• 渋谷や新橋、皇居近辺などのターミナル駅で新聞各社から号外が配られた(写真は東京・渋谷で配られた朝日新聞の号外)

新元号が「令和」に決定した。

昭和が平成になることが発表されたのは1989年の1月7日。その当日の昭和天皇崩御のことはあっても、一般人としては、まだお正月気分も抜けきらない時期に平成の時代を迎えた。個人的に当時はまだ独り身で実家に帰省中だった。そうなのかという感じでテレビを見ていたのを覚えている。

DynaBook(J-3100SS)や98NOTEなどのノートパソコンが発売されたのは、この年だったので、まだ、セイコーエプソンの98互換ラップトップパソコンPC-286Lを使っていたはずだ。

あのころ、FM東京(現TOKYO FM)で週1レギュラー番組のパーソナリティを担当していたが、前年暮れのほぼ1カ月分は、万が一のときに備えてCM有りとCM無しの2パターンを録音していた。ただ、CM無しのパターンは放送されることはなかった。そして年が明けて平成を迎えることになったのだ。

「令和」対応システム、確認作業はあと1カ月

今回の改元は、昭和が平成になったときのように突然やってくるものではなく、発表されたばかりの「令和」は2019年5月1日から使われる。今上天皇が崩御されたわけでもないので街が悲しみに包まれているわけでもない。ターミナル駅周辺では号外が配られ、パブリックペースでもイベントが開かれるなど、ちょっとしたお祭り気分を味わったかもしれない。

  • 渋谷で開催されたメルカリのイベントでは、書道家の涼風花さんが登壇

  • 涼風花さんは、渋谷ストリーム前に掲示された約2mの額縁風看板に元号を揮毫した

だが、関係者の戦いは始まったばかりだ。周到に用意してきたシステム更新が、本当にうまく作動するかどうかをこれからの1カ月をかけて入念にチェックしなければならない。Windowsも変わる。デジタル業界のみならず、そのほかの業界もたいへんだ。過去に印刷されてしまっている書類を二重線で訂正し、新元号に置き換えるためのハンコまで出てくるようだ。

ややこしいのはこれからだ。公文書の多くが和暦のみをタイムスタンプとしてもつため、今はまだかんたんだが、これから5年くらいたつと、「情報通信白書平成25年版」などというのを見ても、何年前のものなのか直感でわからなくなる。5年後に平成25年は2013年だから10年前だということを瞬時に計算できるかどうか自分ではちょっとあやしい。

和暦と西暦、両方あるとわかりやすい

いっそのこと新元号のスタートとともに、公文書には西暦を使うことを義務付け、和暦表記はオプションにするくらいの改革があってもよかった。元号は日本の文化のひとつとして、なくしてしまうことはできないし、なくす必要もないとは思うが、タイムラインがリニアにわかる工夫を入れ込む絶好のチャンスではなかったろうか。

そもそも和暦表記は法令等で義務付けられているわけでもなんでもない。政府も当初は西暦併記を義務付けるルール策定をもくろんでいたようだが、なんとなく立ち消えになってしまった。こういうことを促進できずにデジタルトランスフォーメーションや働き方改革を叫んでも、どうにもむなしい気持ちになる。将来的には西暦併記義務化の可能性も残されているようなので、そちらに期待したいところだし、各官庁や都道府県は率先してやってほしいと思う。

ともあれ残りは1カ月。関係各方面の健闘を祈りたい。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)