緊張した様子で競技開始を待つ参加者

東京・秋葉原のデジタルハリウッド大学で、パソコンの文字入力技能を競う「第10回 毎日パソコン入力コンクール」の全国大会が12月5日に開催された。

同コンクールは、毎日新聞社と日本パソコン能力検定委員会が主催、総務省、文部科学省などの省庁、PC関連メーカーが後援・協力する文字入力(タイピング)コンテスト。2001年創設以来、文字入力、基礎学力、情報発信能力の向上を目的に、累計78万人が参加している。第10回となる今回は、約24万人が参加。全国1,730会場で実施された地方予選を勝ち抜いた小中学校・高校の生徒たちが東京・秋葉原に集い日本一を競った。

競技は、タイピングの基本である「ホームポジション入力」、和文入力の基本である「ローマ字入力」、英単語のリスニング入力、漢字の読みと意味、計算(四則演算)、暗算(フラッシュ暗算)など様々な部門が用意されている。各部門の詳細は毎日パソコン入力コンクールWebサイトで確認可能。今回の全国大会で実施された競技は以下の通りだ。

第10回 全国大会の実施部門
部門 出場人数
第II類 計算 15名
第II類 フラッシュ暗算 23名
第II類 英単語 小・中学生 10名
第II類 漢字 小学生 10名
第II類 漢字 中・高校生 10名
第II類 英単語 高校生 10名
第1部 ホームポジション基礎 10名
第1部 ホームポジション応用 10名
第2部 ローマ字 10名
第3部 英文A 10名
第4部 英文B 10名
第5部 和文A 小学生低・中学年 10名
第5部 和文A 小学生高学年 10名
第5部 和文A 中学生 10名
第6部 和文B 高校生 10名
第7部 数字・記号 小学生 10名
第7部 数字・記号 中・高校生 10名

競技用のパソコンは、デル製のデスクトップPCで、OSはWindows Vista Business、入力環境は同OS標準のIMEだ。キーボードは、東プレ製の「Realforce106 LA0100」または、PFU製の「Happy Hacking Keyboard Professional JP」のどちらかを選択できる。ちなみに、第5回大会まではキーボードのみ持ち込み可能となっていたが、公平性を保つため、現在の選択方式になったという。

競技会場には、Happy Hacking Keyboard Professional JP(写真上)とRealforce106 LA0100が用意されている

競技会場となりの待合室には、Realforceを試し打ちできるコーナーが用意されていた

さて、全国大会の競技の模様だが、競技中は選手と係員以外入室禁止となる。なので、競技の様子は撮影できなかったが、本番前のキーボードやIMEの設定を確認するため練習時間(3分間)の様子は取材できた。選手たちは、緊張した面持ちで会場に入室し、イスの高さやモニターの位置を調整。練習開始の合図で、一斉にキーボードを打ち始めた……。さすが、厳しい地方予選を勝ち抜いてきた選手だけあり、そのレベルの高さに驚かされた。中には、ほとんどディスプレイに視線を固定してまったく手元を見ない選手もいた。

練習時間でキーボード試し打ちをする参加者たち。毎日業務でキーボードを触る筆者だが、練習開始30秒後には、速度、正確さすべてにおいてこの中でドンケツだと確信した

待合室に設置されたモニターに競技本番の模様が映し出されていた。心配そうに見守る保護者の姿も

競技は午前中に終了し、午後からは各部門の表彰式が行われた。各部門の特別賞受賞者は以下の通りだ。

■第10回全国大会 主な個人賞の受賞者(敬称略)
部門 表彰内容 受賞者
第II類 計算 文部科学大臣賞 河野成実(愛媛県 東温市立重信中学校 3年)
第II類 フラッシュ暗算 文部科学大臣賞 宮本理香子(東京都 中野区立若宮小学校 6年)
第II類 英単語 小・中学生 総務大臣賞 帝釋敦仁(三重県 伊勢市立厚生中学校 3年)
第II類 英単語 高校生 総務大臣賞 石原拓海(愛知県 県立明和高等学校 3年)
第II類 漢字 小学生 総務大臣賞 堀瑞穂(東京都 世田谷区立芦花小学校 5年)
第II類 漢字 中・高校生 総務大臣賞 山田島直哉(兵庫県 神戸学院大学大付属高等学校 2年)
第1部 ホームポジション基礎 毎パソ特別大賞 藤原麻衣(愛知県 蒲群市立東部小学校 6年)
第1部 ホームポジション応用 文部科学大臣賞 岩間来夢(茨城県 高萩市立松岡小学校 4年)
第2部 ローマ字 文部科学大臣賞 稲見智聡(茨城県 筑西市立協和中学校 2年)
第3部 英文A 文部科学大臣賞 小林颯(東京都 聖徳学園中学・高等学校 中学3年)
第4部 英文B 文部科学大臣賞 栗間友章(東京都 立教池袋高等学校 3年)
第5部 和文A 小学生低・中学年 文部科学大臣賞 土屋果穂(愛知県 南山大学付属小学校 4年)
第5部 和文A 小学生高学年 文部科学大臣賞 橋本悠(福井県 足羽小学校 6年)
第5部 和文A 中学生 文部科学大臣賞 北野真由(大阪府 堺市立鳳中学校 1年)
第5部 和文A 中学生 内閣総理大臣賞 川畑拓也(愛知県 豊田市立美里中学校 1年)
第6部 和文B 高校生 文部科学大臣賞 菅原美里(神奈川県 県立相模大野高校 2年)
第6部 和文B 高校生 内閣総理大臣賞 池下陽南歩(石川県立金沢二水高等学校 1年)
第7部 数字・記号 小学生 経済産業大臣賞 赤堀愛果(岐阜県 岐阜聖徳学園大学附属小学校 5年)
第7部 数字・記号 中・高校生 経済産業大臣賞 鄭在弘(茨城県 茨城朝鮮初中高級学校 中学2年)

表彰式では、毎日新聞社 デジタルメディア局 増田耕一局長が、主催者を代表して挨拶。「今年は地方大会に24万人参加頂いていて、年々広がってきていてうれしい限りです。ここにいらっしゃっている方は、その中でも上位に入賞された方です。ここに来ているだけで、日本の中でもトップクラスだという自負をもって頂きたい」と参加者の技術を讃えた。

毎日新聞社の増田氏

慶應義塾大学 名誉教授の大岩氏

続いて、来賓の慶應義塾大学 環境情報学部 名誉教授の大岩元氏が「30年以上前から入力の研究をしている世界で唯一の人間かもしれない」と自身を紹介。「日本では多くの大人がキーボードを叩きたくないと思っています。したがって、これからは皆さんが周りの大人にどうやってキーボードを扱うか教えてあげる。そういった役割が君たちには課せられている」と参加者への期待を述べた。

全国大会上位入賞者と大会主催者、来賓者

なお、同コンクール次回開催は「2月Web大会」だ。12月13日の正午からエントリーを受け付ける。また、毎日パソコン入力コンクールWebサイトでは、各部門の練習用ソフトを公開している。本稿を読んで興味を持たれた方は是非一度挑戦して頂きたい。