ネットワーク上で使えるオープンコンテントといえる百科事典といえば、「ウィキペディア」(Wikipedia)が最も有名だろう。ウィキペディアはウィキメディア財団が運営するオンライン百科事典であり、その規模は日本語版だけでも現在約48万9,823 本(2008年5月13日現在)の記事があり、250を超える言語で執筆され続けている。今回紹介する「iPodia」は、このネットワーク上の巨大な百科事典ウィキペディアを、iPod touch専用のユーザーインタフェースで使えるようにするWebアプリだ。

ソフト名 iPodia
作者 -
ジャンル 辞書
種別 Webアプリケーション
動作確認 iPod touch

機能と特長

iPodiaの初期画面。検索窓と言語設定のみとシンプル

iPod touchのブラウザSafariでiPodiaにアクセスすると、シンプルな初期画面が表示される。

基本的な操作は、検索文字入力用の入力フィールドに調べたい項目を入力、利用言語を設定して[Search]ボタンをタップするだけだ。画面もiPod touch専用にデザインされているため、表示される文字も大きく操作も軽快に行える。

さらに、ウィキペディアにないiPodia特有の機能として、調べた項目のページをまるごとiPod touch本体に保存する機能がある。通常のWebアプリは、ネットワークに接続していない状態では利用できないが、このiPodiaの画期的な機能は、オフラインでの使用を可能にする。すなわち、一度調べた項目を保存しておけば、たとえネットワークに接続していない状態であっても、保存項目を呼び出して表示することが可能となる。

PC用ウィキペディアは広い画面を想定しているため、iPod touchの狭い画面では文字が小さく使いにくい

iPodiaはiPod touch専用にデザインされているため、文字も大きく使い勝手は良好

使用方法

プルダウンメニューから各国の言語を選択できる

iPodiaにアクセスすると、検索文字を入力する入力フィールドと言語設定用のプルダウンメニュー、検索を開始する[Search]ボタンが配置された初期画面が表示される。この初期画面で、中央のプルダウンメニューで日本語を指定し、検索窓に調べたい項目を入力して[Search]ボタンをタップすると、検索結果が表示される。

検索結果の表示画面の上部には操作メニューが表示される。左側から、プルダウンメニューによる「言語設定」、新しい検索項目を入力しその項目にジャンプする[Jump]ボタン、現在表示されているページから指定された文字を検索する[Find]ボタン、現在表示している項目のページをオフラインでも使用できるように、iPod touch本体にデータを保存する[Save]ボタン、iPodiaを抜けて、同じ項目をウィキペディアで表示する[×]ボタンといった、プルダウンメニュー1つと4つの機能ボタンが並ぶ。これらを使うことで、連続的かつ効率的に様々な項目を調べられる。

調べたい項目を入力し、[Search]ボタンをタップすると検索開始

検索結果が表示されると、上部に操作メニューが表示される

上部メニューから連続的に検索

上部メニュー左側に並んでいる、プルダウンメニューによる言語設定と[Jump]ボタンを組み合わせて使うことで、連続的に検索することが可能だ。

言語設定を英語や日本語に切り替え、[Jump]ボタンをタップして調べたい項目を入力することで、気になる項目を効率的に次々と調べられる。

上部メニューからいつでも言語設定が可能

上部メニューの[Jump]ボタンをタップして新しい検索文字を入力する

もちろん、日本語による検索も可能だ。[Jump]ボタンをタップすると、iPod touchとiPhone専用にデザインされた入力フィールドが表示される。リアルタイムなインクリメンタルサーチ機能は搭載されていないが、入力された文字を先頭に持つ項目を一覧表示し、その中から項目を選択するようになっている。一見地味に見えるインタフェースではあるが、細かなところまで配慮され、使い勝手はとても良い。

日本語で検索も可能。入力した文字を先頭に持つ項目が一覧表示されるため、この中から項目を選択することも可能

使用言語を「English」にしてiPhoneを検索した結果

ページ内のキーワード検索も簡単

表示されたページ内の特定のキーワードを探し出すことも、「Find」機能を使えば簡単に実現できる。

上部メニューの[Find]ボタンをタップすると表示される入力フィールドに、検索文字を入力し[OK]ボタンをタップする。ページ内で見つかった検索文字が黄色にハイライト表示され、その近くに小さな操作ウィンドウが表示される。

上部メニューの[Find]ボタンをタップして検索文字を入力

現在表示されているページ内で設定した文字を検索した結果が表示される

表示された操作ウィンドウの[Next]ボタンをタップすると次の検索結果に、[Prev]ボタンをタップすると前の検索結果にジャンプできる。

ページ内で対象文字がマーキングされて表示される

「Find」機能を終了させるには、操作ウィンドウの左上にある[×]ボタンをタップする。簡単に通常モードに戻れる。

オフラインでも使用できる画期的な「Save」機能

いわゆるWebアプリは、通常ネットワークに接続できる環境でなければ使うことができない。しかし、iPodiaには現在表示しているページをiPod touch本体に保存し、ネットワークに接続されていない状態でも呼び出せる、非常にユニークな「Save」機能が搭載されている。

保存したいページを表示した状態で、上部メニューの[Save]ボタンをタップする。しばらく待つと、該当ページがbase64フォーマットに変換され表示される。この状態では、アドレス表示部には「data:text/html;base64,xxxxxx」と表示され、上部メニューの右側にあった[Save]ボタンが消えた状態になっているはずだ。

検索したページを保存したい場合、上部メニューの[Save]ボタンをタップする

ページをブックマークするというメッセージが表示される

base64形式で保存されるページが表示される

あとは、通常のWebページをブックマークする要領で[+]アイコンをタップし、ブックマークする。このとき画像データを含むすべてのデータが保存されるため、かなり時間がかかることになるが、ここは焦らずに待とう。

通常のブックマークと同様にブックマークする

保存に成功したら、次回は通常のブックマークを呼び出すのと同じ要領で保存したブックマークを開くだけで、ネットワークに接続されていない状態でもページの内容を呼び出せるようになる。

いつでも使える手軽な百科事典

会話やメールの中に出てきたちょっとした言葉の意味を調べるのに、いちいちPCを立ち上げることなく、iPod touchで手軽に調べることができるiPodiaは、仕事にプライベートに便利に使えるアプリケーションだ。

ウィキペディアを単にiPod touch専用のユーザーインターフェースに変換しただけでなく、調べた意味を保存し、外出先などネットワークが使えないシチュエーションであっても、保存した内容を表示することができるなど、本当の意味でいつでもどこでも活用できるアプリケーションに仕上がっている。

ただし、このように便利な iPodia ではあるが、情報の元になっているウィキペディアは、情報の信頼性は必ずしも保障されているわけではない。この点を充分に踏まえ、上手に活用してほしい。