説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『「パケ詰まり」ってなに?』という質問に答えます。

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乗降客数の多いターミナル駅や付近の繁華街で、iPhoneのアンテナは立っているもののインターネットに接続できない状態を経験したことはありませんか? その原因のひとつが「パケ詰まり」で、携帯電話回線の基地局が混雑し"(データ通信が)つながらない/つながりにくい"状態を指します。

原因はいくつか考えられますが、iPhone 5に限定すると、LTE基地局と3G基地局の境界付近で発生するとの報告が多数あります。たとえば、多数のiPhone 5ユーザが乗車した電車が、あるLTEエリアと3Gエリアの端境を通過するとします。そのとき、iPhone 5はLTE基地局から3G基地局に切り替え(ハンドオーバー)ようとしますが、端末数が多いと一斉アクセスに近い状態となり、ハンドオーバーがうまく行かず"パケ詰まり"が発生します。

この問題は、iPhone 5にかぎらずAndroid端末でも発生するため、携帯電話各社はそれぞれ対策を講じています。au/KDDIは、LTEエリアと3Gエリアを高速に切り替える技術「Optimized Handover」を用意し、通信を途切れさせないようにしています。ソフトバンクは、小さい基地局をきめ細かく設置してトラフィックを分散する「小セル化」などの対策が知られています。

ただし、iPhone 5は「Optimized Handover」に非対応のため、LTEエリアと3Gエリアを高速に切り替えることができません。これはiPhone 5に内蔵された通信チップの仕様によるもので、ハードウェアを入れ替えなければ根本的な問題解決は期待できないでしょう。

なお、上述したハンドオーバーに関する問題は"パケ詰まり"の原因のひとつで、トラフィックの増加に回線容量が追いついていない、電波の干渉が発生しやすいエリアでそもそも電波が届きにくい、などほかの原因も考えられます。LTEの通信網が充実すれば緩和される問題でもあるため、いずれにせよ解決には時間がかかりそうです。

写真で解説

MMD研究所が公開した「携帯キャリアに関する意識調査」によれば、au版iPhoneユーザのほうが"パケ詰まり"への不満が強いようです