画面を2つに折り曲げられる折りたたみスマートフォンはすでに多くの製品が市場に出てきています。ノートPCでも同様の機構を持った製品がいくつか登場しましたが、価格が高いこともあってあまり普及しているとは言えません。そんな中、レノボはMWC 2025にコンセプトモデル「codename Flip」を出品。折りたたみノートPCのこれが本来あるべき進化系だと感じました。

  • レノボ「codename Flip」

これまで登場した折りたたみノートPCはディスプレイを折り曲げて、片側にソフトウェアキーボードを表示したり、あるいは外付けのキーボードを使う形状をしていました。しかし、ソフトウェアキーボードは高速な文字入力には向いておらず、また、外付けキーボードは持ち運びが面倒です。なによりも曲がるディスプレイを完全に開いたときに、180度フラットな状態で立たせるのも構造的にやや難しいのです。

しかし、codename Flipは折りたたみスマートフォンの形状をベースとした発想をやめ、一般的なノートPCのディスプレイそのものが折り曲がるようにしました。まずは、本体を閉じた姿を見てみます。13型の画面が見えるタブレットスタイルとして使えます。これはディスプレイが360度裏側に回転するノートPCにも見られるスタイルです。

  • 本体を閉じるとタブレットスタイルになる

では、このままディスプレイを開きます。すると普通のノートPCスタイルになります。キーボードは外付け式ではありませんし、市販のノートPCと使い勝手は全く変わりません。このスタイルを見て、このノートPCが折りたたみ型であるとは誰も気が付かないでしょう。実際に手に持ってみましたが全く違和感なく、普通のノートPCとして使えました。なお、パームレスト部分のパッドが多機能トラックパッドになっていますが、これは本コンセプトモデルの特徴とはまた別なので説明は割愛します。

  • 普段は一般的なノートPCとして使える

このスタイルのままディスプレイの裏側を見ると、そちらにもディスプレイがあることがわかります。つまり、ディスプレイが裏側に折りたたまれている状態なわけです。このようにcodename FlipはノートPCのディスプレイだけを折りたたみ式にした構造なのです。表と裏に2画面あれば、商談の時に自分と相手に同じ画面を見せたり、あるいはプレゼンする際に相手側だけにプレビューを見せ、自分は資料を表示する、といった使い方ができます。

  • 裏側にもディスプレイがある

ところでディスプレイを折りたたんだこの状態で、ディスプレイのヒンジ部分となる上部を見ると、ディスプレイが折り曲がっている部分に厚みがあります。そしてこの部分にコントロールボタンが表示されています。ここをタッチすることで裏側の画面表示のONとOFFの切り替えや、表示内容の切り替えが行えます。専用のキーをキーボードに付けるのはスペースの関係から面倒ですが、ディスプレイの曲がった部分にソフトウェアで表示させるのはいいアイディアでしょう。通知が来たらこの部分をフラッシュ点灯させるとか、他にも応用できるアイディアはいろいろありそうです。

  • 折れ曲がったディスプレイ部分に表示のコントロールボタンを配置

さて、この裏側のディスプレイは下側から手動で開いていくことができます。このギミックが今までの折りたたみノートPCと一番異なる部分ですね。ディスプレイはかなり薄く、端を持って開こうとするとディスプレイがややたわんでしまうなど、製品化するにはこのあたりの改良が必要と感じられました。とはいえこれは技術を見せるためのコンセプトモデルですから、もちろん製品になるときは改良がくわえられることでしょう。

  • ディスプレイは開くことができる

  • 表側から見たところ

完全に開くと18型の大きなディスプレイが現われます。この大型ディスプレイ全面を1画面として使うよりも、複数のウィンドウを同時に表示させることで作業効率が大幅に上がるわけです。たとえばブラウザと資料を開き、スプレッドシートやプレゼン資料を作る、あるいは動画編集をしながらプレビューや素材のウィンドウを別に開く、という使い方です。

  • 18型の大画面PCになる。右は開く前の大きさ

前述したように折りたたみディスプレイは厚さが薄く、またヒンジもかなり小さく作られているため、完全に開いたときの耐久性など課題はまだ多くあります。しかし、ノートPCで複雑な作業を行っていると、誰もが外付けでもう1枚ディスプレイを付けたくなるはずです。codename FlipはノートPCのヘビーユーザーにとって、今すぐ製品化してほしいのではないでしょうか。筆者も実際に触ってみて、ぜひ販売してほしいと感じました。

  • ディスプレイ強度など課題はあるが、製品化されれば実用性は十分ある