FL STUDIOは、他の音楽制作ソフトに比べても、かなり多くのソフトシンセやエフェクトがあらかじめ付属している。今回はソフトシンセをチェックしてみよう。
シンプル~高機能まで20種類以上のソフトシンセが付属
FL STUDIOの各チャンネルはWAV/AIFFを始めとしてさまざまな形式のオーディオファイルを読み込めるサンプラーであり、またサンプルライブラリもかなり豊富に付属しているため、これだけでもかなり楽しめるが、もちろんそれだけではない。FL STUDIOの中でも上位版であるXXL EDITIONには音源として実に20種類以上ものソフトシンセが付属するのだ。
これだけの種類が付属するとなるとさすがにそのすべてを紹介することはできないが、特徴あるものを取り上げてみよう。
ここでは高機能なものを紹介したが、同じドラム音源にしても「Fruity Kick」のように非常にシンプルな音源も用意されているのも特徴だろう。確かに高機能なソフトシンセは使いこなせばさまざまな音が作り出せるが、使いこなすまではなかなか大変なもの。FL STUDIOはシンプルなものから高機能なソフトシンセまで用意されているため、曲作りの経験が少ない人であってもまずはシンプルなソフトシンセを使い、直感的に楽しみながらフレーズを作っていくことができる。使い手のレベルアップに合わせ、高機能なソフトシンセも併用するといった使い方ができるだろう。
個人的に気に入ったのは「Speech Synthesizer」というもの。これはキーボードから入力したテキストを、さまざまな声質やピッチで歌う、というよりは読み上げる音源。テクノポップなどでよく活用された、ボコーダーでのロボットボイスも手軽に再現できる。本格的にボーカルを入れるためではなく、曲中でアクセント程度に使うものだが、エフェクトとしてのボコーダーとは違い、まずマイクを用意してレコーディングするといった敷居の高さがない。思いつきで、気軽に使えるのが面白いところだ。
FL STUDIO7では高機能波形エディタも追加された
FL STUDIO7では新たに「Edison」という波形エディタも搭載された。これによりサンプルファイルやループファイルを編集できるだけでなく、ノーマライズを掛ける、EQで音を作る、フェードイン/アウト処理を行う、といったことができる。またFL STUDIOにはもちろんオーディオレコーディング機能も用意されているため、オリジナル素材からループファイルを作る、といったことも可能だ。
このEdisonは他の音楽制作ソフトのようにいわゆるエディタとして起動するのではなく、エフェクトとしてセットするのもFL STUDIOの特徴だ。このため、他のエフェクトを通したパターンを、Edisonでレコーディング、つまりかけ録りするといったこともできる。
エフェクトの話に入る前に、ミキサーについて説明しておこう。FL STUDIOのミキサーは、64本のトラックと4本のセンドトラックが用意されている。つまり64チャンネルミキサーなのだが、最初ちょっと戸惑うのが、プレイリストに並んでいる各パターン、つまりステップシーケンサのチャンネルは、ミキサーのチャンネルに連動しているわけではない。同じチャンネルという言葉のため混同しがちだが、ステップシーケンサのチャンネルはあくまでも音源を示しており、オーディオ出力としてのミキサーチャンネルは独立して設定できるのだ。
このため別々の音源を使ってドラムフレーズを作っている場合、たとえばバスドラ、スネア、ハイハットを3つのパターンで別々に作成していても、1つのミキサーチャンネルにルーティングし、共通してエフェクトをかける、といったことも簡単にできる。プレイリストの見た目から各パターンがそのままミキサーチャンネルと連動していると捕らえがちだが、使い方がわかれば考え方としてはシンプルである。