シャープは、東京、大阪、名古屋の3カ所に、法人向けショールーム「3×3 Hub(スリーバイスリー ハブ) SHARP Interactive Showroom」を開設している。従来の「シャープBtoBショールーム」を進化させたもので、シャープのBtoBに関する製品やソリューションを、DX、CX、GXの観点から、具体的な活用シーンを通じて、体験することができる場となっている。東京・浜松町のシャープ東京ビルの「3×3 Hub」を訪れてみた。写真を中心にその様子をレポートする。

  • 「3×3 Hub」が設置されている東京・浜松町のシャープ東京ビル(シーバンスS館)

    「3×3 Hub」が設置されている東京・浜松町のシャープ東京ビル(シーバンスS館)

2024年11月11日にオープンしたシャープの法人向けショールーム「3×3 Hub」は、「スマートオフィス」、「スマートリテール/スマートパブリック」、「スマートインダストリー」の3つのゾーンで構成するとともに、「DX(Digital Transformation)」、「CX(Communication Transformation)」、「GX(Green Transformation)」の3つの「X」を掛け合わせた提案を行い、同社が提供する各種製品やソリューションを集結した「Hub」としての役割を持つことをコンセプトにしている。

3つのゾーンと3つのX、そして、Hubとしての役割が、「3×3 Hub」に込められた意味だ。

  • 「3×3 Hub」の入り口の様子。BtoBショールームであることを示している

同社では、「以前のシャープBtoBショールームは、ハードウェアを中心としたものだったが、3×3 Hub は、3つのゾーンにおいて、ソリューションを前面に打ち出した訴求を行っている点が大きく異なっている」と位置づける。

たとえば、3×3 Hubを入って、まず目に入る大型LEDディスプレイは、ハードウェアとしての迫力や特徴を紹介するだけでなく、コンテンツや表示画面サイズの切り替えを、タブレットを使って簡単に行えるようにしている点など、用途にあわせて、様々な操作が可能であることを訴求。導入した現場での利用の広がりや、使い勝手の良さ、メンテナンスのしやすさといったことまでを体験できるようにしている。こうした具体的な体験や訴求が、液晶ディスプレイからの置き換え提案などにもつながっているという。

3×3 Hub SHARP Interactive Showroomでは、500平方メートルのエリアに、約90アイテムを展示。製品やソリューションを体験できるだけでなく、レイアウトを柔軟に変更できるようにしていることで、新製品の発表会や多人数での体験会のほか、用途や目的にあわせて現場のシーンを再現するなど、様々な活用が行えるようにしている。

「課題解決へのヒントや新たな発見を提供する拠点にしていく」という「3×3 Hub」を見てみよう。

  • 「3×3 Hub」を入るとLEDを活用した大型ディスプレイが設置されている。162型のキットモデルを2面組み合わせており、全体サイズは高さ2081mm×幅7224mm、294型の大きさを誇る

  • スクリーンを前に最大150人が参加できるイベントも開催できる。販売店向けの勉強会や記者発表会などでも活用している。JR川崎駅やJR東京駅、JR横浜駅でも、同様の大型LEDディスプレイが導入されている

  • 従来は70型液晶ディスプレイを12面使用しており、ベゼル部分が気になっていたが、それも解消された

  • LEDディスプレイの裏側に特別に入ることができた。従来のフレーム(黒いフレーム)を再利用しており、そこに新たなフレーム(白いフレーム)を組み合わせた。配線がすっきりしているのがLEDディスプレイの特徴だ

  • 実際に使用しているLEDモジュール(Eシリーズ)を展示している

  • LEDモジュールのメンテナンスが簡単なことも体験できる。不具合のあったモジュールだけを交換ができるのが特徴だ

  • 「スマートオフィス」のエリア

  • オフィスのスペースを意識した環境を演出

  • 会議室をイメージしたスペースもある

  • シャープの法人向け電子黒板「BIG PAD」では、実際に文字を書き、オンライン接続した会議も再現できる

  • 86型のBIG PAD。平面にしたり、斜めにしたり、高さを変えたりして、デザインや設計図に直接書き込むことも可能だ

  • シャープは法人向けプロジェクターに再参入。ラインアップを拡充していくという

  • COCORO OFFICEサーバーG2は中小企業向け製品。データの格納だけでなく、業務効率化に対応した様々なサービスが利用できる環境を用意している。中小企業のDX導入を支援することになる

