WWDCでいろいろ発表されましたが、どの製品が琴線に響きましたか? 私はご多分に漏れず、MacBook Pro Retinaモデルです。事実上のフラッグシップ機なだけに、買えば金銭に響きますものね……ってそれが言いたかっただけなのですが。

さて、今回は「AirPlay」について。7月公開のMountain Lionでサポートされる予定だが、OS XからApple TVへ出力できる……それだけ? と感じている向きは少なくないはず。しかし周囲を見渡せば、その不満を解消する方法は用意されているよ、という話が今回の趣旨だ。

Mountain Lionで「AirPlay」がサポートされる意味

基調講演で触れられることはなかったが、小型Wi-Fiベースステーション「AirMac Express」が一新された。旧型は2004年6月(関連記事)のデビューから9年、途中802.11nサポートが追加された以外ほぼスペックに変更なしという、Apple製品にしては異例の長寿を誇ったモデルだ。

2004年のデビューから9年、ついに筐体デザインを含む大幅な変更を受けた「AirMac Express」

新AirMac Expressは、"Apple TVのホワイト版"に筐体デザインの変更を受けたことと、2.4GHzと5GHz両方の周波数帯で通信可能になった(同時デュアルバンド)ことがポイントだが、従来AirTunesと呼ばれてきたオーディオストリーム配信機能――AirPlayは映像サポートを加えた機能拡張版――が「AirPlay」に変わったことも見逃せない。AirMac Expressには映像出力ポートがないため、音声のみのサポートという点で機能差はないが、これも7月リリースが正式決定したMountain LionでAirPlayが新たなフェイズに入る準備と理解したい。

当コラムでは、OS X/iOSにおけるAirPlayの活用方法を模索してきたが、ひとつ不満がある。それは第26回『手軽にOS Xを「AirPlayサーバ」として使う』で触れているとおり、OS XがAirPlayの「受け手」(仮にAirPlayサーバと呼ぶ)になれないこと。Mountain LionではAirPlayミラーリングをサポートするが、それはiOSデバイスと同様、Apple TVの利用が前提となる。確かに利便性は向上するだろうが、MacBook Pro Retinaモデルの高精細画面を1080pに出力したところで? などと考え始めると、コンセプトにいくつかの矛盾を感じてしまう。個人的には、OS XにもAirPlayサーバを実装してほしいと考えるのだけれど……。

Apple TVを使わなくても、このようにOS Xの画面にAirPlayストリーミングを映す方法がある!

サードパーティー製AirPlay互換サーバを試す

結論からいうと、AirPlayサーバはサードパーティーからも提供されている。通信経路が暗号化されるAirPlayでは、サーバ/クライアントがそれぞれ「暗号鍵」を持つが、それをなんらかの方法でクリアしてOS XにAirPlayサーバ機能を持たせているのだ。実装はどうあれ、実際OS Xの画面にiOSデバイスの映像や音声(おそらくMountain Lionのものも)をワイヤレス出力できるのだから、AirPlay互換サーバと呼んで差し支えないだろう。

今回試したのは「AirServer」。価格は5台のMacにインストールできるスタンダード版が14.99ドル、ほぼ同機能のWindows版は7.99ドルと安価、しかも同時に複数のデバイスからAirPlayのストリーミングを受信できる(デュアルモード)など、純正品のApple TVに比べコストパフォーマンスが高い。

まずはオーディオストリームから。iPhone 4Sの『ミュージック』で試したが、使い方はApple TVやAirMac Expressとまったく変わらず、再生コントロール横に表示される「[▲]」ボタンをタップしてAirServerが動作するMacを選ぶだけ。選曲時に若干のタイムラグを感じたものの、音質に特段の差は感じられず、じゅうぶん活用できると感じた。MacにつないだUSB DACからオーディオ機器に出力したい、という向きには格好の解法になるのではなかろうか。

AirServerのインストール後、システム環境設定に追加された「AirServer」ペインを開きアクティベーションを済ませれば、いよいよAirPlay互換サーバとして機能する

AirPlayミラーリングの使い方はApple TVとまったく同じ、Dock領域左端のAirPlayボタンをタップして「ミラーリング」をオンにする

AirPlayミラーリングも支障なく動作した。解像度は4種類(720p/iPhone 4S 1:1/新しいiPadとiPad 2 1:1/1080×1080)用意され、利用するデバイスに応じたものを選択できる。こちらは操作時のタイムラグがほとんど感じられず、ゲームのように描画速度を求められるアプリもストレスなく利用できたが、突然(OS X側の)ミラーリング画面が消えたりオーディオにノイズが乗ったりという問題も発生した。

一方、Apple TVにはない独自機能も用意されている。AirServerの管理パネル(インストール後にシステム環境設定に追加される)で「Dual-mode Airplay」をチェックすると、複数のAirPlayクライアントから同時に入力を受け付けることができるのだ。この機能を利用すれば、新しいiPadからビデオストリーミングを受信しつつ、iPhone 4SのAirPlayミラーリングを受ける、といった処理が可能になる。音に時折ノイズが混じるほか、動画もときどき停止するなど再生品質は低下するが、写真のようなコンテンツには利用価値が高いだろう。


純正のApple TVにはない機能として「Dual-mode Airplay」が用意されている

デュアルモード有効時には、複数のAirPlayクライアントからの入力を同時に受け付けることができる

このAirPlay互換サーバソフトをしばらく利用していると、これまでの不満がさらに増してくる。iPhoneで撮影した写真をMacの大きめな画面で確認したいだけなのに、Apple TVを通じてテレビで見なければならぬ理不尽さよ。MacBook Pro Retinaモデルを導入した暁には、この不満がさらにつのるのではないだろうか……。AirPlayの仕様変更で互換サーバの道が閉ざされないことを願いたい。