REALFORCEシリーズのコンパクトキーボード「RC1」をお借りすることができたので、短期間の評価ではあるが、レポートを行いたい。筆者は、可能な操作はできるだけキーボードショートカットを使い、日本語入力は親指シフト、左コントロールキーとCapsLockは必ず入れ替えるなど、カスタマイズしてキーボードを使うことが普通なので、必ずしも万人受けするレポートではないことを先にお断りしておく。
REALFORCE RC1とは
RC1シリーズは、以前リポート(窓辺の小石(42) Forceと共に)したREALFORCE R3キーボード(R3HC22)と同じく、USBとBluetoothのハイブリッド接続、専用ソフトウェアによるキー割り当て変更、動作点設定(APC。Acturation Point Changer)、Nキーロールオーバーといった特徴を持つキーボードだ。REALFORCEシリーズであるため、もちろんキーは、静電容量無接点方式である。
以前レポートしたR3もBluetooth接続が可能なので、モバイル利用も想定できたが、当時コロナ禍でもあり、実際に持ち歩いて使うことができなかった。ただ、手に持った印象として、バッテリを入れなくてもかなり重量があった。カタログスペックでは1.3Kgであり、ちょっとしたノートPC並みの重さである。海外取材など、車輪のついたスーツケースやキャリーケースなどに入れるのであれば問題ない重量だが、国内移動でショルダーバッグなどに入れて持ち運ぶのはちょっと苦労しそうだ。これに対して、RC1(C1HJ13)はカタログスペックで0.6Kg。リチウムイオン充電池を内蔵しているのでこれ以上増えることはない。
充電は、USB接続用のType-Cレセプタクルを使って行う。持ち歩くPCに合わせたUSB Type-Cケーブルがあればよい。RC1キーボードで必要なのは、5Vなので、接続先のUSBポートは、Type-Cである必要はなく、USB Type-Aで構わない。実際、付属のUSBケーブルは片側がType-Aになっている。
電源ボタンが本体右側面にあり、状態を示すLEDがF12キーとDeleteキーの間にある。USBコネクタは、本体奥側の側面(F6キーとF7キーの後ろ当たり)にある。付属のUSBケーブルは、Type-C側のケーブルが横方向に出る「アングル」(あるいはL字)コネクタになっている。このため、ケーブルが奥側に飛びだすことがなく、Type-Cコネクタなので、ケーブルを左右どちら側にも出せる。
キーレイアウトと使い心地
筆者の試したのは、日本語配列でキー荷重30gのものである。評価では、前述のAPC設定をすべてのキーで3.0ミリとして行った。
コンパクトな配列というとPFUのHHKB(Happy Hacking Keyboard)を思い出すが、イメージとしては、HKKBのProfessionalシリーズにファンクションキー列を追加したものと言える。最下段やカーソルキーの配置などにも似たものがある。
まず、最上段だが、左端がEscキーで、F1からF12が4キーごとに少し間を開けてグループ化されて並ぶ。右端は、少し間を置いてDeleteキーである。
最下段は、右端がCtrlキー(L-Ctrl)でFn、Win、L-Alt、無変換、スペースと並ぶ。スペーキスーの右側は、変換キー、カナ、R-Ctrl、カーソル右、カーソル下、カーソル左が右端となる。このうちカナキー、R-Ctrlキーは通常キーより僅かに大きい。
親指シフトキーとして使おうとするとスペースキーが少し多き過ぎで、親指を内側に曲げて打たねばならない。とはいえ、キーは普通の静電容量キーなので、キートップはこれまでのものと共通。前回(「かしだし」REALFORCEを改造)同様、何とかなるのではないかと思っている。
ただ、親指シフトだと、シフトの頻度が高い(半濁音の入力など)のだが、右シフトキーが小さく、打鍵時に少し意識する必要がある。
打鍵感に関しては、従来機種と大きな差を感じない。APC(キーがオンになる位置)を深めに設定したので、膝の上など多少不安定な状態でも、他の指につられて小指が多少動いても誤打鍵はなかった。
なお、RC1では、専用ソフトを使うことで全部で4つのレイアウトを使い分けることができる。標準では、Fnキー+F1~F4にキーマップ切り替えが割り当ててあり、切り替えも簡単に行える。また、ユーザーが複数キーを割り当てることができる。ショートカット1~8が利用可能になっている。
フルキー部は、ノートPCなどでも一般的なものだが、この機種に限らず、日本語キーボードの常として右側にキーを詰め込んだ感がある。タブレットなどと組み合わせて外出先である程度のテキスト入力をするのには向いているのではないかと思う。
ARM Cortex-M4プロセッサを採用
借り物なので、許可を貰った上で、中身を見てみた(写真01)。なお、裏蓋を開けてしまうと、保証が受けられなくなる。なので、普通に利用したければ開けないほうが無難である。
コントロール基板は、背面のコネクタの位置にある。というか、コントロール基板にUSB Type-Cコネクタが直付けしてある(写真02)バッテリはこのコントロール基盤の右側に配置されている(写真03)。
搭載されているコントローラーは、STエレクトロニクスのSTM32L433RCT6である。ARM Cortex-M4を使ったSoCで、クロック周波数は80MHz、256KBフラッシュメモリを搭載している。
また、キーボードマトリックスは別基板となっていて、こちら側にもデバイスが乗る(写真04)。おそらくは静電容量スイッチ検出用のものと思われる。
今回のタイトルネタは、フィリップ・K・ディックの短編「パーキーパッドの日々」(原題The Days Of Perky Pat, 1963)である。傑作選などのタイトルにもなったのでご存じの方もいるだろう。