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【答え】イノチェンティ・ミニ
答えは「イノチェンティ・ミニ」です。
ミニ(MINI)は英国生まれの小型車です。ミニをベースとして主に外観に手を加え、イタリアにある機械工場のイノチェンティが作ったのがイノチェンティ・ミニでした。部品を輸入して組み立てる「ノックダウン」という生産方式で製造したクルマです。
イノチェンティ・ミニは運転席と助手席の側面の窓ガラス(サイドウィンドウ)に「三角窓」があるのが特徴です。英国のBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)が作る本家ミニは三角窓を省いていました。
三角窓を知る人は、今では少ないかもしれません。1960年代までは多くのクルマが採用していましたが、1970年代以降は姿を消しました。
三角窓は底辺の中央を軸に回転させることで開閉できます。冷房の付いていないクルマが多かった時代には、外気を車内に取り入れる際、窓ガラスを開けるよりも三角窓のところを部分的に開けたほうが、適度な風を車内に入れることができました。
戦後の新しい大衆車として英国で生まれたミニは、価格を抑えるため三角窓を省いたのかもしれません。一方で、イノチェンティは実用性を優先し、大衆車としてやや原価があがるとしても、使い勝手のよさを求めたのでしょう。
もうひとつ、イタリアらしい着想として、イノチェンティ・ミニはラジエターグリルにメッキの横線の入った黒の意匠を採用しています。オシャレな見た目にこだわっているところはイタリア製ミニならではのポイントです。
最後に、英国のミニとの大きな違いは、欧州大陸用の左ハンドル仕様になっているところです。英国は日本と同じ左側通行で、ミニも本来は右ハンドルなんです。
のちにイノチェンティ・ミニは、英国のミニの機構を使いながら、イタリアのカロッツェリア(車体をデザインしたり製造したりする業者)である「ベルトーネ」が独自に作った造形の車体を載せるようになります。このクルマを全く異なる外観のミニとして、1970年代~1980年代にかけて販売しました。
英国のミニは、2000年にドイツのBMWが買収するまで、基本を変えずに製造され続けました。1959年に誕生し、基となる機構を変えずに40年以上も生産を続けたところからも、ミニがいかに偉大な価値を持ったクルマだったかを改めて実感できます。
それでは、次回をお楽しみに!