前回に続いて(ずいぶん間が開きましたが)、LED電球についてです。電球型蛍光灯には、寒い季節になると明るくなるのが遅くなるという欠点があります。そのため、玄関やトイレの照明などのように、短時間しか使用しない、温度が低くなりやすい場所で使うのには向いていないといわれています。
それに対して、LED電球ではそのようなことはなく、寒い場所でも問題なく使用できるというのですが、実際のところ、どうなのでしょうか。実験してみたいと思います。といっても、筆者の住んでいる神奈川県では、部屋の中では、まだまだ暖房を入れなくても、電球型蛍光灯の点灯速度が遅くなる程の寒さではありません。そのようなわけで、電球型蛍光灯、LED電球を冷凍庫で冷やしてみました。
で、冷やした電球(便宜的ににここでは電球としておきます)を点灯させ、その明るさの変化を測定してみたいと思います。また、参考に白熱電球の点灯時間も計測します。使用するのは前回と同様、すべて東芝ライテック製で、白熱電球が「ワットブライター」の40W型、電球型蛍光灯が「ネオボールZ REAL」(電球色)の40W型相当、LED電球が「一般電球型LEL-AW4L/2」です。
これらの電球を接続したソケットをカメラの三脚からぶら下げ、その真下に置いたPico Technology社のデータロガー「Dr.DAQ」で、明るさの変化を測定します。こういった測定方法なので、測定されるのは、スイッチを入れてからの時間ではなくて、明るくなり始めてからの時間ということになります。Dr.DAQの測定結果は、絶対値としてはあまり信頼できるものではないのですが、今回のように相対値を調べるだけならば何とかなるでしょう。
まずは、普通の白熱電球からです。グラフ1が白熱電球の明るさの変化です。点灯後、すぐに明るくなっていることが分かります。数値を見てみると、125msでフルの明るさになっていました。続いて、電球型蛍光です。グラフ2のように、電球型蛍光灯の場合、電源を入れてから点灯するまでの時間が、2秒強、さらに点灯後も暗いままで、点灯から15秒経過した後でも、白熱電球の20%程度の明るさにしかなりませんでした。最後にLED電球です。グラフ3のように、LED電球は、白熱電球と同じように瞬時に明るくなりました。数値を見てみると、点灯後62msでフルの明るさになっており、白熱電球よりも立ち上がりはよいように見えます。
今回は、冷凍庫で冷やすという、電球型蛍光灯にとっては、かなり過酷な条件での測定でした。とはいえ、これだけ差がでてしまうと、寒冷地ではかなり使いにくいのではないでしょうか。各社とも、白熱電球の生産を打ちきり、LED電球や電球型蛍光灯に移行しようとしていますが、ひょっとすると、LED電球は白熱電球を駆逐するよりも先に電球型蛍光灯を駆逐してしまうかもしれません。