現代に生きる私たちは悩みが尽きません。人間関係のストレスや劣等感で、時には押しつぶされそうになってしまいます。そんな私たちに明るい指針を示してくれるのが「アドラー心理学(個人心理学)」です。
この連載では、『決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本』(明日香出版社)から一部を抜粋し、アドラーの実践的な心理学を学んでいきます。現代の職場、ビジネス、人間関係で役に立つヒントが見つかるかも?
今回は第7章「自分を好きになれないときは? 〈ポジティブシンキングの達人になる〉」の中から「自分の考え方と行動を変える」というテーマを取り上げます。
以下、『決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本』から抜粋します。
人生のシナリオは書き換えることができる
キリスト教(カトリック)の世界には「働く=苦しみ」「労働=原罪」という認識が存在する。原罪とは、人間が生まれながらに背負っている罪のことだ。
社会に出ると労働が人生の大半を占めるようになる。1日24時間という限られた時間のうち、労働を8時間とすれば、人生の3分の1は「苦しみ」で埋め尽くされている。すると、「生きていくのがつらい」と感じてしまうようになる。
しかし、アドラーはこれに異を唱えている。
「人生がつらい、苦しいと嘆く人がいるが、それは自分で自分の人生を困難にしているのだ。人生は自分の考え方次第で変えることができる」
現代に生きる私たちにとって、福音ともいえる言葉だ。アドラーは、さらに次のようにたとえている。
「高さが1.5メートルしかない戸口を通り抜ける方法は2つある。一つはまっすぐ歩くことであり、2つ目は背中を曲げることだ」
もしも、あなたが一つ目の方法を試せば、たちどころに戸口に頭をぶつけてしまう。
戸口に頭をぶつけない方法
では、どうすれば頭をぶつけずにすむか?
背中を曲げて戸口をくぐればいい。これが、人生から悩みや苦しみをなくす最もシンプルな方法だ。
「狭い戸口」とは、あなたに降りかかってくる人生のさまざまな困難や災難で、変えることはできない。
しかし、それらにどう対応するかはあなたの考え方や行動次第だ。
環境は変えられなくとも、自分は変わることができる。行動することもできる。
「背中を曲げる」ということにさえ気づき、実行すれば、痛みや苦しみのない人生を手に入れることができる。