前回、Finderからdmgファイルを高速にマウントする方法はない……と書きましたが、あるよ、と読者の方から連絡を頂戴しました。折角ですから、(もちろん試したうえで) そのまま掲載させていただきます。

                  ※※※

下記プレファレンスパネルを実行し、「マウント」タブ→「前処理」の「チェックサムを検証」のチェックボックスをオフにすれば、Finderでディスクイメージを開いたときのチェックサム検証が省かれるようになります。

$ open /System/Library/PrivateFrameworks/DiskImages.framework/Versions/A/Resources/DiskImages.prefPane

                  ※※※

ううむ、これは知りませんでした。情報提供、ありがとうございます。皆さんも、defaultsコマンドでしか設定できない裏オプションを発見したなどの独自ネタがある場合、是非とも連絡してくださいませ。

さて、今回は「Wine」について。WindowsのAPIをオープンソースで実装、互換機能を提供することによりWindowsなしにWindowsアプリを実行できるという、一種のレイヤーだ。ここ数年で急速に機能が向上、「一太郎 for Linux」やCodeWeaversの一連の商用製品 (「CrossOver Mac」など) にも使われるなど、実用の度合いを高めている。正式リリースも近いその"原酒"を、出荷前にIntel Macで味わおうという次第だ。

XQuartz導入のススメ

正直なところ、安定して動作するアプリは数えるほど、というのが4~5年ほど前のWine。その後CodeWeaversという後ろ盾を得て開発速度がアップ、最近では間接的ながらGoogleによる資金提供を獲得、特にグラフィック関連機能の互換性が向上。ついに「Photoshop CS2」が正式サポートされるなど、動作するアプリケーションの数は大幅に増加している。結論から言ってしまうが、第165回で取り上げたときと比べると、完成度は格段に上だ。

OS XでWineを利用する場合、Intel MacとDeveloper Toolsが必要。話が複雑になるので、ここでは対象システムをLeopardに限定させていただく。さて、インストールの手順は……とその前に、最新版のXQuartz(2008年4月24日現在の最新版はX11 2.2.0.1)を入手し、X Window Systemをアップデートしておこう。非公式なパッケージではあるが、不具合の修正や最新のセキュリティ対策が盛り込まれている。その他注意点については、当コラム第261回を参照いただきたい。

まずはlibjpegをインストール

Wineをコンパイルするときには、libpngやlibjpeg、FreeType、libfontconfigといった (X11用の) ライブラリは必須。幸いにもLeopardのX11には一式揃っているため、libsane (スキャナ用のライブラリ) など一部機能を我慢できれば、ライブラリを気にする必要はない。

筆者の場合、以前から気になっていたSIMD命令対応のlibjpegを、この際インストールしてみた。オリジナルに比べ、JPEGの圧縮 / 展開が十数パーセント高速化されるそうなので、試す価値はアリだろう。

$ curl -O http://cetus.sakura.ne.jp/softlab/jpeg-x86simd/sources/jpegsrc-6b-x86simd-1.02.tar.bz2
$ tar xjf jpegsrc-6b-x86simd-1.02.tar.bz2
$ cd jpeg-6bx
$ ./configure --enable-shared --enable-static
$ perl -i -pe 's/RM= rm -f/RM= rm -rf/' Makefile
$ make
$ sudo make install install-lib install-headers

Wineのコンパイル

ライブラリさえ揃っていれば、Wine本体のコンパイルは特記事項なし。以下のコマンドラインをTerminalへ入力、面倒ならコピー & ペーストして、30分ほど待てば一丁あがり。これで、下準備は完了だ。

$ curl -O http://ibiblio.org/pub/linux/system/emulators/wine/wine-0.9.60.tar.bz2
$ tar xjf wine-0.9.60.tar.bz2
$ cd wine-0.9.60
$ CFLAGS="-I/usr/X11/include -L/usr/X11/lib" ./configure --with-x
$ make depend && make
$ sudo make install

ようやく試飲です

この段階ではWineの試飲には時期尚早、コマンドを実行しても何も起こらず辺りは静か (シーン) ……と駄洒落はさておき、環境変数の定義は忘れずに。以下の要領でLD_LIBRARY_PATH環境変数を定義しなければ、TrueTypeなどのスケーラブルフォントが認識されないのだ。できれば、~/.bash_profileなどのログインスクリプトに記述しておこう。

$ export LD_LIBRARY_PATH=/usr/X11/lib

これでTerminalから「winecfg」を実行し、Wineの設定パネルが現れればインストールは完了。あとはフォントの設定など環境整備を行えばPhotoshop CS2への道も遠からじ、というところで紙幅が尽きた。次回は、Wineの環境設定について紹介してみよう。

winecfgの「オーディオ」タブ。[Test Sound]ボタンをクリックしてみよう

メモ帳 (notepad) のフォント設定パネル。次週はもう少しWindowsらしくします