムを導入するのか、その目的を明確にしてください。以下は、eラーニングシステムの導入目的例です。
- 自社で教育をしていたが人手不足もありeラーニングに移行したい
- 定番の教育はeラーニングシステムにして、自社独自の教育は別の教材を使用したい
- 社内教育の仕組みが整備されていないのでシステム化したい
- 多数の受講者のスケジューリングや教育場所を確保する負担を削減したい
自社の教育体制は現状どうなっていて、どのような方向に改善したいのかを整理してから、製品の比較検討に進みましょう。導入目的がなかなか明確にならない場合は、解決したい経営課題から考えてみる事も検討してください。
2、必要な機能の明確化
eラーニングシステムの導入目的を明確にしたら、導入目的を果たすために必要な機能が何かを検討しましょう。
必要な機能を整理すると、導入の候補となるeラーニングシステム製品も数製品に絞り込むことができ、比較検討しやすくなります。
3、教材コンテンツの準備方法を検討
教材コンテンツの準備方法にはいろいろな方法があります。
- eラーニングシステムで提供される(あるいは購入する)教材をそのまま利用
- eラーニングシステムで提供される(あるいは購入する)教材をカスタマイズ
- 自社で一から作成
- これまで自社で作ってきた教材ファイルを流用
自社独自の教材を流用したいなら、教材ファイルを流用できる製品を選ぶ必要があります。ビジネスマナーなどの定番研修にはシステムで提供される教材を使いたい場合、教材を提供している製品を選ばなくてはなりません。
自前で教材を作る場合は、eラーニングシステムの教材作成機能を使うか、別途教材を作ってシステムにアップロードする機能があるかを確認します。教材コンテンツの準備方法を複数提供している製品もあるので、どの製品が一番使いやすいかを考えて選びます。
4、 利用開始時期を決定
教材を用意する場合、eラーニングシステムを導入したらすぐに使えるというわけではありません。教材を準備する時間が必要になるため、利用開始時期を明確にして、スケジューリングすることが重要です。eラーニングシステム導入前には、教材の準備期間も含めたスケジューリングを決めておきましょう。
5、eラーニングシステムの管理・運用体制を整備
eラーニングシステムの管理・運用体制も事前に整備する必要があります。一般的には、人事部門を中心に、各部門で教育をフォローする体制を整えます。また、eラーニングシステムを利用する従業員の範囲を確定して、必要なユーザID数を明確にすることも重要です。
6、学習履歴の活用方法を検討
eラーニングシステムの運用が始まると、学習履歴が蓄積されます。学習履歴の活用方法も検討しましょう。教育のエビデンス・従業員の能力把握や、進捗管理、教育の効果検証など、学習履歴の活用方法はさまざまです。
eラーニングシステムは製品によってデータの抽出や集計のしやすさ、学習履歴として保存できる項目の種類等に違いがあります。これらの違いも考慮して、自社で想定した活用方法ができるかどうかも忘れず確認しましょう。
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eラーニングシステム製品決定から導入までの4ステップ
eラーニングシステムの製品が決定した後、導入するまでにはどのような作業が必要になるでしょうか。導入までの流れを4ステップに分けて解説します。
1、契約の締結
eラーニングシステムのベンダーと契約を締結します。利用人数はこの時までに明確化し、どの料金プランを選ぶか、オプションはどうするかも事前に検討しましょう。
2、eラーニングシステムの動作環境を構築
オンプレミス型のeラーニングシステムは、社内に動作環境を構築します。カスタマイズが入る場合は、この段階で数ヶ月の時間がかかる場合もあります。クラウド型のeラーニングシステムを選んだ場合は、この作業はほとんどありません。教材の準備もこの段階で進めておくといいでしょう。
3、運用準備
システムの初期設定を行い、動作確認テストを実施するフェーズです。ユーザの登録や公開設定も行います。また、実際の運用を想定して操作し、システムの動きを確認するとともに、教材もシステムに取り込み、教材自体も入力ミスなどないか確認します。
4、運用開始
ここまでの準備が完了したらeラーニングシステムの運用を開始します。運用開始までにかかる期間は、クラウド型で1~3ヶ月、オンプレミス型はそれ以上です。
eラーニングシステム導入企業の活用事例
ここからは実際にeラーニングシステムを導入した企業の活用事例を紹介します。自社でeラーニングシステムを導入したらどうなるかを考えつつ、順番に見ていきましょう。
1、教育業界の例
ある専門学校では、働きながら学びたい学生のために用意している通信教育にeラーニングシステムを導入しました。学生のライフスタイルに合わせて、いつでもどこでも学習を進められるeラーニングシステムは、通信教育と相性がいい学習方法です。
eラーニングシステムを導入した結果、学生からは繰り返し学習できる点や、レポート提出もシステムから行える点が好評価でした。また通信教育の学生数も増加し、eラーニングシステムのメリットを活かせています。
2、製造業の例
ある製造業の会社は、自社製品の安全な使い方を教育するためにVRを取り入れ、より実感のある教育を目指しました。また、海外拠点の教育にも使えるよう、多言語対応も必要です。
eラーニングシステムを導入することで、VRを取り入れた教育を実施。体感型安全教育により、実感を伴う学習が可能に。さらに、多言語対応が可能なため、海外拠点でもeラーニングによる教育を行っています。
3、飲食業の例
全国チェーンの飲食業の会社では、全国のアルバイトに対して、紙の教育資料を送付して教育を行っていました。教育資料の配付は大きな負担に。さらに、紙の教育資料は有効活用されておらず、教育を徹底できていない点も問題でした。この会社では、これらの問題を解決するためeラーニングシステムを導入しました。
その結果、全国からeラーニングシステムにアクセスして教育を受けられるようになり、紙の教育資料の配付・改修作業は不要に。システムの管理画面から進捗状況を確認して未提出者へのフォローも簡単に行え、教育を徹底できるようになりました。
4、製薬・医療業界の例
ある製薬会社では、人数の多い営業職(MR)に対して、定期的に一斉テストを行っていました。既存のeラーニングシステムはオンプレミスで構築しており、きめ細かなカスタマイズが可能でしたが、コスト面は割高。また一斉テストの日は、トラブルが30~40件発生して対応が大変だったため、システムを刷新しました。
選んだ製品は、低コストで利用できるクラウド型のeラーニングシステムです。導入の結果、ランニングコストは3分の1に抑えられ、営業職の一斉テストを実施してもトラブルが発生しなくなりました。
eラーニングシステム導入で効率のよい教育環境を構築しよう
eラーニングシステムを導入することで、より効率的な教育をオンラインで提供できます。受講者側はいつでもどこでも学習でき、繰り返しの学習もできるため、学習の理解度も深められます。eラーニングシステムの導入前には検討ポイントもあるため、順番に検討を進めて、製品の導入をスムーズに進めましょう。
eラーニングシステムの導入を検討する場合は、複数のサービスをよく比較し自社に適したものを選んでください。
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