この記事では、ZERO ウイルスセキュリティとマカフィー リブセーフを、6つの切り口で比較していきます。
セキュリティ機能、性能、使い勝手などの観点でそれぞれの製品の違いをじっくりと確認。それぞれ適したユーザータイプを探ります。
この2製品は、ともに使い方によっては最高のコスパを実現可能できるセキュリティソフトです。そのあたりの特徴も、じっくりとチェックしてみましょう。
【結論】ZERO ウイルスセキュリティとマカフィーはどちらがおすすめ？
先に結論からお伝えすると、それぞれのセキュリティソフトは、以下のようにおすすめできるユーザーが異なります。
ZERO ウイルスセキュリティがおすすめのユーザー
- セキュリティソフトにかかるコストをできるだけ抑制したい方
- セキュリティに関する基本機能のみの製品で十分な方
マカフィーがおすすめのユーザー
- たくさんのデバイスを使用している方、家族みんなのデバイスを守りたい方(利用可能台数無制限)
- 手頃な機能を分りやすいスッキリしたUIで使いこなしたい方
ZERO ウイルスセキュリティとマカフィー、6項目で違いを比較
ZERO ウイルスセキュリティとマカフィー リブセーフを機能、使い勝手などの以下の6つ観点で比較します。
- ウイルス検出能力
- セキュリティ機能
- 料金と利用可能台数
- 軽さ
- ユーザービリティ
- サポート
ウイルス検出能力
はじめは、両者のウイルス・マルウェアの検出能力を、第三者機関AV-TESTのテスト結果をもとに比較してみましょう。
【ZERO ウイルスセキュリティ】
| Real-World Testing | reference set | |
| 2023/10 | 96.2% | 99.9% |
| 2023/9 | 100% | 99.9% |
| 2023/8 | 98.1% | 100% |
| 2023/7 | 98.6% | 99.9% |
| 2023/6 | 97.9% | 99.9% |
| 2023/5 | 98.5% | 100% |
※ZERO ウイルスセキュリティの結果は同製品のセキュリティエンジンである「K7 SECURITY」の結果を用いています
【マカフィー】
| Real-World Testing | reference set | |
| 2023/10 | 100% | 100% |
| 2023/9 | 100% | 100% |
| 2023/8 | 100% | 100% |
| 2023/7 | 100% | 100% |
| 2023/6 | 100% | 100% |
| 2023/5 | 100% | 100% |
このテストでは、マカフィーが優秀な結果を残し続けています。この半年は満点をキープしていて非常に良好な成績です。
これに対し、ZERO ウイルスセキュリティの成績は少しふるいません。特にReal-World Testingを苦手としているようで、落ち込み幅がやや大きめの回もあり少々気になります。
以上の結果から、基本的な防護能力においてはマカフィーの方が上を行っていると判断して良いでしょう。
セキュリティ機能
続いて、それぞれの製品が備えるセキュリティ関連のプラスαの機能を比較してみます。
| セキュリティ機能 | ZERO ウイルスセキュリティ | マカフィー |
| パスワードマネージャー | △ (オプション) |
〇 |
| セキュアブラウザ | ― | ― |
| バックアップ機能 | △ (オプション) |
― |
| 独自VPN | ― | △ （トータルプロテクションのみ） |
| Webカメラ保護 | ― | ― |
| ダークウェブ監視 | ― | ― |
| ペアレンタルコントロール | 〇 | 〇 |
| データの完全消去機能 | △ (オプション) |
〇 |
現在のセキュリティ製品のトレンドは、「総合セキュリティソフト」を目指す方向にあります。製品ごとに搭載されている機能は異なりますが、今回取り上げているマカフィー リブセーフも、多くのセキュリティ機能を備えている総合ソフトです。
