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71 森口将之のカーデザイン解体新書

トヨタ「クラウンエステート」がクラウンシリーズの真打だと断言できる理由

JUL. 17, 2025 08:00
Text : 森口将之
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2022年に4つのボディを一気にお披露目して話題になったトヨタ自動車「クラウン」。最後に残っていた「エステート」が2025年3月に発売となった。すでに販売されている3つボディと比較すると、あらゆるシーンで使いやすく、走りはクラウンらしいことが印象的。最後発ならではのまとまりの良さが光る。

  • トヨタ「クラウンエステート」

    現行型「クラウン」シリーズの大トリを飾った「クラウンエステート」

エステートを名乗るも実体はSUV

トヨタ「クラウン」の初代がデビューしたのは今から70年前の1955年。現行型は16代目で、日本の乗用車の車種としてはもっとも長い歴史を誇る。

  • トヨタ「クラウンエステート」

    初代「クラウン」は1955年に発売となった

現行型は4つのボディを持つことが特徴。2022年にまず「クロスオーバー」、翌年に「スポーツ」と「セダン」を相次いで発売し、今年3月に残るエステートをデビューさせた。

  • トヨタ「クラウンクロスオーバー」
  • トヨタ「クラウンクロスオーバー」
  • 2022年に発売となった「クラウンクロスオーバー」

  • トヨタ「クラウンスポーツ」
  • トヨタ「クラウンスポーツ」
  • 2023年に発売となった「クラウンスポーツ」

  • トヨタ「クラウンセダン」
  • トヨタ「クラウンセダン」
  • 2023年に発売となった「クラウンセダン」

このうちセダンだけは伝統の後輪駆動方式を受け継ぐが、残りの3タイプはクラウン初の横置きパワーユニットの4輪駆動になっており、プラットフォームは共通だ。

エステートの登場を最後にしたのは、多くの人が思い描くSUVやクロスオーバーの姿に近かったことが理由だと思っている。間違いなく売れ筋になりそうだが、一方で、クラウンとSUVが結びつかないというユーザーも多そうだからだ。

エステートのボディサイズは全長4,930mm、全幅1,880mm、全高1,625mm、ホイールベースは2,850mm。全長とホイールベースはクロスオーバー、全幅はスポーツと同じとなっており、全高はセダンを含めたシリーズ中もっとも高い。

  • トヨタ「クラウンエステート」

    「クラウンエステート」はステーションワゴンなのか、それともSUVなのか

なので、車名はワゴンを示す「エステート」であるものの、パッケージングで見ればSUVの一種と考えるべきだろう。トヨタのオフィシャルサイトでも、クロスオーバー、スポーツとともに、SUVにジャンル分けされている。

そのフォルムは、現行クラウンシリーズ共通の長く尖ったノーズに、クロスオーバーSUVとして一般的なキャビンを組み合わせたような感じだが、違和感はない。

ボディサイドで特徴的なのは、スポーツやクロスオーバーにはあった、リアフェンダーに向けて跳ね上がっていくキャラクターラインがなく、サイドウインドーのすぐ下にリアまでほぼ水平に伸びるラインを入れていることだ。

おかげでスポーツやクロスオーバーが持っていた躍動感は抑えられ、セダンに近い落ち着き感を強調しているように見えた。

形だけでなく色でもらしさを表現

顔つきは、細いLEDヘッドランプを用いたところはクラウンシリーズで共通だが、グリルの造形はスポーツやクロスオーバーよりおとなしく、ボディ同色にすることで存在感を抑えているような気がした。

  • トヨタ「クラウンエステート」

    表情はおとなしめ?

セダンとの比較でも、ヘッドランプの上に細い切れ込みを入れたところは似ているものの、グリルはセダンほど押し出しが強くない。シリーズの中でおとなしい表情を目指していることが伝わってくる。

リアは横長の細いコンビランプと、バンパーより上にナンバープレートを据えた配置が、セダンに近いと感じた。

クラウンエステートのグレードは、プラグインハイブリッド(PHEV)の「RS」(810万円)とハイブリッドの「Z」(635万円)の2種類。取材車はRSで、専用色となる2トーンカラーをまとっていた。

  • トヨタ「クラウンエステート」

    写真のボディカラーは「マッシブグレー」と「プレシャスメタル」の2トーン

全体をグレー系で統一しつつ、ルーフ以外をブルーがかった色調としたこのコーディネートがまたシックで、キャラクターを絶妙に反映していると思った。

インテリアは保守的 - そこもクラウンらしさ?

