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J&Wの「JW-RS780UVD/AM2+」は、CeBIT 2008などで出展され話題となった、基板上にローカルのディスプレイキャッシュを搭載するAMD 780Gマザーボードだ。今回、J&Wよりサンプルボードを拝借できたので、これを紹介しよう。
ちなみに、こちらの記事でレポートした時点では日本国内に販路を持っていなかった同社だが、このたび、ファストを通してJW-RS780UVD/AM2+の国内販売開始が決定している。発売は17日からとのことなので、首を長くして待っていたユーザーには朗報だろう。
J&W「JW-RS780UVD/AM2+」
主な仕様メーカー | J&W |
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製品名 | JW-RS780UVD/AM2+ |
フォームファクタ | Micro ATX |
対応ソケット | AM2+ |
対応CPU | Phenom、Athlon 64、Sempron |
チップセット | AMD 780G+SB700 |
対応メモリ | PC2-8500/6400/5300×4スロット(最大8GB) |
拡張スロット | PCI Express x16(Gen 2)×1、PCI×2 |
ストレージ | SATA×6、PATA×1 |
ネットワーク | 1000Mbps×1 |
オーディオ | 7.1ch HDオーディオ |
インタフェース | USB2.0×6(×2はヘッダピン) |
それでは、まずは軽く製品仕様を確認しておこう。チップセットはAMD 780G+SB700で、ご存知の通り、780Gチップセットの内蔵グラフィックコアはATI Radeon HD 3200。これはDirectX 10、高画質化機能のAvivo HD、動画再生支援機能UVDなどに対応するATI最新世代の高性能グラフィックスコアだ。
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グリスがキレイに拭き取れずちょっと汚いのが申し訳ないが……、AMD 780Gチップセット。「0747 ENG」「P80371.00.W08」「215-0674020」といった刻印が確認できる |
こちらが本製品のキモとなるディスプレイキャッシュ。Qimondaの「HYB18T512161B2F-25」で、容量64MBのDDR2メモリチップだ |
チップセットが備えるグラフィックス出力の機能も非常に豊富で、HDCPキーも持つため、別途HDCP対応のグラフィックスカードなどを用意しなくても、そのまま著作権保護機能に対応したコンテンツを楽しむことができる。今回紹介するJW-RS780UVD/AM2+に関しても、バックパネルにHDMI、DVI、D-Subといった多数の出力端子搭載を装備、デジタル+アナログでのマルチディスプレイ環境の構築もオンボード機能だけで実現可能だ。
ところで、搭載可能なCPUは最新のPhenom世代まで幅広いが、J&Wの製品紹介のページによればTDP 125WのCPUはサポート外とされている。サポート外というだけで、実際に動くかどうかは試してみないとわからない部分もあるだろうが、上位CPUを利用する際には注意が必要だ。
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BIOSで割り当てを細かく設定できる。「SIDEPORT」を選べばオンボードのディスプレイキャッシュを利用可能。ちなみに、今回試したBIOSでCMOSクリアすると、ディスプレイキャッシュはDisable、UMAはAUTOで128MB割り当て、という設定に |
さて、細かい話はさておき、ここからは本製品の最大の特徴であるディスプレイキャッシュ周りを確認したい。J&Wによれば3Dグラフィックス性能が最大15%ほど向上するとされているのだが、実際にベンチマークテストを実施してこれを検証してみたいと思う。JW-RS780UVD/AM2+ではディスプレイキャッシュのON/OFF、UMAの割り当てなどをBIOSで細かく設定できるので、
ディスプレイキャッシュのみ・ディスプレイキャッシュ(64MB) ディスプレイキャッシュ+UMA
・ディプレイキャッシュ(64MB)+UMA(32MB)=計96MB
・ディプレイキャッシュ(64MB)+UMA(64MB)=計128MB
・ディプレイキャッシュ(64MB)+UMA(128MB)=計192MB
・ディプレイキャッシュ(64MB)+UMA(256MB)=計320MB UMAのみ
・UMA(32MB)
・UMA(64MB)
・UMA(128MB)
・UMA(256MB)
・UMA(512MB)
といったパターンで、3DMark06(デフォルト設定)のスコアを計測する。目安として、マザーボードのみをディスプレイキャッシュ非搭載の他社製780Gに換装、別途そのスコアも測定しているので、あわせてご覧いただきたい。今回の主なテスト環境は以下の通り。
CPU | AMD Athlon 64 X2 4400+ 2.3GHz | |
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マザボード | JW-RS780UVD-AM2+ | GIGABYTE GA-MA78GM-S2H |
チップセット | AMD 780G+SB700 | |
メモリ | CorsairMemory DDR2-800 1GB×1 | |
ハードディスク | Western Digital Raptor 150GB SATA 10000rpm | |
OS | Windows Vista Ultimate |
ベンチマーク
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グラフ1のテスト結果を見る限り、メモリ割り当て量を数パターン試してみても、UMA単体よりディスプレイキャッシュ+UMAのスコアの方が確実に高くなっているので、場合によっては最大15%ほどの性能向上という話も納得できる。ちなみに、UMAのみで32MB/64MBの場合と、ディスプレイキャッシュのみで64MBの場合のスコアが大きく違うという結果も出ているが、原因は接続バスの帯域とか、そんなところだろうか? もう少し調べてみないとわからないが、ひとまずはちょっと面白い結果だ。
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極端な例だが、どちらも1GBのメモリモジュールを装着した状態で、左はディスプレイキャッシュのみを割り当てた場合、右はUMAで512MB割り当てた場合。システム側で使えるメモリを増やせるというメリットも存在する |
また、3DMarkのスコアにはあまり出てこない部分なのだが、ローカルのディスプレイキャッシュからメモリを割り当てた分、UMAにとられるシステムメモリの容量を減らせるといったメリットもある。余った分のシステムメモリは他のアプリケーションに回せるので、通常のパソコンの使用用途なら、3DMarkのスコア以上に快適動作に貢献できる部分もあるだろう。
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ついでに、グラフ1から、想定される現実的な環境のみで比べた際のスコアを、わかりやすいようにグラフ2と3に抜き出してみた。グラフ2はUMAのみで128MB、ディスプレイキャッシュとUMAの合計で128MBという場合の比較で、後者の方がシステムメモリとして利用できる容量が大きい上に、3DMarkスコアも良好という結果。グラフ3は、おそらく最近のパーツ事情で普通にAMD 780Gマザーボードで組んだ際に、BIOS標準設定などでUMAへ自動割り当てされるであろうUMA 256MBを基準に、ローカルのディスプレイキャッシュが追加された場合を比較してみた結果だ。
新規参入で今後も期待
さて、まだ製品の販売開始前なので様子を見る必要はあるのだが、仮にJW-RS780UVD/AM2+の店頭販売価格が、他社のディスプレイキャッシュ非搭載780Gマザーボードと比較してそれほど変わらないのであれば、同製品に対するお買い得感は非常に高くなるだろう。ちなみにJ&Wの担当者曰く"ロープライス"も同社製品の特徴なんだとか。JW-RS780UVD/AM2+は単なる新製品ではなく、J&Wにとっての新規参入第一弾製品でもあるので、市場がこれをどう受け止めるのか……。そのあたりにも注目したい1枚である。