ツクモが展開するカスタマイズ対応PC「eX.computer」に、シリーズ最小モデルとなる「AeroMini」(エアロミニ)が追加された。オーソドックスなミドルタワーやスリムタワーで用いられるATX、マイクロATXではなく、Mini-ITX規格を採用していることが大きな特徴となる。そこで、ツクモを運営するProject Whiteの商品企画部・檀特教遵氏に、同製品をリリースした背景やコンセプトについてうかがった。

エアロミニの外観。フロント左サイドは斜めにカッティングされエッジが利いている。一方、右サイドは大きくアールを描く曲面を採用。この左右非対称のフロントフェイスが印象的だ
■エアロミニ MI5J-C33/Sの主な仕様 [CPU] Core i5-2400(定格3.10GHz、最大3.40GHz)   [メモリ] 4GB(DDR3-1333、最大8GB)   [チップセット] インテル H61 Express   [HDD] 1TB   [光学ドライブ] DVDスーパーマルチ(DVD±R 2層書き込み対応)   [グラフィックス] インテル HD 2000 Graphics   [OS] Windows 7 Professional SP1(64bit版)   [価格] 59,980円(税込) ※10月3日現在  

マイコミジャーナル(以下、マ):シリーズ最小となるミニPCとなりますが、基本的なコンセプトを教えてください。

檀特教遵氏(以下、壇特氏):私どもが展開するeX.computerは、ハイエンドなミドルタワー型が主力となります。こうした製品は、ゲームを楽しんだり動画編集を行ったりするヘビーユーザーには好まれますが、ノートPCや液晶一体型マシンを購入される一般的なユーザーの方々には、ボディサイズの大きさがネックになります。シリーズにはスリムタワー型も用意しておりますが、それよりも設置スペースが節約できるラインナップを拡充する必要があるだろうと考えました。エアロミニは、そうしたより省スペースを求める方に向けたマシンとなります。

:フォームファクタにMini-ITXを採用した理由は何でしょうか。

檀特氏:単に省スペースを追求するだけなら、ノート向けのモバイルアーキテクチャを選択するという手もあります。確かにモバイル向けのパーツを利用すれば、発熱も少なくボディはよりコンパクトにできますが、モバイルアーキテクチャでは、パフォーマンス面に不利が生じてしまう。たとえコンパクトでも、動画編集などの性能が求められる作業も快適にこなせるマシンにしたい。そのためにデスクトップ向けのCPUが搭載できるMini-ITXを選択しました。ノートPCや液晶一体型マシンとは違い、コンパクトなのにデスクトップの性能を確保しているのがエアロミニの特徴といえます。

:デザイン面などでこだわった点はありますか。

檀特氏:フロントパネルを光沢感のあるブラックにしたことが、デザイン面でこだわった点です。今までのeX.computerのラインナップでは、メッシュやツヤ消しといったデザインを採用することが多かった。確かにそれらのデザインを用いれば精悍な雰囲気になりますが、エアロミニには向かないと考えました。艶やかなブラックのフロントパネルにしたことで、インテリアになじむ外観になったと思います。

:開発段階で苦労した点などはありますか。

檀特氏:やはりPCケースがコンパクトなこともあり、パーツの選択にはシビアになりました。特にマザーボードの選定が困難でした。数種類のマザーボードを試したのですが、Core i5を搭載できないものだったり、光学ドライブと干渉したりと、なかなかシックリと収まるマザーボードが見あたらない……。当初はスリム型の光学ドライブにすることでマザーボードとの干渉を解消する案が浮かびましたが、ASUSの「P8H61-I」がピッタリと収まることがわかり、そのマザーボードを採用しました。

:購入者にはどのような使い方をしてもらいたいですか。

檀特氏:前述いたしましたが、ノートPCや液晶一体型マシンのパフォーマンスに満足できない方に注目してもらいたいです。ミニPCとはいえ、しっかりとデスクトップの性能を備えているので、満足していただけると思います。また、エアロミニはHDMIとDVI出力の両方を備えているので、デジタル接続によるデュアルディスプレイも可能です。これは液晶一体型マシンなどではなかなかできません。BTOメニューにはCore i5-2500K(標準はCore i5-2400)やSSDの選択肢もあるので、より高性能を求める方にはそういったオプションも活用してほしいですね。

非対称なフロントフェイスが印象的

では実際にエアロミニをチェックしてみよう。外観的なことでまず気づくのが、フロントパネルが左右非対称となっていることだ。前面左サイドはエッジの利いた面で構成されているのに対し、右サイドは緩やかな丸みを帯びている。このカーブに合わせて電源LEDやHDDアクセスLEDが配置され、非常にエレガントな雰囲気だ。ボディを切り込むことで押せるようにした電源ボタンやリセットボタンも独特の存在といえる。

デスクトップ向けでは最もサイズの小さいMini-ITX規格を採用しているだけに、ボディはとてもコンパクト。縦置きした際のサイズは幅112mm、高さ264mm、奥行き260mmで、机上に置いた際に圧迫感を受けることは少ない。ちなみに横から見た場合、A4用紙程度の面積といえばサイズをイメージしやすいだろう。

縦置きだけでなく横置きで使用することもでき、ユーザーのニーズにフレキシブルに対応する点も見逃せない。

電源LEDはブルー、HDDアクセスLEDはオレンジに光る。かなり強めに発光するので、デザイン上のアクセントとしても目立つ。ボタン類はボディに切り込みを入れた独特の仕組みだ
底面にあるゴム足を右側面に貼り付けることで横置きでも利用できる