インテリアデザインはスポーツやクロスオーバーと基本的に同じで、2025年の新型車として見るとトラディショナルではあるが、クラウンらしいとも言える。伝統的なユーザーの中には、ホッとするという印象を抱く人もいるだろう。

  • トヨタ「クラウンエステート」
  • トヨタ「クラウンエステート」
  • トヨタ「クラウンエステート」
  • トヨタ「クラウンエステート」
  • トヨタ「クラウンエステート」

    最新のクルマにしてはトラディショナルなインテリアも「クラウン」の味?

エステート独自の部分としては、ひとつはインテリアカラーがある、取材車が採用していたPHEV専用色のグレイッシュブルーが、ボディカラーに似ており、カッパーの差し色とも合っていて、ここでも落ち着いた雰囲気を表現していた。

2つ目はリアシートで、身長170cmの筆者がドライビングポジションを取った後方に座ると、楽に足が組めるほど広い。リアエンドまでほぼ水平に伸びたルーフのおかげで、頭上空間も余裕たっぷりだ。

そして3つ目が、その後方に広がるラゲッジスペース。大きなテールゲートを介してのアクセスのしやすさは、トランクタイプのクロスオーバーやセダンにはないものだし、内部はエステートの名前から想像するとおり、奥行きの長さが印象的だ。

  • トヨタ「クラウンエステート」
  • トヨタ「クラウンエステート」
  • トヨタ「クラウンエステート」
  • トヨタ「クラウンエステート」

    リアシートを倒せばほぼフルフラットで広大なスペースが出現する

リアシートを立てた状態でも荷室長は1,070mm、容積は約570リッターとのことで、シートの背もたれを前に倒せば、大人が楽に横になれるスペースが出現する。

これまでのクラウンに通じる走り味

全長5m近いサイズのSUVは、3列シートにすることが多い。2列シートというと、やや小柄になるがスバル「レガシィアウトバック」があったが、国内向けの生産は終了し、在庫限りとなっている。SUVではないが、マツダの「マツダ6ワゴン」も販売終了となった。だからこそ、こういう空間を持つクルマは貴重である。

走りの印象についても触れておくと、全体的にデザインが醸し出す印象どおりだった。同じプラットフォームを使うスポーツやクロスオーバーより、加速感や身のこなしがおっとりしているのだ。この点もまた、先代までのクラウンに近い。

PHEVは言うまでもなく、バッテリー容量に余裕があるときは、ほぼモーターだけで走ってくれるので、静かでスムーズだ。

  • トヨタ「クラウンエステート」

    PHEVはフル充電で約89kmのEV走行が可能

ただし残量が減ってくると、2.5リッター直列4気筒エンジンが稼働するシーンが多くなる。そのときの音は、かつてのクラウンのスタンダードだった6気筒とは明らかに違う。クラウンを名乗っているのだから、このあたりにも気を遣ってほしい。

とはいえ、エステートのデザインが、クラウンシリーズの中ではもっとも万人向けで、インテリアとの釣り合いも取れていることは確実だ。しかも、もっとも広くて使いやすいうえに、走りからはクラウンらしさも感じる。

もっとも判断が難しそうなクロスオーバーを最初に発売して驚きを与え、スポーツとセダンという両極端を相次いで加えることで広がりを伝えたあと、SUV的なこれを出すという戦略は、とても考え抜かれていると思った。

4つのクラウンがそろったところで購入を考えようと思っていた人もいるだろうし、デビュー3年目となるクロスオーバーからの乗り換えも出てきそうな気がする。いずれにせよ、今後の主力になりそうな総合性能の高さが印象的だった。

  • トヨタ「クラウンエステート」
  • トヨタ「クラウンエステート」
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  • トヨタ「クラウンエステート」
  • トヨタ「クラウンエステート」
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