若い女性と年配の女性の違いは毛穴にあると以前書いた。もう一つあげるとするなら、揚げ物のときの腰つきに違いが出るのではないだろうか。20代女性の場合、揚げ物をするときの姿勢はどことなく油を遠ざけているように思える。私がそうだった。イカの天ぷらを揚げていると、皮が破裂して油が顔にあたる。最初のジョワーッという音を耳にしただけで1歩後退。手先だけが油の上にある状態で揚げ物をしていた。しかし、年齢を重ねるごとに怖いものは減っていく。いつからか、油ハネなんて全く気にならなくなった。堂々とした姿勢で油に向かうようになったのだ。それでも、一つだけ、いまだに揚げ物をしていると怖いなと思うことがある。
それは火事である。油の温度が上昇し火柱が上がる。近くのものに燃え移り、気が付いたときは火の海に。想像しただけでも身構えてしまう。揚げ物をしているときは、その場を離れず、油の温度に気を配るようにしている。そんな火災の心配を払拭するなら、IHクッキングヒーターが適している。なぜなら、温度を監視する機能が付いているからだ。
東芝のUHP-V331Sの場合、揚げ物温度調整機能で油の温度を170℃に設定したら、それ以上に高くならないようになっている。油の温度を常に監視し、設定温度よりも高くなったら火を弱め、低くなりすぎたら火を強めるようになっている。これなら、地震のときも安心である。それに油の温度が一定だということはおいしさに繋がる。食材を多く入れて油の温度が下がっても、すぐに回復してくれる。一定の温度に保ってくれるから、こまめに温度調節をすることもない。主婦にとっては、意外とこの機能はありがたいのである。
ポークカツを揚げてみた。前回も書いたが、IHクッキングヒーターはガスコンロと違って炎が出ない。なべの周りは熱くないのだ。だから、菜ばしのような長いはしを使わずに割りばしで食材を油に落としても、手は熱くならない。揚げ物が苦手という方、UHP-V331Sを使えば揚げ物に対する見方が変わるに違いない。
少量油でカラッと揚がる
娘の通う学校は2学期が始まってしばらく給食がなかった。お弁当だったのである。エビフライ、鳥のから揚げ、ヒレカツ。揚げ物はお弁当のおかずに適している。が、油の温度が上がるまでに時間がかかるのが難点だ。UHP-V331Sは油の温度がすぐに上がる。理由は火力の強さにあるが、もう一つ。油の量にも関係する。IHクッキングヒーターは少量の油で揚げ物ができるものが多い。UHP-V331Sも同様。なんとコップ一杯、200ccの油でOKなのである。量が少ないので、すぐに熱くなるのだ。通常のガスコンロの場合、ガスに火を入れたら、温度管理のため放置せずにずっと油をにらんでいなければ怖い。でも、UHP-V331Sは温度が上がるまでお任せ。その間は他のおかず作りに時間を費やせるのだ。お弁当作りでも省力化ができる。
IHクッキングヒーターを利用している家庭は壁紙が白いままだという。ガスコンロ利用者、ぐうたら家の壁紙は築10年で、茶色くなっている。誰が壁紙に色をつけたのか。一因は油にあるらしい。揚げ物や炒め物をしていると、なべの外に油が落ちる。これが炎で熱くされて油煙に変わる。その煙が壁に付いて、茶色くなるのだという。IHクッキングヒーターは炎が出ないから油煙が発生しない。換気扇の掃除もものすごくラクなのである。
家電は手入れの簡単さもチェックポイントの一つといいながら、その周辺の壁紙や換気扇の手入れまではあまり考慮せずにいた。壁紙は汚れるもの、壁紙や換気扇の掃除は面倒くさいもの、とあきらめていたのだ。しかし、製品によっては、壁紙や換気扇といった周辺のものまで、手入れをラクにしてくれるものもあるのだ。
煮物、シチューも任せて!
IHクッキングヒーターは火力が強いところが魅力だ。その一方で、焦げ付きやすいのではないか、と不安に思う方もいるかもしれない。心配ご無用である。火力は10段階。本体上面の操作ボタンを押して、調節できる。とろ火も可能だ。特に、UHP-V331Sはなべの下に埋められているコイルが2重になっている。通常、コイルの部分だけ熱くなり、焼きムラや焦げ付きの原因になることもある。が、ダブル加熱コイルでは幅広く熱がなべに伝わるので、とろ火でコトコト煮込むことが可能なのだ。強火の料理だけでなく、シチューなどの弱火が勝負の料理もおいしくできる。
価格は、マイコミジャーナル価格情報(2008年10月31日現在)では83,632円~99,800円になっている。こちらで紹介したUHP-V331Sは据置型といって、シンクの横に設置するタイプのものである。いまさら、システムキッチンにリフォームするのは面倒くさい。でも、うっかり火を消し忘れそうな心配が出てきた実家の親にプレゼントするのもいいだろう。
ぐうたら家のように家事の省力化に注力している主婦にも適している。しかし、よくよく考えるとぐうたら家はマンション住まい、システムキッチンであった。このような家庭は、ビルトインタイプもある。機種により、機能の差異があるので、詳細はご確認いただきたい。しかし、どの機種もIHクッキングヒーターはトッププレートが平らである。従って、手入れがラク。省力化なら間違いない。しかも、おいしくできる。品質を下げずに、工数が減る。魅力満載なのである。
イラスト:YO-CO