一方で、ZERO ウイルスセキュリティはその逆を行くコンセプトで作られています。標準搭載の機能を、思い切りスリムに絞った製品だからです。
その点を踏まえつつ、両者の特徴を確認していきましょう。
ZERO ウイルスセキュリティの特徴
ZERO ウイルスセキュリティは、本体のセキュリティ機能を大胆に絞ることで、低コストを実現した製品です。機能面から見ると、以前の「ウイルス対策ソフト」に近い構成のソフトウェアとなっています。
そのため、機能の豊富さで比較すると、ほとんどのセキュリティソフトに対して優位となるポイントはありません。今回の対マカフィー リブセーフに関しても、同じことが言えます。
その代わり、このソフトが持っているのが「圧倒的低コスト」というメリットです。
できるだけ低コストで、最低限の防護機能を満たせればOKという方におすすめのセキュリティソフトと言えるでしょう。
マカフィー リブセーフの特徴
マカフィー リブセーフには、基本的な防護機能のほかパスワードマネージャー機能・データの完全消去機能といったプラスα機能が標準で搭載されています。ZERO ウイルスセキュリティにはない「総合セキュリティソフトの機能性」が、大きな差別化要素になるでしょう。
特に、データの完全消去機能は昨今のマルチデバイス時代にマッチした機能です。スマートフォンにせよパソコンにせよ、使い続けていくうちにデバイスの中にはユーザーの個人情報が蓄積されていきます。
使い込んだデバイスや外付けハードディスク、USBメモリなどを処分・譲渡する際にデータの完全消去ができていないと、セキュリティの観点から安心できません。
専用のソフトを購入してデータを消去する方も多いですが、マカフィー リブセーフにはデータの完全消去機能が標準搭載されているため、追加でソフトを購入する必要がありません。
料金と利用可能台数
ZERO ウイルスセキュリティとマカフィー リブセーフの価格と利用可能台数は、以下の通りです。
【ZERO ウイルスセキュリティ】
| 料金（税込） | 1,980円／無制限 | 3,980円／無制限 | 5,940円／無制限 |
| 利用可能台数 | 1台 | 3台 | 5台 |
【マカフィー】
| 料金（税込） | 5,980円／1年 | 12,000円／3年 |
| 利用可能台数 | 無制限 | 無制限 |
※ZERO ウイルスセキュリティのパスワードマネージャー、バックアップ、ファイルの完全消去機能はそれぞれ1,650円
両者の料金プランは、非常に対照的な組み合わせとなっています。
ZERO ウイルスセキュリティには「利用期間が無制限」という特徴があり、マカフィー リブセーフには「利用可能台数が無制限」という特徴があるからです。
ZERO ウイルスセキュリティの台数プランは1台、3台、5台のため、スマホやタブレットを含めた利用デバイスの数は5つ以内であれば、セキュリティソフトにかかるコストをトータルで大幅に抑制できます。ただし、デバイスを買い替えた際に新しいデバイスに引き継ぐことはできません。最初にインストールしたデバイスでのみ、更新料0円で使い続けられます。
それに対し、マカフィー リブセーフは1ライセンスで利用できるデバイス数が無制限かつ家族でのライセンス共有が可能なため、家族が多い方や一人当たりの使用デバイスが多い方など台数次第でZERO ウイルスセキュリティよりも1台あたりのコストが安くなるケースもあり得ます。
ちなみに、マカフィー リブセーフは通常1年版が12,980円（税込）、3年版が31,580円（税込）ですが、公式サイトでは大幅な割引が行われているため、上記価格での購入が可能です。
どちらも使い方次第で非常に優秀なコストパフォーマンスを発揮する料金体系ですので、コストを基準に選ぶ場合は、「インストールしたいデバイスの数」がポイントになります。少ない台数ならZERO、台数が多くなるとマカフィーの方がお得です。
軽さ
