こんにちは、阿久津です。Windows OSの標準メディアプレーヤーであるWindows Media Playerが、最初にリッピング機能を備えたのは、Windows Meに標準搭載されたバージョン7からです。前バージョンであるWindows Media Player 6.4は、単独のメディアプレーヤーとしてOSに搭載されていましたが、あくまでも単純なメディアプレーヤーの位置にとどまっていました。図01をご覧になるとわかるように、バージョン7はメディア関連コンテンツやライブラリ管理、インターネットラジオチューナーを備えるなど、現在のバージョン12に続く設計になっています(図01~02)。

図01: Windows Meから標準搭載されたWindows Media Player 7。CDリッピング機能を初めて備えていました

図02: Windows Media Player 6.4。バージョン7以降を導入しても、同一のフォルダーにある「mplayer2.exe」を実行すれば起動可能でした。Windows 7では使用できません

さて、現在では購入した音楽CDをデータ化し、iPodに代表される携帯型デジタル音楽プレーヤーで楽しむのが一般的ですが、Windows Media Player 12の音楽CDリッピング(取り込み)機能は、操作が大幅に簡略化されました。音楽CDをCD/DVDドライブに挿入しますと、Windows 7の自動再生機能により再生が始まります(図03)。

図03: Windows Media Player 12が音楽CDを認識した状態で<CDの取り込み>ボタンをクリックしますと……

このときに<CDの取り込み>ボタンをクリックしますと、初回は取り込みオプションダイアログが起動し、音楽CDに対するデジタル著作権管理(DRM: Digital Rights Management)に関する選択をうながされますので、<取り込んだ音楽にコピー防止を追加する>もしくは<取り込んだ音楽にコピー防止を追加しない>を選択して、最後に<CDから取り込む音楽が、米国および各国の著作権法ならびに国際条約で保護されていること~>にチェックを入れてから<OK>ボタンをクリックすることで、リッピングが実行されるという仕組み(図04~05)。

図04: 取り込みオプションダイアログが起動し、音楽CDに対する著作権保護に関する選択をうながされます

図05: 設定完了後は自動的に音楽CDのリッピングが実行されます

この設定は恒久的に保存されますので、再び音楽CDをCD/DVDドライブに挿入し、<CDの取り込み>ボタンをクリックしますと、今度は取り込みオプションダイアログは起動せず、すぐに音楽CDのリッピングが実行されます(図06~07)。

図06: 再度、音楽CDを挿入し<CDの取り込み>ボタンをクリックしますと……

図07: 今度は設定を求められず、そのまま音楽CDのリッピングが実行されます

もちろん一度行なった設定を再確認させる必要はありませんから、この仕様は正しいものと言えるでしょう。しかし、誤って意図しない項目を選択した場合は、状況が変化したので異なる項目を選択したいという場面を想像してください。Windows Media Player 12には、取り込みオプションダイアログにある項目を再設定することができないのです。各種設定を行なうオプションダイアログの<音楽の取り込み>タブには、データの保存先や形式の設定、リッピング後の動作といった設定項目しか用意されておりません(図08)。

図08: <音楽の取り込み>タブには、データの保存先や形式の設定、リッピング後の動作といった設定項目しか用意されておりません

そこで今回はWindows Media Player 12の取り込みオプションダイアログを復活させるチューニングを紹介します。なお、下記手順はWindows Media Player 12を終了した状態で実行してください。

1.[Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力してから<OK>ボタンをクリックします。
2.レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ MediaPlayer \ Preferencesキーまでたどって開きます。
3.右ペインにあるDWORD値「CDFirstCopyV10」を右クリックし、メニューから<削除>を選択します。
4.確認をうながすダイアログが起動したら<はい>ボタンをクリックします。
5.同様の手順をDWORD値「CDRecordDRM」にも行ない、同エントリを削除します。
6.[F5]キーを押して変更内容をシステムに反映させてから、レジストリエディターを終了します。

これでチューニング完了です(図09~13)。

図09: Windows Media Playerを終了させてから、[Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図10: レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ MediaPlayer \ Preferencesキーまでたどって開きます。

図11: 右ペインにあるDWORD値「CDFirstCopyV10」を右クリックし、メニューにある<削除>をクリックします。確認をうながすダイアログが起動したら、<はい>ボタンをクリックしてください

図12: 同じくDWORD値「CDRecordDRM」を右クリックし、メニューにある<削除>をクリックします。確認をうながすダイアログが起動したら、<はい>ボタンをクリックしてください

図13: 最後に[F5]キーを押して変更内容をシステムに反映させてから、レジストリエディターを終了します

早速結果を確認してみましょう。Windows Media Player 12を起動し、再び音楽CDのリッピング操作を行ないますと、今後は取り込みオプションダイアログが現われました(図14~15)。

図14: Windows Media Player 12を起動し、<CDの取り込み>ボタンをクリックします

図15: 再び取り込みオプションダイアログが起動するようになりました

そもそもWindows Media Player 12の設定情報は、大半がHKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ MediaPlayer \ Preferencesキーに格納されており、DWORD値「CDFirstCopyV10」が存在する場合、取り込みオプションダイアログの起動が抑制される仕組みです。ちなみにレジストリの動きを観察するとデータ値は参照していませんでした。

もう一方のDWORD値「CDRecordDRM」は、文字どおりデジタル著作権管理に関する設定ですが、存在の有無は取り込みオプションダイアログの起動に関係ありません。ただ、同ダイアログで設定するのが本エントリのため、削除することにしました。ちなみにデータ値は<取り込んだ音楽にコピー防止を追加する>を選択した場合は「1」、<取り込んだ音楽にコピー防止を追加しない>を選択した場合は「0」となります。

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)