NTTドコモと富士通は17日、ソフトバンクモバイルが3月8日に発売した東芝製「かんたん携帯 SoftBank 821T」に関して、不正競争防止法にもとづく製造・販売などの差し止めを求め、東京地裁に仮処分申請を申し立てたと発表した。ドコモのらくらくホンシリーズとの端末デザインの酷似などが理由だとしている。

仮処分申請が申し立てられた821T(右)。左が酷似しているとされたらくらくホンIII

今回の申し立てでは、ドコモのらくらくホンシリーズのうちの富士通製端末と、821Tの端末デザインやUIなど、複数の項目が酷似しており、消費者に対して同端末がドコモのらくらくホンシリーズだと誤認させるとして、不正競争防止法の第2条1項1号にもとづき製造・販売などの差し止めを求めている。

ドコモ執行役員・プロダクト&サービス本部プロダクト部長・永田清人氏や富士通の常務理事・モバイルフォン事業本部副本部長大谷信雄氏によれば、両社はらくらくホンシリーズに関して共同で開発を続けてきた。開発当初は、「今までなかった端末」(大谷氏)であり、シニアに対する使い方教室を開いたり、消費者への調査などを続けながら改良を重ねながら、基本的なボタンレイアウトをあえて変えないなどよりシニアが使いやすいような端末を目指してきた。

それに対して821Tは、3つのボタンや十字キーを始め、UIなど複数の項目でデザインなどが酷似していると主張。特に「らくらくホンIII」と比較してボタンレイアウトなどらくらくホンの操作を特徴付ける「顔の部分」(永田氏)が酷似しているとしているが、デザインだけでなく、総合的な観点から「富士通製のらくらくホンシリーズ全体と821Tが酷似しており、消費者が誤認する」としている。

ドコモの永田清人プロダクト部長(左)と富士通の大谷信雄モバイルフォン事業本部副本部長

永田氏によれば、821Tの端末発表後、ソフトバンクらに警告してきたが、「我々(ドコモと富士通)の満足する回答が得られなかった」と話し、8日には821Tが発売されたため、東京地裁に申し立てを行ったという。

ソフトバンクはこれに対し、「詳しい申し立ての内容は見ていないが、821Tとらくらくホンは別の製品だと認識している。今後、申し立ての内容を見ながら、東芝と協議して反論していく」とコメントしている。