趣味性の高いものを除けば、家電製品は"家事にかかる労力を減らすための機器"だといってまちがいない。なかでも洗濯機は、新生活をスタートする際にぜひともそろえておきたい家電製品だ。
手軽なのは小容量の全自動洗濯機
量販店などの新生活家電コーナーで販売されている洗濯機の多くは、洗濯・脱水容量が6kg以下の全自動洗濯機だ。一人暮らしならば、洗濯容量は6kgでまず問題ないといえるだろう。スーツで仕事へ行き、洗濯物はすべてクリーニングに出すといったような生活なら、容量はもっと小さくてもOKだ。
ヒーターを使わずに送風のみで乾燥する「風乾燥機能」(メーカーによって呼び名は異なる)を搭載している全自動洗濯機もある。たいていの風乾燥機能は、1kg~2kg程度の化繊素材の衣類を乾かすというもの。とはいえ、化繊以外の衣類でも洗濯物に含まれている水分を減らす効果は見込める。部屋干しでの乾燥時間を多少は短縮できるので、花粉やPM2.5が怖くて外干ししたくない、という人にもオススメだ。
手間をかけたくないのなら洗濯乾燥機
全自動洗濯機よりもさらにラクをできるのが洗濯乾燥機だ。洗剤を入れてスイッチを押すだけで、ユーザーは乾燥終了まで何もする必要がない。
では、縦型とドラム式のどちらの洗濯乾燥機を選べばいいのだろうか? 縦型は水をためてすすぎを行えるというメリットがある。一方のドラム式は音が静かで、夜間でも周りに気兼ねせずに使用できるというメリットがある。縦型の洗濯機でも動作音を抑えたモデルが出てはいるのだが、実際のところ排水時の音はどうしても避けられない。洗濯機をかけるのは夜間という生活を送っているのならば、ドラム式を検討してもよいだろう。
洗濯物の乾燥方式についても説明しておこう。最も一般的なのがヒーターを使用するタイプで、価格も一番手ごろだ。しかし、乾燥時の消費電力量は大きく、洗濯から乾燥までのコースで2,000Wh程度の電力を消費するものがほとんどだ。
ヒーターではなく、熱交換によって乾燥させるヒートポンプを使用したモデルも増えてきている。乾燥時の消費電力が抑えられ、洗濯~乾燥での消費電力量は1,000Wh以下のものが多い。また、日立アプライアンスは、蓄えておいた廃熱を乾燥時に使用する「ヒートリサイクル方式」を採用したモデルを発売している。こちらも洗濯~乾燥の消費電力量は1,000Wh以下に抑えられている。
ランニングコストを下げたいのならヒートポンプ方式やヒートリサイクル方式を採用したもの、導入コストを下げたいのならヒーター式を採用したもの、となる。なお、一般的に縦型はヒーター式、ドラム式はその他の方式を採用していることが多い。
サイズは大きな問題
ドラム式の洗濯乾燥機は確かに便利なのだが、導入には3つほど考慮すべき点がある。1つは価格だ。洗濯・脱水容量6kgの全自動洗濯機は4万円前後で購入できるものが多いが、ドラム式洗濯機は10万円以上がほとんどで、上級モデルだと20万円を超えるものもある。
2つ目は狭い場所に置けないという点だ。一人暮らしなら洗濯・脱水容量は6kg以下で十分だと先ほども述べたが、そもそもドラム式は小さくても洗濯容量7kgからのモデルしかなく、選択肢も限られている。住環境によっては、防水パンに設置できなかったり、玄関のドアや廊下で引っかかってしまって搬入すらできなかったり、という場合もあるのだ。
3番目は衣類の材質によってシワが発生してしまうという点だ。日立の「風アイロン」や東芝の「ヒートポンプ除湿乾燥」といったシワを伸ばす機能を搭載したモデルはある。しかし、これらの機能はドラム式の中でも上級モデルにのみ搭載されていることが多く、価格も高いのが現状だ。
ただし、使い方次第ではシワを防げる。洗濯脱水コースで運転して、脱水が終わった際にシワが付きやすい・シワを付けたくない衣類を取り出すのだ。残りの洗濯物は乾燥のみのコースで運転し、取り出した衣類は干せばよい。これなら手間を省きつつも、満足のいく仕上がりになるはずだ。ちなみに、縦型の洗濯乾燥機だと脱水終了時に衣類が絡まりやすいので、選別して衣類を取り出すのが大変、という側面もある。
新生活向け洗濯機の選び方のまとめ
設置スペースと予算に余裕があるのならば、ドラム式洗濯機を薦めたい。新生活向けにドラム式洗濯機を薦めるのはいくらなんでも……と思う人もいるかもしれない。何といっても、洗濯・脱水容量6kg以下の縦型の全自動洗濯機は中心価格帯が4万円前後と、一般的なドラム式洗濯乾燥機の半分以下なのだ。
しかし、ドラム式を導入すれば洗濯にかかる手間はだいぶ省ける。運転音が静かなので、夜に洗濯するのもアリだ。全自動洗濯機との価格差と、こうしたメリットを天秤にかけてみて、「ラクをしたい」という気持ちが勝ればドラム式を検討してみてほしい。