MicrosoftのWindows+Devices部門を率いるパヴァン・ダヴルリ(Pavan Davuluri)氏は年初、The Vergeのトム・ウォーレン氏に対し、Windowsの信頼回復に向けた取り組みの実施を予告していた。その背景には、Windows 11の品質やCopilot統合を巡るユーザーの不満の高まりがあった。
Microsoftは3月20日(米国時間)、Windows Insiderブログで、ダヴルリ氏による「Our commitment to Windows quality」を公開し、改善策の全体像を明らかにした。まず3月から4月にかけて第一弾となる改善のプレビューを開始し、その後も年間を通じてより広範な見直しを順次進める計画である。最初の変更点には、性能・信頼性・操作性の改善に加え、タスクバーのカスタマイズ拡充、標準アプリにおけるCopilot導線の整理、Windows Updateによる中断の軽減などが含まれる。
パフォーマンスと信頼性の底上げを進める
ダヴルリ氏はブログ投稿で、「パフォーマンス、信頼性、技巧(Craft)」の3つを柱に、ユーザーのフィードバックを反映したアップデートを段階的に展開する方針を明らかにした。
パフォーマンス面では、Windows自体のリソース消費を抑え、メモリ使用量のベースラインを引き下げることで、実行中のアプリにより多くのリソースを割り当てやすくする。
ダヴルリ氏は言及していないが、メモリ効率改善は昨今のメモリ不足とメモリ価格高騰への対策になると見られている。これにより、Appleが投入した「MacBook Neo」のような、限られたスペックでより安定動作するWindows 11 PCを設計しやすくなる。
また、スタートメニューなど主要な体験を支える基盤の一部をWinUI 3へ移行し、操作時の遅延低減も進める。WSL(Windows Subsystem for Linux)についても、LinuxとWindows間のファイル性能、ネットワーク互換性、初回設定体験の改善を図る。
信頼性の面では、Windows Insiderプログラム、ドライバーやアプリ、Windows Update、Windows Helloなど、OSの基盤に関わる領域を重点的に見直す。OSレベルのクラッシュ低減、BluetoothやUSB接続の安定化、カメラや音声の接続性改善、復帰動作の安定化なども対象に含まれる。
タスクバーやエクスプローラーなど日常操作を快適に
タスクバーは、Windows 11で廃止された画面上部や左右に配置する機能が復活する。これはユーザーからの要望が特に多かった機能の1つだという。より小さなタスクバーの選択肢も追加される予定で、ワークフローに合わせた細かなカスタマイズが可能になる。
エクスプローラーについては、起動時間の短縮、ちらつきの軽減、ナビゲーションや検索、ファイル操作の遅延改善を進める。検索体験は、タスクバー、スタート、ファイルエクスプローラー、設定を通じて、高速で一貫性のある体験を実現する。
ウィジェット機能は、デフォルトをより控えめな設定にし、表示内容をユーザーが細かく設定できるようにする。情報量の多さや煩雑さを抑え、必要な情報にアクセスするための機能に変えていく。
Copilotは、ユーザーにとって有用な体験に統合の範囲を集中させる。「Snipping Tool」「フォト」「ウィジェット」「メモ帳」といった標準アプリに組み込まれていたCopilot導線を削減し、AI機能をより意味のある場面に絞り込む。AI統合そのものを後退させるというより、押し出し方を再調整する動きといえる。
フィードバックの価値を引き出すWindows Insiderの改善
Windows Updateは、より予測しやすく、柔軟に制御できる仕組みへ改める。初期設定時に更新を後回しにして先にデスクトップを表示する選択肢を設けるほか、更新を伴わない再起動またはシャットダウン、より長い一時停止、通知や自動再起動の抑制などを導入する計画である。
今回のWindows 11の大規模な改善では、Windows Insiderプログラムの役割も大きい。3月20日にCanaryチャンネルでリリースされた「Windows 11 Insider Preview Build 28020.1743」および「Build 29553.1000」から、新しい「Feedback Hub」が導入された。よりコンパクトなデザインに刷新され、投稿フローの簡素化、ナビゲーション改善、公開・非公開の切り替え、スクリーンショット編集機能などが導入されている。フィードバックを送りやすくし、改善サイクルを回しやすくする。
また、Windows Insiderプログラムの各チャネルの定義をより明確にするとともに、各ビルドに含まれる機能の見通しも改善する。さらに、新たな体験をWindows Insiderにリリースする前により詳細な検証と広範なテストを実施し、より明確なアプローチで提供を開始するよう改善する計画である。


