Windows定番のDAWソフト「Cakewalk SONAR X2」を使って、音楽制作を始めるための基礎知識や音楽制作のヒントを解説していくこの連載。今回はシンセサイザーの音作りについてご紹介します。SONAR X2には、たくさんのソフトウェア・シンセサイザーが付属しており、それぞれに膨大なプリセット音色が収録されているのも大きな魅力。どの音色も完成度が高く、それだけで楽曲を作ることもできますが、曲によっては"もう少し○○○した音にしたい"なんて感じることも多いはずです。

しかし、いざシンセサイザーの画面を開くとツマミやスライダーがたくさん並んでいて、どこから触ればいいのかわからず、非常に複雑なものに見えるはずです。今回は、シンセサイザーの音作りのはじめの一歩、「フィルター」を使って簡単にオリジナル音色を作る方法をご紹介しましょう。

シンセサイザーを使ってみよう!

シンセサイザーの画面には、色々なパラメーター(ツマミやスライダー)が並んでいて難しく見えますが、実は非常にシンプルです。まず「オシレーター」というセクションで基本となる音を作り、「フィルター」で明るさを、そして「アンプ」で音量を調整します。それぞれに細かいパラメーターがありますが、基本はこの3つのセクションで構成されています。

ゼロから音色を作っていくのは大変ですし、シンセサイザーの知識も必要ですが、 SONAR X2に収録されているソフトウェア・シンセサイザーには、膨大なプリセット音色が用意されています。まずはプリセットを切り替えながら"使いたい音に近いイメージを持った音色"を選びましょう。

選んだあとは好きな音色になるように微調整していけばOKです。プリセットを選べば「オシレーター」と「アンプ」はある程度イメージに近い状態になっていると思いますので、あとは「フィルター」を調整するだけで簡単にオリジナル音色が作れます。

「フィルター」の働きは、その名の通り"不要なものをカットする"というもので、シンセサイザーでは「オシレーター」で作った基本の音から、不要な周波数の音をカットしていく……。ちょうど前回紹介したEQのようなものをイメージしてください。そして重要なのがカットする周波数を決める「カットオフ」です。このパラメーターで高域や低域をカットすることにより、音色の明るさを調整できます。

さらに「レゾナンス」というパラメーターで、「カットオフ」周辺の音を強調する量を変化させることができます。こうすることで、「フィルター」の掛かり具合を強調し、音にクセを付けることができます。たったこれだけで、いかにもシンセ! というカッコいい音色を作ることができるのです。その音色の変化を動画でチェックしてみてください。

オリジナルのシンセ音色を、簡単に作る手順

【1】自分のイメージに近いプリセット音色を選びます。
【2】フィルター・セクションの「カットオフ」で音色の明るさを調整します。
【3】さらに「レゾナンス」で音のクセを調整します。

SONAR X2に付属するシンセサイザーは、膨大なプリセットを収録。プリセットをいじれば、簡単にオリジナル音色を作ることができます!

ヒント~アルペジエーターとは

動画内で使用している「アルペジエーター」とは、指一本でさまざまなフレーズを演奏できる自動演奏機能の一種です。演奏している/打ち込んだ音を基準にして、自動的にフレーズを作成することが可能です。「z3ta+」のように、シンセサイザー自体にアルペジエーターを内蔵したモデルもありますが、SONAR X2ではプラグイン・シンセサイザーやMIDIトラック内にアルペジエーター機能が内蔵されています。この機能を使うことで、アルペジエーター機能のないシンセサイザーや外部MIDI機器でも、フレーズの自動演奏を行うことができます。

インスペクタの左下のタブで「MIDI」を選択すると、アルペジエーター機能を利用できます。プリセットの中にはシンセ系だけでなく、ベースやギターのフレーズも用意されているので、アレンジに便利ですよ!

シンセの音色に変化を付けてみよう!

さらに一歩踏み込んでみましょう。シンセサイザーを使った楽曲で、曲に合わせて音色が変化しているようなサウンドを聞いたことがありませんか? あれは、曲に合わせて「フィルター」の「カットオフ」と「レゾナンス」を変化させる、シンセサイザーの定番テクニックです。しかし、それを再現するために、曲を再生するたびにマウスで画面を操作して……というのは現実的ではありませんよね。

では、どうしているのでしょうか? それは"オートメーション"という機能を使ってツマミの動きをDAW上に記録していくのです。こうすることで、曲を再生するたびに「フィルター」の動きを再現することができます。以下のような簡単な手順で、よく聞くシンセサイザーらしい動きのあるサウンドを作ることができます。

曲にフィルターの動きを記録する手順

【1】トラックまたはシンセサイザー画面にある、「オートメーションの記録」ボタンをクリックして赤く点灯させます。
【2】曲を再生しながら、パラメーターを記録させたい通りにツマミやスライダーを動かします。

オートメーションで音色に時間変化を付け、動きのあるシンセサイザーらしいサウンドを作ってみよう!

今回は「z3ta+」を使って紹介しましたが、Pentagon IやRaputure、D-Proなど、ほかのシンセサイザーも基本は同じです。ゼロから音色を作ろうと思うと大変ですが、プリセット音色を元にすることで、イメージ通りのサウンドを簡単に作ることができます。膨大な数のプリセット音色が用意されているSONAR X2ならではの使い方ですね!