富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が2023年春モデルのFMV新製品を発表した。新製品群の中で、世界最軽量689gのモバイルノートPC「UHシリーズ」も刷新される。
これまでのUHシリーズは13.3インチのフルHDモニターを装備していたが、新型ではそれが14インチに大型化されている。画面の縦横比はフルHDの16:9から、16:10になり、1,920×1,200ピクセルの画面で縦方向の情報量を増やしている。
これで画面サイズは従来比17%増えているが、筐体のフットプリントは先代機とほとんど変わらない。新型機のサイズは308.8×209ミリで、307×197ミリだった現行機と比較すると横幅、奥行き共にわずかに増えただけだ。発売は3月中旬と、少し先になるが、フレッシュマンシーズンにも間に合いそうだ。
ただ重量は増えてしまった。現行機が634グラムだったのに対して、689グラムと、55グラム増だ。第13世代のCore i7ー1355Uでメモリは16GB、それに14インチの16:10スクリーンは、実使用には申し分のないスペックだ。それがこの重量で持ち運べるのは驚異的だといえる。
薄型軽量ノートPC・LIFEBOOK UHの歴史を振り返る
薄型軽量パソコンの歴史における、LIFEBOOK UHシリーズの台頭は比較的近年だ。
2017年、748gの「LIFEBOOK UH75/B3」(製品仕様)
2018年、698gの「LIFEBOOK UH-X/C3」(製品仕様)
2020年、634gの「LIFEBOOK UH-X/E3」(製品仕様)
2023年、689gの「LIFEBOOK UH-X/H1」(製品仕様)
となっている。ほぼ5年の間にめまぐるしく進化してきている。大雑把に、
748 グラム |
→ | 698 グラム |
→ | 634 グラム |
→ | 689 グラム |
→ | ? グラム! |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1年後 | 2年後 | 2年後 | イマココ | ?年後 |
というステップなので、この先も期待できそうだ。それに、登場当時はびっくりした2018年時点で698グラムの世界最軽量だった「LIFEBOOK UH-X/C3」よりも今回の方が軽いのだ。この製品は、2020年、わずか2年後に64グラムの大幅ダイエットを果たし、634グラムという驚異の領域に突入する。
パソコンの軽量化追求には大きな意味がある
クラムシェルノートパソコンは、2009年にVAIO type Pが626グラムで登場したのがセンセーショナルだった。だが、そのコンセプトとLIFEBOOK UHシリーズの目指すところとはまったく異なる。
UHシリーズは、クラムシェルノートパソコンとして、妥協を最小限に抑えた環境の提供にこだわった上での最軽量を目指している。モバイルに特化する最軽量ではなく、日常的な実使用に耐える最軽量がそのテーマだ。
この先2年間という時間は、クラムシェルノートパソコンに求められる装備にも多少の変化をもたらすだろう。今、どうしても必要なポートが2年後にはいらなくなっている可能性もある。そぎ落とすことがためらわれていた装備を再検討することもできるかもしれない。
今回、画面サイズが大きくなったことで利便性は高まったが重量的には後退だ。これは紛れもない事実で残念なのだが、698グラムから634グラムへの道程が2年間だったことを思うと、2025年には再び、634グラムを切る夢も感じる。クラムシェルノートの重量として、前人未踏の領域に入ることも期待できそうだ。
パソコンの軽量化追求には大きな意味がある。パソコンとヒトとの距離感を縮める役割を果たす重要な要素だからだ。まさに「軽さは正義」だ。今回は、そこに向けたファーストステップといえる。関わっている関係者の努力には本当に感動するしかないのだが、これからも最軽量を追求するのをあきらめないでほしい。