今回の新型コロナウィルスは人々の健康や生活だけではなく社会や経済にも大きく影響を及ぼしている。特に外食産業やイベント業への被害は大きく、閉店や倒産する店や企業も増えてきているのが現状だ。

だが一方で、言い方は悪いがコロナ需要で、売り上げや業績を伸ばした商品や業種があるのも事実である。

だからと言って「コロナ様様です!」とダブルピースをしたり、「いかないでコロナ!」と工場に横断幕を掲げたら、会社がリアル炎上不可避なので、大っぴらには言わないと思う。

私がライターや漫画家として深くかかわっている出版社も「編集部が通常通り機能できず、雑誌休刊やWEB連載休止などご迷惑おかけしておりますが全力でがんばっています!」などと言っているが、実は業績的にいうと電子書籍需要でウハウハなのでは、という邪推が止まらない。

世の中には意外な需要があるものだ

電子書籍が売れているなら作家もウハウハでは、と思うかもしれないが、電子書籍が売れているからといって私の本まで売れているとは思わないでほしい。この世にどれだけ電子書籍があると思っているのだ。どさくさに紛れるにも無理がある。

多分、鬼滅の刃とかのダウンロード数がさらに上がっただけだ。

万が一電子書籍が売れているとしても、電子書籍の売上というのは出版社にもよるが、振り込みが「半年に1回」というところも珍しくなく、どれだけ振り込まれるのかは基本的に「支払い通知ではじめて知る」と言う状態である。

よって電子書籍の振り込みは未だに「ボーナス」感覚の作家も多い。つまりそれをあてにして生きるのは危険すぎるということだ。

出版社にいちいち聞けば教えてもらえるのかもしれないし、意識の高い作家は電子の売り上げも逐一把握しているのかもしれないが、逆にいえば「聞かなければ基本的に知らせない」という状態なので、ボンクラ作家は、いついくら振り込まれるかわからない電子書籍売上を口を開けて待ち、「何か振り込みがあったラッキー!」とか言っているのが現状である。

雑誌が休刊して、原稿料が入らなかったり、本が出ても売ってくれる書店が休業、ネット書店も日用品優先で在庫が補充されないなど、今のところ作家は損しかしていない。

さて、私が損しかしていない証明が終わったところで、では、コロナの影響で売れるようになった商品は何か、というとまず「マスク」を想像するかもしれないが、マスクはコロナ前も常用する人が多かったため売上上昇率だけで言うとそこまでではないという話がある。つい先日、ビジネス誌の東洋経済が掲載した『コロナで「売れた」「売れなくなった」商品ランキング』という記事によると、第一位は「うがい薬」だそうだ。

コロナの影響で平素の手洗いだけでなく「うがい」をプラスする人が急増した、ということだろう。

そして2位は「エッセンス類」、3位は「プレミックス」である。

プレミックスとは「調整粉」という意味だが、簡単に言えば「ホットケーキミックス類」のことだろう、コロナの影響でからあげ粉が爆売れしだしたとは考えにくい。だったら鶏肉も激売れしていなければ怖すぎる。エッセンス類もおそらく「バニラエッセンス」などと思われる。

外出自粛を余儀なくされているのは子どもも同様であり、外で遊べずストレスがたまっている子どもも多いだろう。しかも子どもは大人のように通販や取り寄せグルメ、課金をしまくって「コロナ破綻」をすること愚か極まりないことすらできないのだ。

そこで親子で出来る室内の楽しみとして推奨されたのが「お菓子作り」であり、簡単にお菓子が作れるプレミックス類が売上急増したと思われる。

「やることがないなら親子でお菓子を作ればいいじゃない」

マリーアントワネットもそう言っていれば、悪女として名を歴史に残さなかったかもしれない。クリエイティブかつ料理の学習にもなる「お菓子作り」というのは非常に良い発想だったのだが、違法じゃない白い粉に需要があるとみるや否や、転売ヤーが粉類を買い占めてフリマサイトなどで売るといういつもの地獄絵図が展開されてしまった。

ホットケーキミックスですら地獄が生まれるこの国はどうなってしまっているのだろう。コロナが終息しても、コロナ騒動により数々の「日本人終わっているムーブ」を見せつけられた能力のある若い人が大量に国外流出してしまうのでは、という懸念すらある。

さて、このように3位までは、なんとなく売上増の理由がわかるのだが、この記事では、4位には「ビデオテープ」という全くの謎がランクインしている。

  • コロナ禍の惨状の裏で、なぜか「ビデオテープ」が売れていた

まるで意味がわからないが、無理やり予想するとすれば、youtubeはおろか、DVDすら触ったことがない老が、暇を持て余し、あらゆるテレビ番組を録画して見ているという現象が起こっているということかもしれない。

そうだとしたら「マイナンバーカードがあればネットで給付金申請ができます!」などと言っても、この方々に通じるはずがない。

申請窓口がマッドマックスになるのは自明の理である。

ビデオテープを愛用されている方からすれば、ネットなんて良くわからないが腹の立つもの、でしかないかもしれないが、ネットを使えるか使えないかで、老後の暮らしの利便性は大きく変わると言っても過言ではない。

むしろ、この外出自粛期間を、普段は出来なかった「ネットとスマホの使い方を覚える」時間に使ってみてはどうだろうか。