富裕層はずっと1つの国や地域に住むとは限らず、移住する人も多いようです。富裕層の移住先として多く選ばれているのはどの国なのでしょうか。今回はヘンリー&パートナーズ社が発表した、富裕層の移住先ランキングを紹介します。

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富裕層の移住先ランキング(純流入数の予想)

英国コンサルティング会社「ヘンリー&パートナーズ」が2024年に発表した、富裕層の移住先のランキングを紹介します。2024年に予測される、富裕層の純流入数でのランキングを表したものです。

1位はアラブ首長国連邦で+6,700人、2位はアメリカで+3,800人、3位はシンガポールで+3,500人という結果になりました。

  • 富裕層の移住先ランキング(純流入数の予想)

移住先として人気の国についての考察

ランキングで上位に入った国について、富裕層から支持されているポイントを解説します。

1位:アラブ首長国連邦

アラブ首長国連邦は7つの首長国から構成される国家で、大都市のドバイが有名です。アラブ首長国連邦は富裕層の受け入れに積極的であり、各種の税金を優遇される点が富裕層を引き付けています。

特にインド・中東・ロシア・アフリカの富裕層に人気があり、2024年にはさらにイギリスやEUからの流入増も予測されています。

2位:アメリカ

アメリカには、世界の最先端のテクノロジー企業が集まっています。中でもフロリダは世界の富裕層の引退先の1つとして注目されている地域です。

相続税の控除額も10億円と大きく、共通語が英語という点も人気のポイントです。

3位:シンガポール

シンガポールはビジネスに最適な地域の1つであり、教育・医療・治安も高水準です。富裕層に人気の移住先として、常に上位に位置しています。

シンガポールでは原則としてキャピタルゲインに課税されないことから、世界で最も急速に成長しているファミリーオフィスの中心地でもあります。

気候が比較的温暖で暮らしやすい点も、富裕層に支持されています。

4位:カナダ

カナダは、特にヨーロッパやアジアからの富裕層の移住先として人気があります。トロントやバンクーバーなどの都市が主な移住先です。

生活水準や医療水準、教育水準などが高いこと、大自然が豊富なことも人気の理由です。

5位:オーストラリア

オーストラリアは富裕層の移住先として定番の人気があり、これまで毎年5,000人以上の富裕層の純流入がありました。しかし2024年の予測は+2,500人であり、ピークを下回っています。

オーストラリアへの移住先で人気の都市は、シドニーとメルボルンです。教育や医療の水準も高く、安心して暮らせる点も評価されています。

6位:イタリア

イタリアへ移住する富裕層が向かうのは、リグーリアやロンバルディアといった裕福な地域です。相続税が4%と控えめな数字で、イギリスなどから多くの富裕層を集める要因となっています。

また、イタリアの経済は、他のヨーロッパの国より比較的好調なのも人気の要因です。

7位:スイス

スイスは永世中立国であり、節税しやすい点が評価されています。富裕層向けに資産運用や税制・相続などのサービスを提供する「プライベートバンク」も、スイス発祥の金融サービスです。

この数年で人気がやや落ちましたが、それでもランキング上位に入ってくる国の1つです。

8位:ギリシャ

かつて金融危機に陥り、将来が不安視されたギリシャですが、経済が力強く回復しています。この数年間で不動産価格が高騰し、富裕層も増えました。

富裕層に人気のエリアは、首都アテネ、ミコノス島、クレタ島などです。

9位:ポルトガル

ポルトガルが富裕層を引き付ける要因は「ゴールデン居住プログラム(ゴールデンビザ)」です。ポルトガルの居住用不動産などに投資すれば、長期の居住権を獲得でき、将来的には市民権の獲得にもつながります。

2023年末にゴールデンビザの投資対象から不動産が外され 、ポルトガル企業などへの投資が求められるようになりましたが、それでも富裕層からの人気は続いています。

10位:日本

コロナ後に、中国の富裕層が日本に移住するケースが増えています。日本は世界の中で比較的安全な国の1つに数えられているのも人気のポイントです。