カメラ機能と並んで現在の携帯電話に欠かせないもの、といえば音楽再生機能だ。もともと通話や通信のためのスピーカーとディスプレイを備えている携帯電話は音楽再生機能と相性が良く、携帯電話の多機能化、高性能化と相まって、音楽再生機として常用に耐え得る領域にまで達している。

本体サイズ約20(W)×10(H)×46(L)mmと非常にコンパクトな「SBS-WTBT02」

ネックストラップスタイルで使用する場合は、付属の3.5mm-ミニUSB変換ケーブルを使用する

携帯電話の限られた電池容量を基本機能以外の用途で消費してしまうデメリットは音声処理ハードの改善で解消されつつあり、さらに電話やメールの着信音が音楽と同じ音声出力を介するため、音楽鑑賞で耳を塞ぐリスクが軽減するメリットもある。そんな携帯電話による音楽鑑賞が花盛りの昨今、ワイヤレスでより快適な視聴環境をサポートするBluetooth対応スピーカーシステムの使用感をレビューする。ターゲットとしたのはソフトバンクBBの携帯アクセサリーブランドSoftbank SELECTIONのBluetoothステレオヘッドセット DUO Stereo「SBS-WTBT02」。片耳に装着するインナーイヤースタイルとネックストラップスタイルの2種類で使い分けられるのが特徴で、どちらのスタイルでも通話と音楽鑑賞が可能となっている。

Softbank SELECTIONのSBS-WTBT02製品情報によると、Softbankに限らずBluetooth 2.0対応の携帯電話端末に広く対応し、auやNTT DoCoMoは主に2008年以降の多くの端末、Softbankなら2005年以降のシャープ製や東芝製、パナソニック製の端末やiPhoneなどで使用できるようだ。また2008年以降の新しめの端末なら、ワンセグを視聴する場合の音声を出力することも可能になっている。

今回のレビューにはSoftbankのシャープ製端末「815SH」を使用した。ワンセグ視聴には対応しないものの、通話と音楽鑑賞に対応している

まずはペアリング!

Bluetooth機器を使用する場合には、まず無線で接続する機器をペアリング(機器登録)する必要がある。といってもその手順は至って簡単で、電源オフ状態のSBS-WTBT02の操作ボタンを長押ししてペアリングモードで起動し、携帯電話からBluetooth機器を検索、「BLUETREK DUO Stereo」を登録してBluetoothパスキーを入力するだけだ。細かい手順は携帯電話の機種によっても異なる場合があるが、概ね上記の流れで接続できるはず。なお、操作中のSBS-WTBT02の状態は本体の音声で知らせてくれるので、耳に装着しながら作業を進めれば、よりスムーズに接続できるだろう。

ペアリングモードに入ると操作ボタン部分が赤と青に点滅する

携帯電話側でSBS-WTBT02を認識した。これでパスキーを入力すればペアリングが完了する

SBS-WTBT02本体には電源スイッチを兼ねた操作ボタンのほか、ボリューム調整ボタン2つが備えられている。携帯電話とSBS-WTBT02を接続して音声を出力している間は、携帯電話側のボリューム調整が利かなくなり、SBS-WTBT02のボリューム調整のみが反映されるようになる。ボリューム調整用には+(プラス)と-(マイナス)の2つの細長い形状をしたボタンが両端に配置されており、十分な長さがあるので押し分けはしやすい。音楽再生についてはそれ以上の操作はできないが、その他のボタンを省略したことでコンパクトなサイズを実現しているので、やむを得ないトレードオフだ。

なお、音楽やワンセグの鑑賞中に電話を着信すると、一時的に音楽やワンセグの音声が休止し、入れ替わりに着信音が流れて着信を知らせてくれる。この着信音は変更ができないのがやや残念。SBS-WTBT02本体にはマイクも備えられているので、着信時に操作ボタンを押して応答することもできる。ほかに電話関連の操作としてはリダイヤル発信も可能だ。さすがにボタンが3つでは数字入力やメール関連操作はできないが、音楽鑑賞がメインの機器として携帯電話端末に触れずにこれだけの対応ができれば常用には十分といえそう。

ネックストラップ対応で利便性アップ

単独のヘッドセットとしての形状は、片耳に装着するインナーイヤータイプとなっており、音声はモノラル再生になってしまう。また、このスタイルでの使用の際は、本体を固定するのがヘッドホン部のみとなるので、ホールド感に若干の不安が残る。そんな不安と不満を覆すのが、ネックストラップスタイルでの使用だ。付属の3.5mm-ミニUSB変換ケーブルとネックストラップ型ステレオイヤホンを接続して首から下げるだけで、SBS-WTBT02がネックストラップのステレオヘッドセットに早変わりする。

ボリューム調整ボタンは、右耳に装着すると上に、左耳に装着すると下にくる

ネックストラップスタイルにすると胸元にマイク、その下にSBS-WTBT02の本体がぶら下がる

3.5mm-ミニUSB変換ケーブルにはマイクも付いているので、携帯電話の着信に応答することが可能。この場合はSBS-WTBT02本体がBluetooth受信機兼リモコンのように振る舞うことになる。ビジネス用途で手軽に音声を確認する場合はインナーイヤースタイルで、ウォーキングしならがの音楽鑑賞などのプライベートな用途にはネックストラップスタイルで、と場面に応じて使い分ければSBS-WTBT02の利便性が増すだろう。

現状では携帯電話と携帯オーディオを別個に持ち歩いている人も多いと思われるが、SBS-WTBT02とBluetooth対応の携帯電話さえあれば、両方の機能を1つの機器にまとめる事が可能だ。携帯機器を減らしたい時に、一考に値する選択肢となり得るのではないだろうか。

「SBS-BTSKT01」本体表面には、ボリューム調整のほか、着信、再生/一時停止、戻る、進むボタンが配置されている

Bluetoothデバイスとしては「BlueBox」と認識される

なお、携帯アクセサリーなどを扱っているSoftbank SELECTIONブランドでは、SBS-WTBT02のほかに「SBS-BTSKT01」というBluetoothステレオスピーカーシステムも販売している。こちらも試用してみたが、機器のマッチングはSBS-WTBT02とほとんど同じ手順で手軽にでき、防滴仕様になっているので風呂場やアウトドアなど、より広い用途で使えそうだ。SBS-WTBT02よりも本体サイズが大きい分、豊富な操作ボタンを備えているので、操作がわかりやすいのも好印象。価格も手ごろなので、Bluetooth搭載の携帯電話や携帯オーディオにたくさんの曲を入れて持ち歩くような人におすすめしたい。