夏休みが分散したといってもやはりお盆はお盆。今週は日本の企業から手元に届くメールも少ないし、発表会のようなプレスイベントも日本国内では皆無に近い。

そんな束の間の休みの間にGoogleから確認メールが届いた。

重要なメールアドレスが間違っている

そのメールには、復元リクエストの確認コードが記載されていた。どうやらパスワード忘れなどでログインできなくなってしまったようだ。そこで、あらかじめ登録してある別のメールアドレス宛に確認コードを記載したメールを送り、その入力でパスワードをリセットするアカウント復元をしたいらしい。その確認メールがぼくの手元に届いたということは、その人は、ぼくのメールアドレスを自分のメールアドレスとして登録してあるということになる。自分ではやる気もないが、この確認コードを使えば、そのメールアドレスを乗っ取ることもできそうだ。

  • 間違って届いたメールの例(担当編集M宛)。宛先を間違えました、というメールも間違えて届いている

似たようなことはまだある。たとえば楽天カードから「カードご請求額のご案内」というメールがぼくのgmailアドレス宛に毎月届く。ぼくは楽天カードに加入していないので心当たりがない。しかも、配信専用のアドレスからなのでクレーム返信はできないし、問い合わせ先メールアドレスも記載されていないので、アドレス間違いを知らせる術もない。そのうち本人が気づいて登録し直すだろうと思って放置しているが、もう半年以上、毎月10通程度のメールが届き続けている。

8月になってからは「カードがお届けできませんでした」というタイトルのメールが届いた。どうやら更新で新しいカードが送付されたようだが、住所も間違って登録されていて戻ってしまったようだ。そして、まさにお盆の今、「お客さま情報の確認についてのご案内」というメールが届いた。こちらは申告済みの個人情報に誤りの可能性がある会員に確認を求める内容だった。当然、ぼく宛のメールなので、本人はそのことに気がつかないはずだ。毎月、数万円の利用があるカードなのだが、これからこのカードの持ち主はどうなるのだろうとひとごとながら心配になる。

フリーメールが市民権を得た結果

これらの事例から、人は自分のメールアドレスをよく覚えていないということがわかる。うろ覚えのメールアドレスを申告した結果、こうした事例が発生しているわけだ。

もし、学生諸君が就職のエントリーシートなどで、自分のメールアドレスを間違って記入するようなことがあれば、説明会などの案内がまったく届かないということになる。それで一生を棒に振るようなことが起こっていないかと心配になったりもするわけだ。エントリーシートを提出した企業からちっとも連絡がこないと思っていたら、とっくの昔に内定まで進んでいて、希望する企業に対する就活さえできなかったということにもなりかねないのだ。

昔はインターネット接続プロバイダから発行されるメールアドレスこそが信頼できるものであって、無料で取得できるフリーメールアドレスは好ましくないとされていたこともあった。だが、今では、GoogleアカウントやMicrosoftアカウントなどは、一生使えるメールアドレスとして市民権を得たといえる。就職にあたって、就活専用のメールアドレスとして新たに取得する学生諸君も少なくないのだろう。

ところが、@マークの左側の文字列は希望のものがとても取りにくい。今から新たに取得するような場合は、末尾に数字を並べたり、別の単語をくっつけたりして、ようやくユニークなものとなる。自分で考えたメールアドレスなのに、ちょっとややこしいものになってしまい、つい間違えてしまうということが起こりうる。そして、その間違ったメールアドレスが存在しなければUser Unknownで差出人にメールが戻って間違いということが判明するが、残念ながら、かなり高い確率で、そのメールアドレスは存在し、間違った相手にメールが届いてしまう。

メールアドレス間違いは自己責任

でも、そんなことは言い訳にならない。他者にメールアドレスを伝え、それが間違っていて自分が被害を被ったとしても、それは自分の責任以外のなにものでもない。社会人ならメールアドレス間違いが原因で機密情報が漏れるようなことがあった場合、企業間の訴訟問題に発展するかもしれない。

インターネットを使う限り、メールアドレスは社会と自分をつなぐ大事な要素だ。世界中で唯一の文字列なのに、それをないがしろにしてしまっては、大きなトラブルに巻き込まれるのは当然だ。

これから本格的な就活シーズンが始まるようだが、自分のメールアドレスを間違うようでは先が思いやられる。学生諸君はそのことをしっかりと頭に留めておいてほしい。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)