シャープのウォーターオーブン「ヘルシオ」は、過熱水蒸気を使って調理するオーブンレンジの先駆けだ。Wi-Fi機能やクラウドサービスによって自動調理メニューが増えるといった仕組みも、いち早く取り入れている。
2025年6月に発売された最新モデルでは、クラウドサービス「COCORO KITCHEN レシピサービス」に生成AIを活用した新サービス「クックトーク」を追加。スマホアプリで新しいAIアシスタントキャラクターの「九十九(つくも)しおり」ちゃんと自由に音声会話をしながら、献立を決める相談をしたり、レシピや調理手順を教えてもらったりと、ヘルシオを使いこなす手助けをしてくれる。
話がそれるが、シャープの調べによると、高価格帯の高級オーブンレンジ市場はコロナ禍以降に少し落ち込んだものの、2024年は前年比123.5%の成長。ヘルシオは自動調理メニューも豊富で、例えば「茶碗蒸し」など火加減が難しい料理も、レシピと操作手順に沿って調理すれば美味しく仕上がる。
ただ、買ってはみたものの使いこなせていない家庭が多いのも事実。今回の新サービス「クックトーク」も、少しでも多くのヘルシオユーザーに使いこなしてほしいという想いから生まれた。相応に使いこなせれば、ヘルシオで使える調理メニューの数だけ料理のレパートリーが増え、毎日の献立にバリエーションを持たせられる。家族の食卓が華やぎ、充実した食事になるはずだ。
雑談にも付き合ってくれる「ヘルシオ」エキスパートのAIアシスタント、しおりちゃん
話を戻して、しおりちゃんと会話(クックトーク)しながらの献立決め、対応するウォーターオーブン「ヘルシオ」を使った調理を紹介しよう。クックトークに対応するのは最新モデルの「AX-LSX3C」(21万3,000円前後)と「AX-RS1C」(16万3,000円前後)だが、従来モデルへの対応も検討中とのこと。全機種は無理でも、できるだけ過去のモデルにも対応してほしいものだ。
生成AIを利用したクックトークのいいところは、決まったワードや発話の順序を気にしなくてよいこと。「今日は●●●が食べたい」とか、「キャベツと豚挽き肉を使ったメニューはある?」のように話せば、ヘルシオで作れるメニューとレシピをしおりちゃんが教えてくれる。
基本は4人分のレシピだが、「3人分にして」「2人分にして」と話せば、適切な食材の量へと変換してくれるのも便利だ。一部のメニューは、下ごしらえからヘルシオの操作まで、ステップごとにていねいに案内される。この機能の対応メニューは多くないが、ぜひ拡充していってもらいたい。
【動画】デモンストレーションの動画をノーカットで(音声が流れます。ご注意ください)
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ヘルシオで調理した「茶碗蒸し」「鶏肉の唐揚げ」「焼き野菜」を試食。茶碗蒸しはなめらかで出汁とも美味しくなじんでいた。唐揚げも焼き野菜も、下ごしらえしかしていない。加熱はすべてヘルシオまかせ。唐揚げは「揚げない唐揚げ」だ
実際にしおりちゃんと会話してみたら、とても自然だ。調理をするにあたっては、やはりメニューの提案とレシピ、ヘルシオ本体の操作案内が親切。しおりちゃんの反応がもう少し早く、テンポ良く会話できるとよかったのだが、これは今後の課題として認識しているとのことだった。
最初のうちは、食材の準備や下ごしらえを含めるとそれなりの時間がかかるかもしれない。これは慣れとともに改善していくし、これまでヘルシオで作ったことがない料理もスムーズに取り組める。1品でも初めてのメニューを作ってみると、割と大きな満足感が得られるものだ。
高級オーブンレンジは、各メーカーが独自の特徴を前面に出して競い合っている群雄割拠の市場だ。上述のように、高価格ゾーンの製品が前年比で伸びたというのは、自宅での食事を大切にする家庭が増えたことが1つの要因でもあるだろう。どれか1台を選ぶとき、「使いこなしやすさ」の視点で今回のウォーターオーブン「ヘルシオ」新モデルを検討してみるとよいだろう。