富裕層は「保険要らず」のイメージがある方も多いのではないでしょうか。たしかに保険金がなくてもたいていの事態に対処できますが、実はあえて保険に加入する富裕層も多くいます。この記事では富裕層が加入する保険、加入する理由について解説します。
お金持ちは原則として保険は要らない
まず前提として、確かに富裕層は保険に加入する必要性はそれほどありません。
保険は、万が一の事態に保障を受けるために加入するためのものです。具体的には、以下のようなシーンです。
- 病気やケガによる入院・治療
- モノを壊してしまったときの弁償
- 他人にケガをさせてしまった際の弁償
- 災害に遭った際の自宅の補修・建て替え
- 自分が死亡した際の家族への補償
自宅が災害に遭うなど、場合によっては数千万円のお金が必要になることもありますが、富裕層は現金ですぐ支払えます。自分の資産ですぐカバーできるため、保険に加入していなくてもほとんど困ることはありません。
日本では医療保険の必要性は薄い
アメリカなどでは医療費が非常に高く、公的保険が充実していないため、富裕層でも保険に加入する必要があります。一方で、日本は公的医療保険が充実しており、富裕層も恩恵を受けられます。
病院に行っても3割負担で済み、薬も安い価格で処方してもらうことが可能です。医療費の1ヵ月の合計が上限額を超えたときには、高額療養費制度を利用できます。
病院の差額ベッド代など、公的医療保険でカバーできない領域もありますが、富裕層の方なら問題なく支払えます。よって、特に日本では富裕層が医療保険に加入する必要性はかなり少ないといえます。
お金持ちが生命保険に加入する目的
富裕層は保険にいる必要性があまりなさそうですが、現実には生命保険に加入する人が多くいます。その理由を解説します。
相続税対策になる
富裕層の大きな悩みの1つが、相続税です。せっかく築いた財産でも、ひとたび相続させると、相続人は莫大な相続税を支払わなくてはなりません。
そこで富裕層は色々な方法で相続税対策に取り組んでおり、その1つとして生命保険があげられます。被相続人の死亡により、相続人が受け取れる生命保険金には、1人500万円の非課税枠が設けられているからです。
たとえば妻と子ども3人が相続人となった場合、500万円×4=2,000万円となります。生命保険金が2,000万円以内であれば、相続税はかかりません。
このように富裕層は、相続税における非課税枠を活用するために生命保険を活用するケースがほとんどです。
富裕層が利用する生命保険はどんなもの?
富裕層の方にとって、特に使い勝手のよい生命保険は「一時払い終身保険」です。契約時にまとまった保険料を一括で支払い、生涯にわたる死亡保障を確保できます。
例えば、1,000万円の保険金を支払い、1000万円プラスアルファの死亡保険金を受け取れる、といった内容がよく見られます。一時的に現金を減らし、あとで死亡保険金として相続人が受け取ることで、相続税を軽くできます。
海外の生命保険は注意が必要
節税のために、かつては海外の生命保険を活用する富裕層の方も多くいました。国内生命保険と課税方法が異なっていたため、相続税対策として利用されていたのです。
相続税対策として利用されることを問題視され、税制改正によって現在はかつてのような節税効果は見込めない状態です。しかし、以下の理由から、依然として相続税対策に利用されることがあります。
- 国内の生命保険より運用益が増えやすい
- タックスヘイブンで販売するため現地の税金が非常に少ない
- 国内の生命保険と同じく生命保険金の非課税控除を利用できる
ただし、投資であるため運用で損失が発生するリスクがあり、通貨レートや現地の経済状況にも左右されます。また、日本国内で契約できないため、現地で契約するか仲介者を通して契約しなくてはなりません。
海外の生命保険はリターンだけでなくさまざまなリスクがあり、慎重に判断することがおすすめです。