ZERO ウイルスセキュリティとマカフィーの動作の軽さを、AV-TESTの「Performance」テストから比較してみましょう。両者の結果をまとめると、以下のようになります。
【Performanceテスト結果】
| テスト項目 | ZERO ウイルスセキュリティ | マカフィー |
| Webサイト表示性能低下 | 30％ | 22％ |
| アプリのDL性能低下 | 1％ | 1％ |
| アプリ起動性能の低下 | 4％ | 4％ |
| アプリのインストール性能低下 | 7％ | 23％ |
| ファイルコピーの性能低下 | 2％ | 1％ |
AV-TESTによる性能テストでは、この2ソフトは対照的な性格を示しました。Webアクセス性能に優れるマカフィーとアプリのインストール性能に優れるZERO ウイルスセキュリティという構図です。
トータル性能は互角と言って良いかもしれませんが、ユーザーが実際に触れる機会が多いのは圧倒的にWebアクセスです。このテスト結果から見るとマカフィーの方が実使用感が良く感じられる可能性があります。
テストの時期により性能の優劣も微妙に変化していますが、この期間のテストではマカフィーの方が操作感が良く感じられる可能性が高そうです。
ユーザビリティ
正規のプログラムをマルウェアと判定してしまう誤検出などをチェックする「Usability」テストの結果も、確認しておきましょう。
誤検出など、セキュリティソフトが招く問題が多いほど、ユーザビリティが低い＝使いづらいと考えられます。
【Usabilityテスト結果】
| テスト項目 | ZERO ウイルスセキュリティ | マカフィー |
| Webサイトの誤ブロック | 0 | 0 |
| 正規のソフトの誤検出 | 0 | 3 |
| ソフトインストール時の誤警告 | 1 | 0 |
| ソフトインストール時の誤検出 | 0 | 1 |
このテストは両者ともあまり得意としていない時期もありましたが、2023年の段階ではどちらもかなり安定した挙動を示しています。いずれも誤検出は1件だけでした。
今ならどちらの製品も安心して利用出来ますが、過去の状況まで勘案してこの2製品でより安定した動作を望むなら、マカフィー リブセーフを選ぶ方が良いでしょう。
また、ユーザビリティを重視したい方は、ESETやカスペルスキーといったより安定感のあるセキュリティソフトも検討してみてはいかがでしょうか。
サポート
ZERO ウイルスセキュリティとマカフィー リブセーフ、それぞれのサポート内容は以下の通りです。
| ZERO ウイルスセキュリティ | マカフィー |
| ・電話（10時～18時） ・メール(24時間) |
・電話（9時～21時） ・チャット（9時～21時） |
ZERO ウイルスセキュリティのサポート窓口は、電話とメールの2つ。
リアルタイム応答が可能なのは電話のみになります。
対して、マカフィーには電子メールによるサポートがなく、代わりにリアルタイムチャットが利用可能になっています。電話の対応時間もマカフィーの方が長く、専用ツールを用いた「リモートサポート(遠隔操作)」を実施しているためより実践的なサポートを受けることも可能です。
リアルタイムでのサポートの手厚さを重視したい方はマカフィー リブセーフ、メールの窓口に魅力を感じるのでしたらZERO ウイルスセキュリティがおすすめとなりますね。
ちなみに、この2製品はセキュリティソフトとしてはサポート内容が特に充実しているわけではありません。より手厚いサポートが必要な方は、ウイルスバスターもチェックしてみてください。
ZERO ウイルスセキュリティとマカフィーおすすめはどっち？
ZERO ウイルスセキュリティは基本防護機能に絞った製品、マカフィー リブセーフは総合セキュリティソフトと言える中身を持つ製品です。
| ZERO ウイルスセキュリティ | マカフィー | |
| ウイルス検出能力 | △ | 〇 |
| セキュリティ機能 | △ | 〇 |
| 料金と利用可能台数 | ◎ | ◎ |
| 軽さ | 〇 | 〇 |
| ユーザビリティ | ○ | ○ |
