若きジウジアーロが手掛けた傑作、アルファロメオ「ジュリア・スプリントGT」は日本でも大人気の1台だ。今回はアルミニウム製ボディを採用して軽量化したレース向けのホットバージョン「GTA」を見てみよう。
“段付き”のボンネットが日本でも人気
「若きジョルジェット・ジュジャーロ(ジウジアーロ)の名声を飛躍的に高めた出世作が、アルファロメオの新世代中型クーペ『ジュリア・スプリントGT』であることは間違いない」というのが、「オートモビルカウンシル2025」の会場で見かけた説明プレートの文章だ。
ジウジ―ロが同モデルのデザインを仕上げたのは、徴兵中のイタリア軍キャンプでのことだったという。上官の許可を得て、自由時間をベルトーネの仕事に当てたそうだ。いわゆる“寄り目”にしたのは、当時常識的だったヘッドライトから始まる峰をフロントエンドの起点にしたくなかったからだと、ご本人が以前のインタビューで証言しているらしい。
1960年に先行デビューしていた2ドアクーペ「2000/2600スプリント」のテーマをさらにブラッシュアップして作り上げたのがジュリア・スプリントGTというクルマだった。デビューは1963年だ。ボディサイズは全長4,080mm、全幅1,580mm、全高1,315mm、ホイールベースは2,350mm。搭載するオールアルミ製1.6L 4気筒DOHCエンジンは106馬力を発生し、最高速度180km/hを実現していた。Fダブルウィッシュボーン、Rリジッドの足回りは軽快な走りをもたらした。
“寄り目”のデザインは前段で説明した通り。今回のオートモビルカウンシルのため来日したご本人も、実際にイラストを描いて説明してくれた。さらに、ボンネット先端に段差を持たせた表情も本モデルの特徴で、日本では“段付き”と呼ばれてファンに親しまれている。
展示モデルのGTAは、アルミニウム製ボディを採用して軽量化したレース向けのホットバージョン。GTAの「A」はイタリア語で軽量化の意味を持つ“Allegerita”の頭文字だ。車重はノーマルの1,040kgから大幅なダイエットを実施し、750kg近くまで軽くなっている。
搭載する1.6Lも、ツインプラグ化とウェーバーのツインキャブレターなどでチューンアップ。GTAはレースでも活躍し、1966年、1967年、1969年の欧州ツーリングカー選手権でクラスチャンピオンの座を獲得している。
フロントグリルのアルファの紋章やフェンダーの「クアドリフォリオ」(勝利の証である四つ葉のクローバー)と「disigno di Bertone」のバッジ、リアの「Giulia Sprint GTA」のエンブレムも美しく輝いていた。