Microsoftのサイトにはまだページがないが、Microsoftストアで「Copilot Keyboard (Beta)」の配布が行われている。キーボードに付いている「Copilotキー」ではなく「Copilotキーボード」、これは言語入力用のIME(Input Method Editor)である。MicrosoftのAI(Copilot)の名前を冠してあるが、ざっと触った感じ、変換機能そのものには、AIが使われているような気配がない。ただし、Copilotのプロンプトウィンドウを簡単に開くことは可能で、Copilotと連携しているIMEというところだろうか。
変換した単語のいくつかは、その意味を表示できる。ただし、その引用元は、Wikipediaになっている(そのためのシステム辞書あり)。Wikipediaが間違いだらけとは言わないが、辞書としては「権威」に欠ける。権威とは、それを利用したことに対する他人の評価である。単語の意味をWikipediaで調べたと言ったとき、人によっては「大丈夫なのか?」と思う可能性がある。しかし、広辞苑で調べたといえば、不安を抱かれることはない。正しいか、正しくないのか、ではなく、多数の人に信頼されているかどうか、といった問題である。
このCopilotキーボードには、かつての「イルカ」や「冴子先生」を思い出す、「キャラ」(Copilotキャラクター)がある。このキャラには、それぞれ独自のスキンが用意されている。もちろん、オフにできるが、Copilotを使うという点からみると出しておいた方が便利だ。幸いなことに、Copilotアイコンをキャラとして表示できるため、会社で使っても、「ふざけている」、「遊んでいる」と後ろ指を指されることはなさそうだ。Windows XPのとき、検索機能を使うと、カワイイ子犬が表示されたが、日本の企業では、すこぶる評判が悪かった。当時は、パソコンを触ることもできない、オヤジが多く、検索ペインの子犬を見て、「遊んでる」と注意されることもあった。
そもそも、「カワイイ」からといってCopilotキーボードを使いたくなるのかというと、そうじゃないだろ、と思う人は多いのではないか。Microsoftのマーケッティング、あるいはプロダクツリーダーは、かなり考え違いをしている。「お前を消す方法」で有名なOfficeアシスタントは、1997年のOffice 97に搭載された。もう30年近く前のことである。そのリベンジなのか、それとも、関係するMS社員の誰も覚えていないのか(この可能性が高い)、同じ失敗を繰り返すような気がしてならない。
さて、Copilotキーボードだが、実体は、「C:\Program Files\CopilotKeyboard」にインストールされている。ここにあるDictsフォルダにシステム辞書がある(写真01)。ユーザー辞書(学習辞書)の場所は、ユーザーフォルダの下にある「$env:APPDATA\Microsoft\Copilotkeyboard\ja-jp」である。
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写真01: Copilotキーボードのシステム辞書。このうち「eigaDic.dic」、「OxfordDic.dic」、「WikipediaDic.dic」は、MS-IMEのシステム辞書フォルダに無く、残りのファイルはMS-IMEと同じもののようだ
システム辞書フォルダにある「sdds0411.dic」がおそらくメインのシステム辞書と思われるが、これは、MS-IMEのシステム辞書とファイル名とファイル先頭のマジックナンバー"UDF"が同じである。このことから、Copilotキーボードは、MS-IMEのバリエーションであり、追加辞書などを加えて最新単語などに対応しているのだと思われる。また、インターネットから変換候補を入手するクラウド候補はMS-IMEにもある。中身がほぼMS-IMEだとすると、将来的にMS-IMEがCopilotキーボードになってしまう可能性もある。
今回のタイトルネタは、「ウルトラマン」(1966~1967年)の第33話「禁じられた言葉」から。60年以上も前のコンテンツなので、ストーリーに関してはインターネット検索などで調べてほしい。このエピソード、サトル君の態度は、今なら学級委員的に見える。しかし、彼は宇宙人や怪獣が多数登場する作中世界で、それらと戦う科学特捜隊隊員の弟である。意味の有り無しにかかわらず、拒否するのが当然である。今では薄くなった「言霊信仰」的なものもあるかもしれない。のちに弟の学年誌の付録にあった怪獣カードに「巨大フジ隊員」というのがあったときには、かなり笑わせていただいた。
