電動キックボードや電動アシスト自転車など、マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」を展開するLuupが、3月17日に栃木県宇都宮市で小型の三輪ユニバーサルカー「Unimo(ユニモ)」の高齢者を対象にした試乗会を開催しました。

  • 三輪ユニバーサルカーのコンセプトモデル「Unimo」

    三輪ユニバーサルカーのコンセプトモデル「Unimo」

「Unimo」は2025年8月に発表されたユニバーサルデザイン車両のコンセプトモデルで、地域の協力をのもと実施される一般向けの試乗会は今回が初めてになります。

「Unimo」はLuupがアイシンと共同開発した三輪の一人乗り車両です。車道通行時の制限速度は20km/h、通行が許可された歩道では6km/hと走行し、16歳以上であれば運転免許不要で乗れる、「特定小型原動機付自転車」に区分されます。GKダイナミックスがデザインを手がけ、全長1,300mm×幅595mm×高さ1,200mm、重量約60kgと小型軽量。耐荷重は120kgで、前輪12インチ・後輪10インチ×2の三輪構造を採用しています。

  • パーキングモード時はランプがオレンジに光り、ハンドル操作ができない

    パーキングモード時はランプがオレンジに光り、ハンドル操作ができない

三輪の車両は停車時やゆっくり走行する際の安定性に優れる一方で、カーブを曲がるときにバランスをとるのが難しく、一般に二輪車のような小回りが利きません。「Unimo」はこの課題を解決するため、アイシンと東京大学名誉教授の須田義大氏の共同開発技術をベースにした「リーンアシスト制御」を搭載。車速やハンドル角度などの情報をもとに車体の傾斜角をリアルタイムに制御することで、カーブ時でも安定走行を可能にしています。

  • スマートフォン接続を前提としたデザイン。速度やバッテリー残量がデジタル表示される

    スマートフォン接続を前提としたデザイン。速度やバッテリー残量がデジタル表示される

Luup代表取締役CEOの岡井大輝氏は、宇都宮市を会場に選んだ理由として「すでにLUUPが街を走っていて、乗ってみたいと思っていただける方が多いエリアで、かつ高齢者も多い。宇都宮市にご協力をいただけたことも大きかった」と話しました。

宇都宮市では、LRTやバスなどの公共交通を降りてから目的地までの「ラストワンマイル」を埋めるための、移動手段の充実に取り組んでいます。

令和6年度からLuupを運営主体とする「宇都宮市シェアリングモビリティ事業」を展開していて、市内に185カ所以上のポートが設置されています。

今回の試乗会には、普段広場として使われている場所を提供するとともに、副市長の田中成興氏も参加。「自転車やキックボードだと不安があるお年寄りの方などの足として、Unimoには非常に期待しています」とコメントしました。

  • 商店街隣接の広場で実施された試乗会の様子

    商店街隣接の広場で実施された試乗会の様子

3月17日に3回にわたって実施された試乗会には、事前に応募していた人やたまたま通りかかった人など、各回5~6名ずつが参加しました。そのひとりで市内在住の増田良二さん(85歳)は、「慣れは必要かもしれないが、思ったよりスムーズに乗れた。普段は自動車やバスを利用しているが、交通結節点にあれば利用するかもしれない」と話しました。

空き時間に筆者自身も試乗させてもらいましたが、三輪であることを忘れるほど小回りが利いて、姿勢の制御もスムーズ。快適に走行することができました。

  • スタッフが機能説明を行ったあと、小走りになりながら走行に付き添っていた

    スタッフが機能説明を行ったあと、小走りになりながら走行に付き添っていた

参加した一人ひとりから操作性や乗り心地について、丁寧にヒアリングをしていた岡井氏は、リーンアシスト制御への反応について、「若い人の中には、自動で姿勢をアシストする機能に違和感を持つ人もいるが、高齢の方はごく自然に乗られていた。技術に支えられていることに気づかないくらい、自然に乗れるのが理想なので、とてもポジティブに受け止めています」と、手応えを感じている様子でした。

  • 参加者に直接話しを聞くLuup代表取締役CEOの岡井大輝氏。高齢者は体力などの条件も個々に異なるため、「一人一人の声が貴重」と話していた

    参加者に直接話しを聞くLuup代表取締役CEOの岡井大輝氏。高齢者は体力などの条件も個々に異なるため、「一人一人の声が貴重」と話していた

当初は「アクティブシニア」と呼ばれる60代後半〜70代後半くらいの層を想定していたそうですが、さらに高齢の参加者が乗りこなす姿を見て、「もう少し幅広い方々に乗っていただくことも視野に入れた方がいいと思いました。もっと多くの方に乗っていただけるものにできるよう努力したい」と岡井氏。Luupでは「Unimo」を高齢者だけではなく、若者も乗れる「ユニバーサルカー」として展開することを目指しています。

そのための次なるステップとして、公道での実証についても「遠くないタイミングで行いたい」と岡井氏。一方で「今のキックボードや電動アシスト付き自転車に代わるような存在になるには、まだ数年単位の時間がかかると思います」との見通しを示しました。

「ソフトウェアや制御のアップデートはすぐにできると思いますが、乗り心地を落とさずに量産に耐えうる価格まで落とせるかという調整が課題。これはグローバルでもまだ誰もできていない挑戦なので、社会実装までにはまだ数年はかかると考えています」(岡井氏)