  • 企業内のセキュリティに関する各種ソリューションも用意している。これらも中小企業を対象にした提案だ

  • 議事録作成支援ソリューション「eAssistant Minutes」は、文字起こし、話者分離、要約生成などを行う

  • 「eAssistant Minutes」は、シャープの独自のエッジAI技術「CE-LLM」を活用したホストPCで処理するため、外部ネットワークに接続せず、セキュアな環境で議事録などを生成する

  • 「eAssistant Minutes」で、会議の内容をテキスト化した様子。左側では会議の内容を要約して出力している

  • 「スマートリテール/スマートパブリック」のエリア

  • 電子ペーパーディスプレイ「ePoster」による店舗向けサイネージソリューションの事例を紹介

  • ePosterの裏面には磁石がついていて、簡単に設置できる。液晶ディスプレイではできないような提案もePosterであれば可能だ

  • ePosterや液晶ディスプレイに表示するコンテンツもタブレットで簡単に切り替えることができる

  • 簡単配信サイネージセットトップボックス「POP Vision」を通じて、表示するコンテンツをWi-Fiで配信できる。たとえば、店舗でパンが焼きあがったら、すぐに写真入りで告知することが可能だ

  • アドバンスコントローラは、PCが不要でディスプレイへのコンテンツ配信が可能だ。複数拠点の店舗にも対応できる

  • デジタルサイネージソフトウェア「e-Signage Pro」を活用し、複数のサイネージの管理だけでなく、店内のカメラ映像や外部情報なども同時に表示することが可能だ

  • 営業車などを持つ企業を対象にしたアルコールチェック管理サービス「スリーゼロ」も実際に体験ができる

  • スリーゼロでは、義務化されたアルコールチェックを効率的に運用し、安全運転管理者の負担を軽減できる

  • ハンディーターミナルを活用した在庫管理の事例。機能をカスタマイズできる点が特徴だという

  • POSターミナルも店舗に設置した状況を再現している

  • 「スマートインダストリー」のエリア

  • 自動搬送装置などを展示し、利用事例などを紹介している

  • 飲める氷として注目を集めているアイススラリーと、専用に温度設定した冷蔵庫も参考展示。身体への冷却効果の高さもその場で体験できる。夏場の工事現場などに最適な提案だ

  • スマートグラスを活用したピッキング支援ソリューション。画像認識コードをもとに、正しくピッキングする場所をスマートグラス上に指示する

  • このピッキング支援ソリューションはシャープの子会社であるDynabookによるもので、dynaEdge DE200なども活用する

  • コインパーキングシステムは、センサーやカメラを取り付けるだけで実用化できる駐車場ソリューション。ゲートやロックバーが不要であるため、低コストで導入が可能だ。近隣の店舗との連携によって店舗が配布するクーポンで駐車料金の割引サービスを行うといった活用もできる

  • シャープの複合機も幅広く展示している。グレーの色調が特徴だ

  • 業界最小モデルとして注目を集めているA4サイズの「BP-C131WD」。オフィスや病院の受付などにも設置しやすい高さで設計した

このように、3×3 Hubは、シャープの法人向け製品やソリューションを実際に体験できる場として活用されている。具体的な利用シーンを想定し、そのメリットや導入における課題などを捉えながら、相談できる点は大きな特徴だ。

なお、3×3 Hubの東京ショールームの住所は、東京都港区芝浦1-2-3 シーバンスS館22階。営業時間は午前10時から午後5時まで。土日祝日、夏期および年末年始は休館。法人を対象とした完全予約制となっており、個人の予約は受け付けていない。