いつかは億ションに住んでみたいと憧れる方もいるでしょう。しかし東京23区ではマンション価格の高騰により、億ションが普通の存在になりつつあります。この記事では世帯年収が1,000万円以上あれば億ションを購入できるのか、また、買えたとしても経済的に無理のない暮らしを送れるのかをシミュレーションしてみました。
東京23区では億ションが「当たり前」
かつて億ションといえば、都心の一等地にある新築マンションなどが対象というイメージがありました。東京都でも、富裕層が購入する物件というイメージを持っている方も多いでしょう。
しかし、株式会社不動産経済研究所の「首都圏新築分譲マンション市場動向2024年12月度」によると、マンション価格は首都圏が平均7,335万円、東京23区は1億822万円となっています。つまり「億ション」は、東京23区のマンションでは特別な高級物件ではなく、「当たり前」であるということです。
東京の物件価格は依然として高値が継続していますが、収入が伸び悩んでいる方も多いでしょう。富裕層ではない中間層が購入するのは難しい状況です。
年収1,000万円で億ションを購入できるかシミュレーションをしてみた
東京23区ではもはや当たり前の億ションですが、年収1,000万円で購入できるのか、シミュレーションをしてみました。
毎月・年間のローン返済額は?
億ションのローン返済をシミュレーションするにあたり、以下の条件を適用します。
- 頭金:1,000万円
- 借入額:9,000万円
- 金利:年0.4%
- 返済期間:35年
- ボーナス支給時の追加返済:なし
銀行のホームページにあるローン返済のシミュレーションを使用したところ、上記の場合の毎月の返済額は22万9,671円です。毎月およそ23万円の返済が必要との結果になりました。
返済比率に照らし合わせて考えると?
住宅ローンの返済比率(手取り年収に対する返済額の割合)は、25~30%が目安です。この目安に従うと、23万円を返済するにはおよそ77万~92万円の手取り月収が必要です。
額面の世帯年収が1,000万円だと、手取り月収は約61万円~75万円のため、返済は厳しいでしょう。
さらに、先ほどのシミュレーションは頭金を1,000万円入れるのが前提のため、頭金が少ないとさらに返済負担は重くなります。
年収1,000万円で億ションを買うとどのような暮らしになるのか
シミュレーション結果からは、年収1,000万円で億ションを買うのは難しいという結論になりますが、なかには購入できるケースもあるでしょう。しかし、無理に買っても生活が苦しくなる可能性が高いです。
夫婦二人暮らしの場合は?
たとえば手取り60万円の場合、ローンの23万円を除くと残りは37万円です。夫婦二人暮らしなら、37万円あれば家計はほぼ問題なくやりくりできると思いますが、病気やケガで片方が働けなくなると家計が苦しくなるでしょう。
離婚や死別などで一人になった場合も、一気に返済が苦しくなる可能性があります。
子どもがいる場合は?
妻が育休に入ると収入は減少し、育休から復帰しても時短勤務なら収入が下がる可能性が高いでしょう。夫の収入だけでは生活が持たなくなるかもしれません。
また、子どもが中学校に上がるころから教育関連の費用が増えてきますので、手取り収入が上がらないと生活がきつくなる可能性がかなり高いです。
年収1,000万円で億ションを買うのは厳しい
今回のシミュレーションでは、年収1,000万円で億ションを買うのは厳しいという結果が出ました。億ションを買うなら、返済比率にゆとりを持たせて考慮すると、年収1,500万円以上が必要になります。
年収1,000万円でマンションが欲しい場合、もう少し安い物件にしておくほうが無難でしょう。