実家で和菓子屋を営む父親が急死したことで、突然の相続問題に直面した三兄弟の四ツ葉桜子・初郎・優二。和菓子屋を継ぐのか、土地を3等分して店をたたむのか、財産価値9,200万円の実家を巡り、揉めていく3人のストーリーから円満に相続するためのコツを学びます。
第2回は土地の「相続額評価」と「時価」についてです。
土地の価格には「相続税評価」と「時価」がある
現金と異なり、土地の価格はタイミングによって変動します。相続税をおさめる際には「相続税評価額」によって計算します。
一方、「時価」は実際に土地を売るときの価格です。
相続税評価額
- 定義:相続税を計算するために国税庁が定めた評価額。
- 基準:路線価や倍率方式を基に算出される。路線価は、道路に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価格。
- 特徴:一般的に時価の80%程度。
時価
- 定義:市場で実際に取引される価格。
- 基準:不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に成立する価格。
- 特徴:市場の需要と供給により変動し、相続税評価額より高くなることも低くなることもある
違いのポイント
- 評価方法:相続税評価額は国税庁の基準に基づき、時価は市場の取引価格に基づきます。
- 変動性:時価は市場の状況により変動しやすいのに対し、相続税評価額は一定の基準に基づくため比較的安定しています。
四ツ葉家の場合、路線価は93万円とあります。路線価とは道路に相続税評価額が1本1本付いたもので、国税庁のホームページに表示されています。これに面積99.18平方メートルをかけると9,223.7万円になります。場合によっては評価を安くする方法がありますが、ここでは単純に9,223.7万円としています。
時価はこれ以上になることがほとんどです。相続税評価が時価の8割ということなので、単純に9,223.7万円÷0.8で計算しますと、1億1,529.6万円となります。