ではここから、ASRockならではの機能を見ていこう。

ゴールドコンデンサ

基板上の固体コンデンサは金色に塗られており、同社はゴールドコンデンサと呼んでいる

ASRock製マザーボードの固体コンデンサは、金色の「ゴールドコンデンサ」を採用し品質をアピールしている。コンデンサの規格として金色がグレードを示しているわけではないが、ASRockの自信の表れといったところだ。コンデンサはニチコンのLFシリーズ。つまりオール日本製コンデンサ仕様だ。

ちなみに固体コンデンサが当たり前の現在だが、マザーボード上のすべてのコンデンサが固体コンデンサである必要はない。実際、自作PCよりもさらに高耐久性を求められるサーバー向けマザーボードで、今でも電解コンデンサが普通に採用されていたりする。固体コンデンサが本当に必要とされるのは、CPUレギュレータ周辺やPCI Express x16スロット周辺などで、これら以外の部分にも固体コンデンサが採用されている場合は、さらなる耐久性を追求した結果と考えられるだろう。一概には言えないが、何気なく使っているマザーボードが実はサーバー向けマザーよりも高耐久性部品で構成されている、なんてのは心強い。


デジタルPWM

最新CPUのIvy Bridge、そしてIntel Z77チップセット世代では、CPU関連の電源回路におけるデジタル化が「VRD12」といった仕様で推奨されている。ASRockでも、CPU Vcore電圧にデジタル電源回路を採用。昨今のCPUは、省電力機能や自動OC機能といった先進機能を備え、ダイナミックにクロック調整を行うが、その際CPU Vcore電圧もダイナミックに変化する。電源回路におけるデジタル化は、CPUが要求する電圧に対し素早く正確に追従し、正しい電力を供給できる点にメリットがある。

16+8フェーズ

CPUソケット周囲にずらっと並ぶフェライトコア(コンデンサ奥の黒いパーツ)。フェーズ数の目安となるパーツだ。16+8フェーズ、計24基のフェライトコアが確認できる

OCなどの目的でマザーボードを選ぶ際、ポイントとなるのが電源フェーズ数。CPUに電力を供給する際にコアとなるパーツで、それぞれ容量が決まっており数を束ねることで供給可能な電力量も増やすことができる。一方、OCをしない場合でもメリットがあり、CPUが必要とする容量に対し、複数で分担することで1つあたりの負荷が減り、発熱を抑えるといった効果が期待できる。Fatal1ty Z77 Professionalの16+8フェーズというのは、かなり多い部類だ。例えば次で紹介するZ77 Extreme6は半分の8+4フェーズ、さらにエントリー向けの製品となると、Intel Z77でも4+1フェーズあたりになる。つまり、定格で運用するなら4+1フェーズで十分なところ、Fatal1ty Z77 Professionalはその4倍以上を搭載している計算となる。もちろんOC性能も期待でき、ゲーマーにとっても「快適さ」を追求する際の隠し球となる。


ちょうどCPUソケット周辺に目が行ったところで、CPUクーラー固定用のリテンションホールも見ていただきたい。普通、四隅に1箇所ずつあるリテンションホールだが、本製品は2箇所ずつ、計8個の穴がある。これはLGA1155およびLGA1156用と、LGA775用のリテンションホールが用意されているためだ。LGA775からアップグレードする際、愛用してきたLGA775用クーラーが新しいマザーボードでも利用できることになる。

  

CPUソケット周辺をよく見ると、通常のCPUクーラー用リテンションホールの横にもうひとつ穴が見える

通常の位置にあるのがLGA1155用のホール。少し斜めとなる位置にあるのがLGA775向けクーラー用ホールだ

フロントUSB 3.0パネル

3.5インチベイにUSB 3.0を2ポート増設できるアクセサリが付属する

Intel Z77からチップセットレベルでサポートされたUSB 3.0。これをフロントポートから利用しようというのがマザーボード上のUSB 3.0ピンヘッダだ。最近でこそPCケースにもフロントUSB 3.0ポートが当たり前になってきているが、さらに増設したいという場合、あるいは古いケースを使いまわしたいがUSB 3.0に対応していない、といった場合に便利なのが付属のWI-SB BOX。簡単に言えば、3.5インチベイに搭載できるUSB 3.0端子増設アクセサリといったところだ。USB 3.0以外の機能は持たないシンプルなものだが、追加投資ナシで利用できるのはかなりありがたい。


Fatal1tyマウスコネクタ(バックプレート)

豊富な端子の並ぶバックプレートだが、ひときわユニークなのが赤いUSB 3.0ポートの上にFatal1ty Mouse Portというシールが貼られているポート。ここにUSBマウスを挿すと、ゲーマー向けではない普通のマウスでも、サンプルレートを125~1,000Hzに変更可能なるのだ。ワイヤレスマウスやUSB 2.0マウスは非対応とのことだが、過去のASRockの変則チックな雰囲気が思い出される機能だ。このほかバックパネルには、USB 3.0を計6ポート、USB 2.0を6ポート、デュアルLAN、IEEE1394aやeSATAなどを装備する。そしてディスプレイ出力は、DisplayPortとHDMIを備えている。ゲーマー向けだけあって、ほとんどの方がグラフィックスカードを搭載すると思われるが、そうなると、場所をとるDVIやD-Subを省き、より多くのUSBポートを搭載する方が便利だろうという発想ではないかと推測できる。こうして見ると、古いものを生かしたり、ゲーマーの求める機能を新機能を備えたりと、けっこう考えて作られた製品だということがお分かりいただけるだろう。

  

赤いUSBポートの1番上のポートが、Fatal1tyマウスコネクタ。本来サンプルレートの切り替えに対応していない激安マウスでも、切り替え可能にしてしまう機能だ

とにかく端子が豊富なバックパネル。USB 3.0やGbEはもちろん、CMOSクリアボタンも装備。PS/2ポートもあればIEEE1394aもあり、少し古めのインタフェースがすべて揃っているというのは心強い