日本郵便とかんぽ生命保険の社長が「保険の不適切営業」について謝罪会見を開いた。

「保険の不適切営業」とは具体的にはどのようなことかというと、悪質なケースだとかんぽの営業に「営業に対応した」というサインを求められ、サインをしたら、そのサインで勝手に保険の契約をされていた、という報道もある。

もはや、おちおちサインも出来ぬ。指紋も全部レーザーで焼いておいた方が良いだろう。

これは極端な例だが、他にもAからBという保険に切り替える場合、Aを解約してBの保険に入ると「乗換え」ということになるが、Aの解約を7カ月以上伸ばせば、Bは「新規契約」となり、局員の手当てが増える。よって「すぐ、解約しない方が得だ」などの嘘をつき、AとB両方の保険料を払わせる「二重払い」も大きな問題の一つだ。

実際は得などということはなく、二重で払った部分は完全な無駄だ。まだ、ケツを拭いたり鼻をかんだり、昔の成金みたいに札に火をつけて「どうだ明るくなっただろう」と言った方がマシなのだ。ちなみにこの二重払いは2万2000件もあったらしい。

また、局員から猛烈に保険切り替えの勧められ、入っている保険を解約し、新しい保険に切り替えようとしたら、健康上の理由などで契約が出来ず、逆に「無保険」という無頼派になってしまったという無保険問題もある。当然、無保険の間、病気やケガをしたら大変なことになる。かんぽはこの無頼派も2万3900件発生させたという。

振り込め詐欺よりノルマに注意

被害者は、高齢者が多く、認知症の老人に短期間で10個も保険に加入させたという例もあたという。これからは、振り込め詐欺よりも「保険に気をつけろ」と言わなければならない。逆に名前が「正真正銘の有名保険会社」なぶん、信用してしまうだろうから余計性質が悪いかもしれない。

かんぽが何故、知らない内に自分に保険がかけられているという、松本清張みたいな世界観になってしまったか、というと、局員が私腹を肥やすためではない。局員に厳しいノルマが課せられていたからだ。

どのぐらい厳しいノルマかは具体的には不明だが、「まともにやっていたら無理」なレベルなのは想像に難くない。だからみんなまともじゃない営業をやりだしたのだ。

今回のニュースでは、そこまで言及されていなかったが、かんぽ内で、ノルマによる局員に対する「パワハラ」があったのではないか、と推察される。

不正融資問題を起こした某銀行も、恫喝や椅子を蹴るなどのパワハラがあったと言われている。営業が「無茶しやがって…」をやる陰にはパワハラあり、なケースが多い。

また、局員も顧客に無茶な保険契約をさせていただけではなく、自身もいつ「黒い家」が始まってもおかしくないレベルで保険に入っている場合が高い。

ソースは我が家だ。

私の夫も保険関係の仕事をしているのだが、本人も相当数の保険に加入していて、私がいつ大竹しのぶと化してもおかしくない。だが、私にもかなりの保険がかかっている。私たち夫婦はもやは「とるかとられるか」なのだ。

何故我が家がこんなに、保険だらけかというと、もちろんノルマがあるからだ。自分で保険に入るのも数字になるのである。だが、社員だから保険料が安いなどということはない。たくさん入れば保険料の支払いが大変になり、もはや保険料を払うために働いていたり、保険のせいで健康を害したりする者もいる、そして治療に保険を使えば保険料が上がる。

私も夫に「こんなに保険がいるのか、トリカブトで殺されたいのか」という話したこともあるが、「この会社にいる以上仕方ないのだ」と言われると何も言えないのである。

つまりかんぽの局員も、自分や家族に大量の保険をかけ自滅するか、顧客を騙してでも契約を取るか、または両方、という状態だったのではないだろうか。

何事も自分で理解しないとダメらしい

客を騙したり、保険料を払うために働いたりという状態が、健康に良いはずはない。それに気づいたものは辞めるだろうし、辞められない者は徐々にメンをヘラってくる。

つまり厳しいノルマというのは、一時的な数字のために人材を潰す行為なので、最終的に会社に大きな損害となる。またそれが明るみに出れば、このように企業イメージも大きく失墜し、良いことがない。

かんぽだけではなく保険の現場はどこも厳しいノルマがあると思うので、これを機に、自分や親が、知らない内に松本清張世界の住人になってないか、調べてみることをお勧めする。

あと、自分自身も、保険などの「契約」をする時は、ちゃんと契約内容を確認したほうが良い。保険と言うのは、身内などの「つきあい」で入ることも多いだろうが、「身内だから」「つきあいだから」と信用して、安易に判を押さない方が良い。

何故なら、夫が私に保険の契約をさせる時でさえ「何か目泳いでね?」という時があるからだ。

このように身内でも「保険のマイナス面」を説明しないことは、ざらにある。やはり自分で良く読んで理解してから、契約するべきなのである。