| サポート | △ | 〇 |
また、コストパフォーマンスという観点からも、最初にインストールしたデバイスであれば更新料0円で使い続けられるZERO ウイルスセキュリティと、1ライセンスで利用可能台数に制限がないマカフィー リブセーフの特徴は対照的です。
これらの特徴、観点から、それぞれのソフトがマッチするユーザータイプをまとめます。
ZERO ウイルスセキュリティがおすすめの方
ZERO ウイルスセキュリティの強みは、導入コストと維持コストの圧倒的な低さです。販売価格が全セキュリティソフトの中でも最安級のうえ、「更新料0円」という極めて強力な特徴があります。
基本的な防護機能プラスα程度のシンプルなセキュリティ機能で十分であれば、非常にコスパの良いセキュリティソフトです。
注意点は、デバイスを乗り換えての継続利用はできないという点です。デバイス買い替え時にソフトをアンインストールして、新しいデバイスにインストールし直すという使い方はできません。
そういった意味では、1つのデバイスをできるだけ長く利用できる方に向いている料金体系とも言えます。
また、パスワードマネージャーなど、最近注目度が高まっている機能もオプションで追加可能ですが、それぞれある程度の費用がかかります。「機能を盛るとコスト面のメリットが薄れてしまう点」にも、注意してください。
マカフィーがおすすめの方
ZERO ウイルスセキュリティと比較するとマカフィー リブセーフは多機能で、総合セキュリティソフトとしての魅力が際立ちます。
さらに、コスパの観点からも、マカフィーの「利用可能台数無制限」は非常に大きな強みです。
家族全員のスマホやPCを一括して保護すれば、つまり、インストールするデバイス数が多くなればなるほど、マカフィー リブセーフのコスパは強力なものとなります。
また、ソフトの使いこなしやすさという点に関しても、マカフィーはなかなか優れた製品です。UIデザインには今風の新しいデザインテイストが取り入れられ、分りやすいダッシュボードとなっています。
セキュリティソフト乗り換え時の手順
ライセンスを更新して同じセキュリティソフトを使い続けるのではなく、セキュリティソフトを変更する際は注意が必要です。
具体的には、新しいセキュリティソフトをインストールする前に、以前使っていた製品のアンインストールをしておきましょう。アンインストールをせずに新しいセキュリティソフトをインストールしてしまうと、干渉しあって動作が重くなる、削除しあって不具合が起こるといった問題が生じてしまいます。
新規でセキュリティソフトを導入するのではなく、今のセキュリティソフトから乗り換えを行う際は、必ずそれまでのソフトをアンインストールしてから新しいソフトをインストールするようにしましょう。
まとめ
今回比較した2製品は、使い方次第でどちらも「コスパ最強」となりえます。コスト重視でセキュリティソフトを選びたい方は、今回のどちらかを選ぶことで、お得な利用ができるのではないでしょうか。
| ZERO ウイルスセキュリティ | マカフィー | |
| ウイルス検出能力 | △ | 〇 |
| セキュリティ機能 | △ | 〇 |
| 料金と利用可能台数 | ◎ | ◎ |
| 軽さ | 〇 | 〇 |
| ユーザビリティ | ○ | ○ |
| サポート | △ | 〇 |
最後に、それぞれのソフトがどんなユーザーにおすすめかという点を簡単にまとめておきますので、ご自身のニーズに合った方を選んでください。
ZERO ウイルスセキュリティがおすすめのユーザー
- セキュリティソフトにかかるコストをできるだけ抑制したい方
- セキュリティに関する基本機能のみの製品で十分な方
マカフィーがおすすめのユーザー
- たくさんのデバイスを使用している方、家族みんなのデバイスを守りたい方(利用可能台数無制限)
- 手頃な機能を分りやすいスッキリしたUIで使いこなしたい方
より幅広いセキュリティ機能を望む方にはノートン 360、誤検出が少ない安定した動作を求める方にはESETやカスペルスキーもおすすめです。