AIは便利だが、ちょっとした使い方のノウハウを身につけないと、成果を得るのに自分自身が作業するよりかえって時間がかかったり、ときには、ありえない回答に振り回されてしまうこともある。少なくとも現時点ではAIを100%信じるというのは無謀だ。
AIに振り回されないためには、AIに自分が解決したい問題について深く理解してもらうことが必要だ。これは「困りごとの言語化」ともいうべきもので、AIに対して自分の考えや疑問、依頼したい内容などをきちんと伝えるわけだ。それが詳しければ詳しいほど親身になって相談に乗ってくれるし、少なくとも的外れや作話は減る傾向にある、と言ってよい。このプロセスはこれまでプロンプトエンジニアリングなどとも呼ばれていた。
そんなわけで、会議録や会議の要約ならその録音、企画書作りならその骨子や背景、プレゼンスライド作りなら元となる企画書などを用意してAIに渡したうえで、AIといろいろと対話をしながら、最終成果物に仕上げていく。
ところがAIは意外と融通がきかない。たとえば、PDFやWord、Excelのファイルであればサービスごとに上限があり、時期やプランで異なるが、ChatGPTなら500MB、Geminiなら100MBなど(執筆時点)とファイルサイズの上限が決まっていて、それを超えるものは拒否される。また、音声ファイルなどは、ファイルサイズ内には収まっていても、録音時間が30分を超えたものでは処理がおかしくなってきて、架空の会議を作ってしまったり、会議がファイルに録音されていないなどというウソをついたりする。
これを解決するには、長い音声や映像ファイルを10分割するとか、高解像度グラフィックスが含まれるプレゼンテーションデータを圧縮するといった単純作業が必要だ。これがまたたいへんで、なんでAIのためにこんなめんどうくさいことをしなくちゃならないのかと愚痴のひとつもいいたくなったりもする。
そんなときの頼もしい助っ人がソースネクストのアプリ「0秒読書」だ。
「0秒読書」は、購入した電子書籍をPDFにするためのアプリだ。ちょうど紙の参考書籍の一部のページをコピーしてスキャナを使ってPDFにするとか、ページをスマホで撮影してAIに渡すようなイメージで、電子書籍を丸ごと自動キャプチャしてPDFにしてくれる。なお、利用にあたっては各ストア/出版社の利用条件に従う必要がある。
ただ、書籍を丸ごと一冊となると、ファイルサイズもかなり大きくなることは覚悟しなければならない。画像が多い書籍だと1GBを超えることも珍しくない。4Kなど高解像度のキャプチャでは必要以上にサイズが大きくなりすぎる。
それを解決するのが「いきなりAIファイルフィット」だ。こちらは、渡すAIに応じて巨大なファイルを分割してくれる。選択リストにないAIでもサイズの上限を手動設定することができる。このアプリで利用するAIにあわせてファイルをあらかじめ分割しておけば、ストレスなくファイルを渡すことができる。まるで昭和のフロッピーディスク時代のような作業だが、それが令和の時代に最新のAIのために作業しているのが自分に苦笑してしまいそうだ。
ファイルは分割されると xxx01、xxx02.... といった具合に元のファイル名に連番がついた書式のファイル名で生成される。それらを10個なら10個、まとめて渡して処理してくれればラクチンなのだが、そうはいかないこともある。その場合は一個一個個別に渡して、連続していることを伝えるしかない。
また、会議の録音データなど、音声ファイルの場合はファイルサイズではなく、時間に依存することが多い。経験的には30分を超えるとなんだかちょっとAIの回答の様子がおかしくなっていく。だが、このアプリには音声ファイルを30分おきなどと、時間で分割する機能がないので、ファイルサイズを基準にしておおよその最大サイズを推定する。また、一部のレコーダーがデータ形式として使っているogg形式のファイルを扱うことができない。こうしたファイルはあらかじめmp3に変換しておかなければならない。
それでも、AIにファイルを読み込ませる手間を大幅に軽減できるのは確かで大幅な時短になる。本当なら、こうした単純作業こそ、AIに任せたいと思うし、AIも単純な作業こそ正確にこなしてくれるはずなのだが……。






