こんにちは、阿久津です。話はWindows 95の時代までさかのぼりますが、以前のWindows OSに備わるスタートメニューを表示する際、若干の遅延が盛り込まれているのは、本コラムを購読されてきた方ならご承知のとおり。あらかじめHKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Desktopキーに文字列値「MenuShowDelay」を用意し、データ値に設定された「400」で、スタートメニューを描画するまでに400ミリ秒の遅延を発生させています。
そもそも文字列値「MenuShowDelay」が用意された理由は不明ですが、データ値を「0」と遅延ゼロにしますと、当時は一部のコンピューターでハングアップする現象が見受けられました。このような背景からMicrosoftは、描画の遅延を行う仕組みを用意したのでしょう。残念、いや幸いというべきでしょうが、筆者はデータ値「0」でハングアップするようなコンピューターに出くわしていませんが、当時所属していた某PC雑誌の編集部では、推奨値として「1」(1ミリ秒)を設定するチューニングを紹介しています(図01)。
Windows 8にも文字列値「MenuShowDelay」は存在し、同じデータ値を保持していますが、この数値を変更してもスタート画面の表示タイミングは変化しません。単なる"名残"として残っているのでしょう。さて、Windows 8のスタート画面はご承知のとおり、[Win]キーやチャームの<スタート>ボタンをクリックすれば、瞬時に現れます。アニメーションなどの過剰な演出も加わっていないため、すぐさま現れるのは優れた特徴の一つと述べてもいいでしょう。
しかし、Windows 8へサインインする際はタイル、ユーザーアイコン、そして「スタート」という文字が順番に描かれていることにお気付きでしょうか。Windows 8では、サインイン時のみアニメーション効果が有効になり、その後は瞬時に描画される仕組みが用意されているのです。この機能をサインイン中でも有効にする方法が、HKEYCURRENTUSER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\ImmersiveShell\Gridキーに残されています。今回はこのアニメーション効果を常に有効にするチューニングをお届けしましょう。
1. 管理者権限でレジストリエディターを起動します。
2. HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\ImmersiveShell\Gridキーを開きます。
3. DWORD値「Launcher_SessionLoginAnimation_OnShow」を作成し、開きます。
4. 値のデータを「1」に変更し、<OK>ボタンをクリックします。
5. DWORD値「Launcher_SessionLogin_IndividualTower_Offset」を作成し、開きます。
6. 値のデータを「1388」に変更し、<OK>ボタンをクリックします。
7. DWORD値「Launcher_SessionLogin_Tower_Offset」を作成し、開きます。
8. 値のデータを「1388」に変更し、<OK>ボタンをクリックします。
9. DWORD値「Launcher_SessionLogin_IconText_Offset」を作成し、開きます。
10. 値のデータを「3e8」に変更し、<OK>ボタンをクリックします。
11. DWORD値「Launcher_SessionLogin_Icon_Offset」を作成し、開きます。
12. 値のデータを「3e8」に変更し、<OK>ボタンをクリックします。
13.レジストリエディターを終了し、Windows 8へ再サインインします。
これでチューニングが終了しました(図02~20)。
図03 レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\ImmersiveShell\Gridまでキーをたどって開きます |
それでは結果を確認してみましょう。[Win]キーを押すとチューニング前と同じくスタート画面が現れますが、アニメーション処理が加わっていることは見てわかるとおり。今回は動画(Windows Media Video形式:約5.5メガバイト)を用意しましたので、チューニング結果はこちらでご確認ください(動画01)。
まず、DWORD値「Launcher_SessionLoginAnimation_OnShow」はアニメーション効果の有無を選択します。効果を無効にする場合は「0」に変更してください。なお、後述する各DWORD値の設定を行わない状態でDWORD値「Launcher_SessionLoginAnimation_OnShow」のデータ値を「1」にするだけでも、タイルやユーザーアイコンなどが順番にアニメーション表示されるようになります。
続いてDWORD値「LauncherSessionLoginIndividualTower_Offset」は、タイルが左から右へ移動する際の数値を指定します。データ値は「0」から「5000(10進数)」の間で指定してください。DWORD値「Launcher_SessionLogin_Tower_Offset」はタイルが右から左へ移動する際の数値で、データ値も同じく「0」から「5000(10進数)」の間で指定します。
今回はDWORD値「Launcher_SessionLogin_IndividualTower_Offset」「Launcher_SessionLogin_Tower_Offset」のデータ値を「5000(10進数)」にしていますので、右端から一回転するようにタイルが描かれますが、前者の数値を小さくすればタイルが右から左へ流れるように描かれ、後者の数値を小さくすれば逆に左から右へ順番に描かれます。ベストな数値というものはありませんので、ご自身の好みに合わせて調整してください。
DWORD値「Launcher_SessionLogin_Icon_Offset」はユーザーアイコンがアニメーション中に表示される位置の右マージンを指し、「Launcher_SessionLogin_IconText_Offset」は同じくユーザー名の位置を指します。こちらのデータ値も「0」から「5000(10進数)」の間で指定可能ですが、タイルほどの効果を確認することはできませんでした。このように各数値を調整することで、スタート画面のアニメーション効果を楽しめますが、"スタート画面を素早く表示する"という長所はなくなりますので、あらかじめご承知ください。
それでは、また次号でお会いしましょう。
阿久津良和(Cactus)