ループシーケンス機能搭載で初心者でも手軽に音楽制作が楽しめるソフトとして販売されているインターネットの「Mixture」、その無償版が登場した。製品版との違いは何か、無償版でも十分に使えるものなのか、チェックしてみよう。

無料で使えるループシーケンスソフトが登場

音楽制作ソフトはプロも使うような高機能なものからエントリーユーザー向けの手頃な価格の製品、そしてオーディオインタフェースなどハードウェアを購入すれば無償でバンドルされているものまでいろいろと存在するが、試用期間や機能が限定されたいわゆる試用版を除けば、誰でも無料で使えるソフトというものは少ない。前述のバンドル版は無料ではあるものの、音楽制作ソフトをちょっと試しに触ってみたいという人にとっては、いきなりハードウェアを買うのは敷居が高いかもしれない。

4000種類以上の豊富な素材が付属する、ループシーケンス機能を備えた音楽制作ソフト「Mixture for Windows」の製品版

エントリーユーザー向け音楽制作ソフトのひとつが、インターネットの「Mixture for Windows」。同梱されているオーディオ/MIDIフレーズをトラックに貼り付け、ドラッグしてフレーズをループさせることで曲ができるループシーケンス機能を搭載した音楽制作ソフトだ。実売価格は1万円前後と手が出しやすく、音楽的知識がなくても直感的に使えることも特徴だ。

Mixture無償版はインターネットのWebページでメールアドレスとパスワードを登録してアンケートに答えることでダウンロードできる

ダウンロードページはシリアル番号と共にメールでお知らせ、インストール時にシリアル番号と自分で設定したパスワードの入力が必要となる

この11月より、誰でも無料でダウンロードして使える「Mixture for Windows無償版」というものが公開された。パッケージで販売されている製品版とはバンドル素材集や一部の機能に違いはあるものの、音楽を作るうえでの基本的な機能は共通。また試用版ではないため期間の制限などもない。お金を掛けずに、でも音楽制作を始めてみたいという人には注目すべきソフトだ。

コード自動生成などMixtureの特徴はそのまま搭載

Mixture無償版は一般的なDAWソフトと同じように複数のトラックが並び、そこにバンドルされているオーディオ/MIDI素材である「フレーズ」をドラッグ&ドロップすることで曲作りを進めていく。トラック数は48本で、オーディオフレーズをドロップすればオーディオトラック、MIDIフレーズをドロップすればMIDIトラックになり、素材の種類を気にせずどんどん曲作りを進めていくことができる。また1本のトラックにオーディオ/MIDIフレーズを混在させることも可能だ。

ウィンドウ右下に「フレーズ」や「コード」といった素材がリスト表示されているところが素材パネル、ジャンルや楽器の種類で素材を絞り込み表示することもできる。ここで素材を選び、右上のソングパネルにドラッグ&ドロップして貼りつける。貼り付けたフレーズはドラッグすることで長さが変わり、ループさせることが可能

フレーズはバンドルされたものを使うだけでなく、楽器やマイクを接続してオーディオレコーディングしたり、ピアノロールでMIDIフレーズを作成するといったことも可能。またMIDIレコーディングに関しては「シングtoスコア」という特徴的な機能が用意されている。ソフトシンセも搭載しており、細かく音色をカスタマイズしたりプラグインとして新しいソフトシンセを追加するといったことはできないが音色を選ぶことはできるので、さまざまな楽器音のフレーズを作り出すことは可能だ。

接続したマイクに鼻歌を吹き込むことでMIDIフレーズに変換できる「シングtoスコア」機能も搭載

またMixtureの特徴はコード進行を指定できる「コードトラック」というものを備えていることにもある。さらに曲のジャンル、そしてイントロ、Aメロ、Bメロといった、だいたいの構成を指定することで曲のコード進行を自動生成する機能も備えており、音楽的知識がなくてもそれらしい曲ができてしまう。

曲のジャンルと大まかな構成を指定することで自動的にコード進行を割り出し、コードトラックに貼り付ける「コード自動生成」機能

このように無償版とはいえ、かなりの機能を備えているMixture無償版。音楽制作における基本的な機能に違いはないが、製品版との差は以下の通りだ。

  • バンドル素材数が約100種類(製品版では約4750種類)
  • 音楽CD作成機能なし
  • MP3出力機能なし
  • ユーザー登録およびサポートサービスなし

なお素材集に関しては、製品版に付属するものをジャンルで分類した「Mixture素材集」が全10種類、各1260円でダウンロード販売されており、物足りなくなったら追加することも可能だ。またこのMixture素材集を購入することでユーザー登録が可能となり、サポートサービスが供されるようになる。

ツールバーに用意された「素材購入」ボタン、これをクリックすることでMixture素材集のダウンロード購入ページが開く

Mixture無償版はバンドルされる素材こそ少ないものの、機能的には製品版とほとんど変わらず、またMixture素材集を追加することもできる。音楽制作に興味を持っている人ならまず試してみて、物足りないようならMixture素材集を購入したり、またSteinbergの「SEQUEL」やSony Creative Softwareの「ACID Music Studio」といったエントリーユーザー向けのループシーケンス機能を備えたライバルソフトを検討してみてもよいだろう。どちらにせよ、初めてチャレンジする人にとっては嬉しいソフトの登場と言えそうだ。