こんにちは、阿久津です。拙著記事でも述べたように、Windows 10 Insider Preview ビルド10122は、AMD製GPUを搭載した環境でトラブルが発生するなど、いくつかの問題があります。しかし、5月23日の時点でOSG Data and FundamentalsチームのGabriel Aul氏は、バグを修正する更新プログラムをWindows Update経由でリリースした旨をツイートしていますので、該当ユーザーは安心してアップデートしてください。本稿でもWindows 10 Insider Previewもビルド10122を前提に話を進めます(図01)。

図01 Windows 10 Insider Preview ビルド10122。ネット上にリークしたビルド10125は、さらにアイコンデザインが変化するとかしないとか

さて、エクスプローラーのナビゲーションペインにおいて、Windows 8.1の「お気に入り」が、Windows 10 Insider Previewでは「クイックアクセス」に置き換わりました。利用目的は大差ありませんが、「よく使うフォルダー」「最近使用したファイル」をまとめて参照するための存在として、文字どおり使用頻度の高いファイルやフォルダーに素早くアクセスするための存在に生まれ変わりました(図02~03)。

図02 Windows 10 Insider Previewの「クイックアクセス」。自動的に使用頻度の高いファイルやフォルダーが加わります

図03 Windows 8.1の「お気に入り」。こちらは「%USERPROFILE%\Links」フォルダーのショートカットファイルを表示する機能にとどまっていました

Windows 10 Insider Previewでも、「%USERPROFILE%\Links」フォルダーは残されていますが、格納したショートカットファイルを参照している気配はありません。例えば同フォルダーの「ダウンロード」「ビデオ」フォルダーのショートカットファイルを取り除いてエクスプローラーを再起動しても、「クイックアクセス」には変わらず両者が並んでいます(図04)。

リンクフォルダーから各ショートカットファイルを取り除いて、エクスプローラーを再起動しましたが、一部のフォルダーは履歴を用いているため残ります

試しにエクスプローラーの履歴を「フォルダーオプション」から削除してみましたが、「ダウンロード」が消えることはありません。その答えは「ピン留め」にありました。クイックアクセスに並ぶフォルダーは履歴とピン留め情報をもとにしており、「%USERPROFILE%\Links」フォルダーを参照している気配はありません。このあたりはもう少し精査した上でご報告しますが、我々ユーザーはエクスプローラーの新たな操作方法を身に付けなければならないようです(図05)。

クイックアクセスは履歴とピン留め情報をもとにしています

ところで、クイックアクセスの動作を検証していて気付いたのが、「PC」に並ぶ「ドキュメント」や「ピクチャ」といったユーザーフォルダーです。Windows 8.1も同様ですが、不要に感じる方も少なくないでしょう。これらはGUID経由で参照しますが、基本的にはWindows 8.1と同じ仕組みです。そこで今週はWindows 10 Insider Previewでも「PC」からユーザーフォルダー項目を取り除くチューニングをお送りしましょう。

1. 管理者権限でレジストリエディターを起動します。
2. HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\ MyComputer\NameSpaceキーを開きます。
3. NameSpaceキーの内容をレジストリファイルとしてエクスポートします。
4. 下記の表を参考にキーを削除します。
5. レジストリエディターを終了します。
6. エクスプローラーを再起動します。
削除するキー
デスクトップ {B4BFCC3A-DB2C-424C-B029-7FE99A87C641}
ダウンロード {088e3905-0323-4b02-9826-5d99428e115f}
ピクチャ {24ad3ad4-a569-4530-98e1-ab02f9417aa8}
ミュージック {3dfdf296-dbec-4fb4-81d1-6a3438bcf4de}
ドキュメント {d3162b92-9365-467a-956b-92703aca08af}
ビデオ {f86fa3ab-70d2-4fc7-9c99-fcbf05467f3a}

これでチューニングが完了しました(図06~15)。

図06 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図07 レジストリエディターが起動したら、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\ Windows\CurrentVersion\Explorer\MyComputer\NameSpaceまで、キーをたどって開きます

図08 NameSpaceキーを右クリックし、<エクスポート>をクリックします

図09 「NameSpace」などわかりやすいファイル名を入力し、<保存>ボタンをクリックします

図10 表を参考に対象となるキーを右クリックし、<削除>ボタンをクリックします

図11 確認をうながすメッセージが現れたら、<はい>ボタンをクリックしてください

図12 6つのキーを削除したら、<×>ボタンをクリックしてレジストリエディターを終了させます

図13 [Ctrl]+[Shift]キーを押しながらタスクバーを右クリックし、<エクスプローラーの終了>をクリックします

図14 [Ctrl]+[Shift]+[ESC]キーを押してタスクマネージャーを起動し、<ファイル>→<新しいタスクの実行>をクリックします

図15 「新しいタスクの作成」が現れたら、テキストボックスに「explorer」と入力して<OK>ボタンをクリックします

早速結果を確認してみましょう。[Win]+[E]キーを押すなどしてエクスプローラーを起動し、ナビゲーションウィンドウの「PC」を展開してください。するとそれまで並んでいた「ダウンロード」や「デスクトップ」といった項目がキレイになくなります(図16~17)。

図16 こちらはチューニング前の状態。「ダウンロード」を筆頭に6つのユーザーフォルダーが並んでいます

図17 チューニング後はユーザーフォルダーが一切なくなりました

ご覧のとおりWindows 10 Insider Previewでは、エクスプローラーに参照させるGUIDがWindows 8.1と異なることにお気付きでしょう。例えばWindows 8.1の場合「ダウンロード」のGUIDは{374DE290-123F-4565-9164-39C4925E467B}でしたが、Windows 10 Insider Previewは{088e3905-0323-4b02-9826-5d99428e115f}も割り当てられています。共通しているのはデスクトップのみでした。

この変更がプレビュー版における一時的なものなのか判断できませんが、ビルド10122においては上記手順でユーザーフォルダー項目の削除を確認しています。なお、元の状態に戻す場合はステップ3で作成したレジストリファイルをインポートしてください。その際、アクセス権の問題でエラーメッセージが現れますが、特に問題ありません(図18)。

図18 一部のキーに対するアクセス権がないためエラーメッセージが現れますが、エクスポート(バックアップ)した内容は正しくインポート(復元)できます

それでは、また次号でお目にかかりましょう。

阿久津良和(Cactus)