2025年3月に発表された「地価公示」によると、今年1月時点の東京都・住宅地の価格は、平均で去年と比べてプラス4.5%で、昨年に続き上昇しました。千葉県で特に地価が上がっているのはどの地域なのでしょうか?
今回は国土交通省の地価公示をもとに、千葉県内の住宅地の地価上昇率を駅別に発表します。さらに、地価上昇の背景について、鑑定評価書の情報を用いて分かりやすく解説します。
千葉県・住宅地の地価上昇率ランキングトップ20(2025年版)
千葉県の住宅地において、2025年1月時点で地価の上昇率がもっとも高かったのは「初石」(流山市西初石4丁目369番29)でした。
次いで2位も「初石」(流山市東初石2丁目160番2)、3位は「運河」(流山市西深井字八ノ割640番4)です。
人口流入で話題となった流山市が、1位~13位を独占する結果となりました。14位以降も含めると、20地点中16地点を流山市が占めています。
ここからは国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で公表されている各地点の鑑定評価書を基に、上位の地域の特性について解説します。
なお、鑑定評価書の表記は地番や住居表示がベースになっていますが、この記事では分かりやすくするため最寄り駅で表記します。
初石
流山市の初石は4地点がランクインしました。1位の地点の地価上昇率は18.7%です。
鑑定評価書には「同一需給圏は流山市内のつくばエクスプレス及び東武野田線沿線の住宅地域。需要者は都心に通勤する流山市又は隣接・近接市に居住する30代~40代前半の一次取得者層又は買替層が中心」とあります。
地域特性に大きな変化はなく、都心に勤める会社員のファミリー世帯からの人気を集める傾向は続くと考えられます。
運河
3位にランクインした運河の地価上昇率は18.4%です。東武野田線の運河駅から江戸川台駅に至る住宅地域です。
鑑定評価書には「都心接近性や街路の系統連続性が劣るものの、駅徒歩圏内かつ値頃感から需要は底堅く、地価は上昇傾向にある。」と記載されています。
値頃感もあって需要は底堅く、今後の地価は上昇傾向で推移するものと予測されています。
成田空港
成田空港が14位と18位にランクインしました。14位の地点の地価上昇率は14.7%で、成田市やその周辺に居住する空港関連などの地元企業の勤務者に需要があります。
鑑定評価書によると「成田市中心部からやや離れているが、成田市中心部と比較して価格水準が低いことから需要は強く、ミニ開発による新規分譲が多く見られ取引も活発である。」とあります。
駅から遠く、交通利便性は低い地域ですが、値頃感があるため需要が高まっている傾向です。
柏の葉キャンパス
柏の葉キャンパスの地価上昇率は14.3%です。柏市の人口は増加傾向であり、地価も上昇が続いています。
鑑定評価書には「柏駅に近い地域の需要は強いものの高額化、小規模化が進んでおり、郊外への需要の波及が顕著になっている。」と記載されています。値頃感から価格水準の上昇傾向が続くと予測されている状況です。
塚田
16位に入った塚田の地価上昇率は14.2%です。東武野田線およびJR総武線沿線の住宅地域となっています。
鑑定評価書には「需要は高く、徒歩圏に大型商業施設、病院等が位置し生活利便性は良好である。」とあります。周辺では大規模開発が行われており、さらなる利便性の向上も期待されている状況です。