新iPad漬けの1週間が過ぎ、目がすっかりRetina慣れしてしまいました。大げさではなく、OS Xのフォントを見るとガッカリします。iPhone、iPadときて、次はMacの高精細ディスプレイに期待したいところですね。
さて、今回は「OS XにおけるDLNA環境」について。AirPlayがあるのだから……という意見はもっともだが、DLNAにはDLNAなりのよさがある。iOSデバイスのみならず、デジタル家電との連携がさらに進むOS Xのこと、「DLNAでつなぐ」手法も確立しておいていいはずだ。
AirPlayとDLNA、こう使い分ける
OS XとiOSデバイスを「つなぐ」と聞くと、ついOS X上にあるコンテンツをiOSデバイスで再生する、つまりOS XがサーバでiOSデバイスがクライアントという図式を連想しがちだが、必ずしもそうではない。
たとえば、iPhoneで撮影した写真を大画面で見たいとしよう。iOSの流儀に従えば、テレビにApple TVを接続し、そこにAirPlayで写真を送信することになるが、OS Xではこの方法は使えない。AirPlayにおけるコンテンツの受け手としての機能(AirPlayサーバ)がないからだ。ワイヤレスに限定していえば、iPhoneで撮影した写真をOS Xからの操作で閲覧するには、フォトストリームに送信された写真をiPhoto/Apertureで見るしかない(もちろん、メールに添付して送信などというレガシーな手法は除外する)。
ここで発想を転換し、iPhoneをサーバにすることを考えてみよう。クライアントたるOS X側から、iPhone上の写真を取りに行くというわけだ。しかし、AirPlayはコンテンツを送信(プッシュ)できても、たぐり寄せること(プル)はできない。iOSデバイス間であれば、iOS版『iPhoto』の間で写真を転送する手もあるが、いずれにしてもプッシュ型だ。
こういった用途に、DLNAはピタリとはまる。iPhoneをDLNAのサーバ(DMS)として写真を公開すれば、必要なときOS X側からプルできる。それに、帰宅してOS Xの操作を始めたら、写真を見るだけのためにiPhoneに持ち替えたくはない。それに、DLNAならAndroid端末に対しても同様の操作が可能になる。スマートフォンでアプリを起動したあとはOS Xでご自由に、というスタイルもなかなか合理的と思うが、いかがだろう?
OS Xで動作するDLNAクライアント
DLNAという規格は多岐にわたるため、その体系的な解説をするには紙幅が足りない。ここでは、iOSデバイス上にあるコンテンツを公開する目的で、DMSとしての機能を持つiOSアプリと、DLNAクライアント(DMP)としての機能を持つOS X用アプリケーションをピックアップしてみよう。
まずDMS機能を持つiOSアプリだが、入門編としては『DiXiM DMC』が扱いやすい。DMC(Digital Media Controler、再生を指示するだけの機能)とDMR(Digital Media Renderer、自身では処理を指示できないDLNA再生機能)としての機能を組み合わせ、ビデオレコーダーといったDMS上のコンテンツをテレビなどのDMRデバイスに再生指示する、取り次ぎ役のような働きを持つが、DMSとしても機能するのだ。開発元のDigiOn社は、DLNA関連ソフトで豊富な実績を持つこともあり、数あるDMPとの相性問題が発生しにくい点もメリットといえる。
- DiXiM DMC(350円)
とりあえずOS Xから写真を閲覧できればOKという場合には、『iMediaShare』が便利に使える。設定は必要なし、起動後はただ放置しておけば他のDMPからアクセスできる。動作が若干不安定だが、OS XからiPhone上の写真にアクセスするという用途にはじゅうぶん使えるだろう。
一方のDMP機能を持つOS X用アプリケーションだが、意外なほど数が少ない。少ない選択肢の中でも入手しやすいのが、多くのコーデックをサポートする定番メディアプレイヤー『VLC』だ。リスト形式しかサポートしていないため扱いにくいが、最新版のv2.0.1であれば写真の閲覧には使える。
- VLC(無料)
手元にDMR対応のテレビがあれば、『Kinsky』をお勧めしたい。OS XでDMS(iOS上で動作するDLNAサーバアプリ)をブラウジングし、好みの写真をテレビとOS Xの両方に映し出すことができる。写真はサムネイル画像で確認できるので、VLCよりは格段に扱いやすいはずだ。
- Kinsky(無料)