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大手企業で増える「賞与の給与化」、"従業員にメリットあり"は本当か

Updated MAY. 22, 2025 16:29
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大手企業は給与改定の動きを進めており、その1つが「賞与の給与化」です。賞与を給与に組み込むことで、どのような影響があるのでしょうか? 今回は賞与の給与化で発生するメリット・デメリット、導入に向いている企業を解説します。

「賞与の給与化」に取り組む大企業が増えつつある

大手企業は賃上げの動きが定着しつつあり、連合の発表によると現時点の平均の賃上げ率は5.42%で、前年を上回って推移しています。人手不足解消のため、優秀な人材を獲得するには、魅力的な報酬の提示が必要なトレンドは今後も続く見込みです。

大手企業は報酬制度の見直しにも取り組んでおり、その1つが「賞与の給与化」です。これまで賞与として支給していた分を、毎月の給与に分割して上乗せする制度に移行することを意味します。

ソニーグループ

ソニーグループは本体の事業会社の3社を対象に報酬制度を見直し、賞与の給与化を実施。その結果、25年4月以降の新卒入社の初任給は、月額3万8,000円以上に増加しました。

本年の1万円の賃上げ分を加えると、25年は前年から4万8,000円引き上げられたことになります。これに伴い、賞与の機会は年2回から1回に減らし、夏の賞与のみとしました。

バンダイ

玩具大手のバンダイは、2022年に賞与の給与化を実施しました。4月入社の大卒の初任給を、22万4,000円から29万円へ、およそ30%引き上げました。

収入の安定化により、優秀な人材を確保するのが狙いです。対象は全社員およそ1,500人で、平均で27%の給与の引き上げとなりました。

同社は2025年度、初任給をさらに30万5,000円へと引き上げました。

大和ハウス工業

大和ハウス工業は2025年度より、月例給の水準を改訂し、年収を平均で10%アップさせました。同時に新卒社員の初任給を、月額25万円から35万円へ引き上げました。

月例給与と賞与のバランスを見直し、人材の採用環境が厳しい状況もふまえ、初任給の大幅な引き上げを決定しました。

  • 大手企業が続々導入する「賞与の給与化」

賞与を給与化することのメリット・デメリット

賞与の給与化にはメリット・デメリットの両面があります。

メリット

  • 企業側が高い給与をアピールできる
  • 企業側にコストがあまりかからない
  • 従業員の毎月の収入が安定する

深刻な人手不足が続く状況で、優れた人材を採用するには、高い給与を提示する必要があります。賞与の給与化により基本給が高くなるため、人材に高い給与をアピールしながらも、実際に支払う金額は同じにすることが可能です。

賞与の給与化とは、賃金の内訳を変更するだけのため、あまり手間やコストがかかりません。コストを抑えながら初任給水準や賃金テーブルを引き上げられます。

社員にとっては、これまでの賞与が基本給に組み込まれることで、毎月の収入が安定します。給与が安定すると生活設計もしやすくなるため、既存の社員にとってもメリットのある施策です。

デメリット

  • 企業側は人件費のコントロールがしづらくなる
  • 従業員のモチベーションがなくなることもある

賞与は業績によって変動させられるため、人件費のコントロールのために利用しやすい側面があります。しかし、基本給に組み込むと、そう簡単には引き下げられません。

賞与にはインセンティブの要素もあります。なくなると、好業績のときの一時的な報奨がなくなり、従業員のモチベーション低下につながる点にも注意が必要です。

賞与の給与化を導入に向いている企業・慎重になるべき企業は?

賞与の給与化に向いている企業と、導入には慎重になるべき企業を解説します。

導入に向いている企業

  • ジョブ型人事制度を導入している企業
  • 業績の変動が比較的小さい企業
  • 人材の定着を重視する企業

ジョブ型人事制度は成果や役割に応じた報酬体系であり、固定報酬を重視するため、賞与の給与化と相性がよいです。このため、外資系企業やそれにならう大手企業で導入が進んでいます。

また、業績の変動がそれほど大きくない企業であれば、賞与を給与に組み込んでも大きな影響はないため、大手企業にも向いています。

導入には慎重になるべき企業

  • インセンティブ・成果報酬を重視している企業
  • 社員のモチベーション管理を賞与で実施している企業
  • 業績の波が大きい企業

企業文化・風土としてインセンティブや成果報酬が大きな役割を果たしている企業もあります。この場合、賞与がなくなったり減ったりすると、モチベーションが大幅に下がる恐れがあります。

また、業績の変動が大きいと、業績が悪化した際にも高い給与を支給しなくてはならず、経営へのダメージが大きくなります。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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