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住宅ローン、返済期間「35年」「40年」「50年」で支払額はどれくらい変わる?

Updated FEB. 19, 2025 15:58
Text : 石倉博子
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住宅ローンの返済期間は最長35年が一般的ですが、最近は40年~50年といった超長期の返済期間が設定できる住宅ローンが増えてきています。一定の条件を満たす住宅を対象に最長50年まで融資が受けられる「フラット50」は、30歳未満の申し込みが前年に比べて2.6倍に増えるなど、若い世代を中心に超長期の住宅ローンが支持されています。

返済期間が長くなると、月々の返済額は減らすことができるので、家計は楽になりますが、総返済額は増えるというトレードオフがあります。実際にどのくらい支払額が変わるのか、返済期間「35年」「40年」「50年」でシミュレーションをしてみました。自分のライフプランに合った返済期間を選ぶ際の参考にしてみてください。

住宅ローンの返済期間の考え方

住宅ローンは長期間にわたって支払っていくものであるため、申し込み時と完済時の年齢に上限が設けられています。多くの金融機関では20歳から70歳まで申し込みが可能で、80歳までに完済することが条件となっています。

この完済年齢が80歳までと決められていることで、申込年齢の上限が「フラット35」は70歳未満、「フラット50」は44歳未満に設定されています。実際には35年ローンを組むことが可能な年齢は45歳までであり、50年ローンを組むことが可能な年齢は30歳までとなります。このことから超長期の住宅ローンは若年層をターゲットにしていることがわかります。

近年、建築資材費や人件費の上昇により、不動産価格が高騰し、若い世代にとって住宅購入のハードルが一層高まっています。そのため、返済期間を長くすることで購入可能な物件価格を引き上げられる利点を活かし、金融機関は若年層に向けて超長期住宅ローンの提供を積極的に進めていると考えられます。

返済期間別の支払額シミュレーション

返済期間「35年」「40年」「50年」で住宅ローンを組んだ場合の月額返済額と総返済額を比較してみましょう。

<シミュレーション条件>
・借入金額:4,500万円
・返済方式:元利均等返済
・金利タイプ:固定金利2%

返済期間35年の場合は、月々の返済額は約15万円、総返済額は約6,261 万円。返済期間40年の場合は、月々の返済額は約13.7万円、総返済額は約6,542万円。返済期間50年の場合は、月々の返済額は約11.9万円、総返済額は約7,123万円となりました。

返済期間35年と50年では月々の返済額が約3万円違います。返済期間を延ばすことで、手元資金に余裕が出て、家計のやり繰りがしやすくなることはメリットです。一方で、総返済額は返済期間50年にした場合、35年と比べて862万円も支払いが増えてしまいます。利息だけで2,623万円支払うことになります。

超長期住宅ローンのメリットとデメリット

試算結果も踏まえて、超長期住宅ローンのメリットとデメリットをまとめてみたいと思います。

超長期住宅ローンのメリット

月々の返済額が抑えられる

35年ローンで組むよりも、月々の返済額が1~3万円程度抑えられます。無理のない返済額によって、家計に余裕が生まれます。その分を貯蓄に回したり、資産運用をして増やしたりすることもできるでしょう。

購入可能な物件価格を上げることができる

返済期間を長くすれば、年収に占めるローン返済額の割合(返済負担率)を下げることができるため、借入可能額を増やせます。それによって希望する住宅を購入できる可能性が高まります。

団信による保障期間が長くなる

団体信用生命保険(団信)とは、借入期間中にローン契約者が死亡または所定の高度障害状態となった場合に、保険金でローン残高を返済する仕組みの保険です。多くの金融機関で加入が義務付けられており、特約を付けることで、がんや三大疾病の保障にも対応可能です。返済期間が長くなれば、生命保険や医療保険の役割を果たしてくれる団信の保障期間も長くなるので家族の生活を守ることができます。

超長期住宅ローンのデメリット

総返済額が増える

前出の試算では、返済期間を50年にすると、返済期間35年よりも862万円総返済額が増えています。一般的に、全期間固定金利の住宅ローンでは、返済期間が長くなるほど金利が上がる傾向にあります。そのため借入先の金融機関にもよりますが、返済期間が長いと、さらに総返済額が増える可能性があります。

現在、「フラット35」と「フラット50」の金利差は縮小しています。この点が超長期の住宅ローンの利用者が増加している要因となっているようです。

定年後も返済を続けなければならない可能性がある

30歳で50年ローンを組んだ場合、完済は80歳になります。65歳で退職した場合、残り15年は年金生活を続けながら返済することになります。これを避けるには退職金で繰り上げ返済をする方法がありますが、どちらにしても、(退職金を老後資金に回せなくなることで)老後の生活に影響が出てくる可能性があります。

デメリットを解消するには繰り上げ返済が有効

超長期住宅ローンのデメリットを解消するには、繰り上げ返済が有効です。月々の返済額が抑えられれば、貯蓄に回せるお金ができるため、将来の繰り上げ返済のための資金を作ることができるでしょう。また、20代や30代のうちは収入が少なく、毎月の返済額を抑える必要がありますが、年齢とともに収入が増えれば家計に余裕ができ、繰り上げ返済がしやすくなるでしょう。

超長期で住宅ローンを組んでも、繰り上げ返済によって返済期間を短縮できれば、支払う利息を減らすことができ、総返済額を抑えることができます。返済期間が短縮できれば、定年前にローンを完済できる可能性も高くなるので、結果的に超長期住宅ローンのデメリットの両方が解消されることになります。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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