上限なしで複数パターンが使えるシーケンサ
intuaがリリースしているiPhone/iPod touch用音楽系アプリ「BeatMaker」。前回はパッドで演奏できるサンプラー機能について紹介したが、今回はそのサンプラーで本格的な曲作りができるシーケンサ部分をチェックしていこう。BeatMakerのシーケンサは複数のパターンを作成でき、各パターンは任意の位置で演奏のオン/オフを設定できる。つまりBeatMakerでいうパターンとは、ループシーケンサやDAWでいうトラックと同じ概念だ。
初期状態のシーケンサは、まだパターンが組まれていない空の状態。BeatMakerでのパターン作成方法は2つあるのだが、ここではまずベーシックな打ち込みを見てみよう。左端に表示されている「PATTERN 1」をタップすると、パターン作成画面が開く。
シーケンサの基本画面。複数のパターンを作成して同時に演奏できるが、初期状態ではまだ空の状態。左側の「PATTERN 1」をタップするとパターン1の作成画面が開く |
パターン作成画面。縦が各パッド、横がステップとなる。ステップ数は16ステップで固定。なお縦16列すべては表示されていないが、上下にドラッグすることで表示範囲は移動する |
この画面では縦16×横16のパターンを組むことができる。縦に並んだ16列はサンプラーの各パッドに対応しており、横16列は16ステップを表している。つまりパッド1に割り当てたバスドラムで4つ打ちを刻むなら1行目の1、3、5…をタップしてやればよいのだ。よくあるステップシーケンサ的な操作で、わかりやすい。
パターンが完成したら「SONG SEQUENCER」をタップすると、再びシーケンサ画面に戻る。ここでパターン1の各小節をタップしてやれば、その小節位置に先ほど組んだパターンが挿入される。「ADD PATTERN」をタップすれば新たなパターン列が追加され、どんどん違うパターンを組んでいくことができる。公式Webによればパターン数の上限は制限がないことになっている。実際には読み込んでいるキットのファイル容量などから動作に問題が出る場合もあるかもしれないが、何十パターンも同時に演奏など極端な使い方をしなければ特に問題はないようだ。
パターン1で各小節位置をタップすると、そこに作成したパターンが挿入される。いったん貼り付けたパターンを削除する場合は再度タップ |
新たなパターン列を追加し、それぞれでパターンを組み、貼り付けていく。ループシーケンサ的な操作方法だ |
リアルタイムレコーディングやベロシティ/グルーヴ設定も可能
BeatMakerではもうひとつ、パターン作成方法が用意されている。それはサンプラーのパッドを使ったリアルタイムレコーディングだ。これは先ほどの打ち込みで作成したパターンを演奏しながらでもレコーディングできるので、リズムに乗りながら新しいパターンを作り出すことができる。
その方法は非常に簡単だ。左下の「∞」をタップしてツールバーを開き「RECORD」をタップするだけだ。すると画面表示がサンプラーに切り替わるとともに、現在シーケンサに貼り付けた各パターンが再生されるので、あとは自由にパッドを叩けばよい。
「RECORD」をタップするとサンプラー画面が開くので、パターンやメトロノームに合わせて自由に演奏する |
シーケンサ画面に戻り各小節をタップすれば、リアルタイムレコーディングで作成したパターンが貼り付けられる |
そして作成したパターンはベロシティとグルーヴの調整も可能。ベロシティは音の強さで、グルーヴは演奏タイミングを前後に微妙にずらすことでグルーヴ感を演出できるパラメータだ。同じ4つ打ちのバスドラムであっても、ベロシティやグルーヴの設定を変えたパターンをいくつか作っておき、曲の進行に合わせて配置していけば、かなり複雑な音を作り出すことすら可能である。
パターン作成画面で「VELOCITY」をタップすれば、パターン内各ビートを上下にドラッグしてベロシティを設定できる |
「GROOVE」をタップすればグルーヴ設定画面に。各ビートの演奏タイミングを前後にずらし、グルーヴ感を出すことができる |
シーケンサ上部のルーラ部分を左右にドラッグすればスタート/エンド位置を変更して自由にループ再生範囲を設定可能。ループ再生のオン/オフはツールバーの「LOOP」ボタンで切り替える。なおルーラに表示されている「▼」は現在の再生位置だ |
なおシーケンサのループ再生はもちろんオン/オフできるほか、ループ位置を自由に調整することもできる。そしてプロジェクトを再生しながらパッドを叩くことは、リアルタイムレコーディングに限らず純粋な演奏、つまりパフォーマンスプレイとしても可能だ。そのためまず基本的なビートをパターンとしていくつか作成して貼り付けておき、そのプロジェクトを再生しながらサンプラーのパッドを叩けば、難しいことを考えずともかなり楽しめるだろう。
このように本格的なサンプラーとシーケンサ機能を備えているBeatMaker、次回は内蔵エフェクトなども使ってみよう。