Googleは11月27日、大学生向けGemini活用プログラム「Google AI 学生アンバサダー プログラム」の月例ミートアップ「Gemini Day for Students 11月 Meetup」を東京・渋谷のGoogle東京オフィスで開催しました。

全国から同プログラムに参加している大学生が集まり最新のAI体験や活用事例などを共有する場で、2025年11月の開催は4回目にあたります。

  • 「Gemini Day for Students 11月 Meetup」の様子。今回の現地参加者は約100名ほどだった

    「Gemini Day for Students 11月 Meetup」の様子。今回の現地参加者は約100名ほどだった

約800名が集まったGoogle AIの学生アンバサダープログラム

Googleは2025年7月15日に、大学生がGeminiをはじめとするAIツールを活用できるよう支援する長期プログラム「Google AI 学生アンバサダー プログラム」を発表。同時に、同プログラムへの参加を希望する大学生アンバサダー500名の募集も実施しました。

このプログラムでは、大学生アンバサダーとして募集した大学生および大学院生を対象に、Google AI Proを12カ月無料提供し(18歳以上の学生向け)、プロンプトスキルを体系的に学べる Google 資格認定講座「Google Prompting Essentials 日本語版コース」の無料提供や、Geminiの活用/事例ワークショップといった、約半年にわたるプログラムを提供します。

  • Google AI 学生アンバサダー プログラムの概要

    Google AI 学生アンバサダー プログラムの概要

Googleによると、500名を募集した同プログラムに対し、215大学から800名以上の学生が応募したといいます。

同社は「せっかく応募してくれたのだから」と応募者を全員参加とし、2025年8月から活動をスタート。2026年1月までをめどにミートアップを毎月実施しているほか、各大学でGeminiを活用するイベントを開催したり、DiscordでAI活用のアイデアを募集したり、学生生活に役立つ活用法を共有したりする取り組みを行っています。

この取り組みから、授業の履修要件を大学のシステムからダウンロードし、自分の取得済み単位情報を統合して不足分の単位を可視化、空き時間に履修可能な授業をGeminiに提案してもらう――といった実用的なアイデアも生まれました。

  • Google AI 学生アンバサダー プログラムの活動内容

    Google AI 学生アンバサダー プログラムの活動内容

Geminiを活用する学生のアイデア集がお披露目

今回Google東京オフィスで実施されたのは、学生が集まる2025年最後の月例ミートアップでした。同プログラムではこれまで、Discordで集まった1,000件近くのGemini活用アイデアをGoogle公式SNSや公式noteで随時公開してきましたが、今回のミートアップではこれらのアイデアを体系的にまとめた紙の冊子が完成し、そのお披露目となりました。

冊子には、就職活動に役立つ活用や、卒業旅行の旅のしおり作成、留学やスキルアップに関する学習法など、大学生の生活に役立つGemini活用法がまとめられています。なお冊子のデジタル版は「大学生のための Gemini 活用アイデア集」で確認できます。

会場ではこの冊子に掲載された多数のアイデア考案者のなかから5名の大学生アンバサダーが登壇し、生活に役立つAI用プロンプト(指示)を紹介しました。

  • 大学生のための Gemini 活用アイデア集(冊子版)。できることと、Geminiに入力するプロンプトが画像付きで紹介されている

    大学生のための Gemini 活用アイデア集(冊子版)。できることと、Geminiに入力するプロンプトが画像付きで紹介されている

研究の「最新動向」がわかるプロンプト

※調べたい論文を添付して、「ツール」から「Deep Research」を選択
添付の論文について、これを引用している「被引用件数」が5件と表示された。この5件の被引用論文を調べて

名古屋大学のMAKOTOさんはGeminiのDeep Researchを使い、添付した対象(論文など)を引用している被引用研究を調べることで、研究内容の最新動向がわかるプロンプトを紹介。情報を多角的に参照するエージェント機能・Deep Researchを使うことで、情報を効率的に探索し、研究を進める上で“今まで把握しづらかった先の動向”までつかめると話しました。論文ではなく、ガジェットの最新情報など自分の好きなジャンルにも応用できるといいます。

  • 名古屋大学のMAKOTOさんによる、研究の最新動向がわかるプロンプト紹介

冷蔵庫の残りものから新レシピを作るプロンプト

※「ツール」から「Canvas」を選択
冷蔵庫に玉ねぎ、豚バラ、にんじん、ピーマン、まいたけが少量ずつ残ってる。これらの食材をすべて使い切れる、和洋の垣根を超えた意外性のあるレシピを教えて
※「作成」から「インフォグラフィック」を選択

横浜市立大学のREIさんは、セロリやきゅうりなど冷蔵庫の余り食材から、自分のレパートリーにない“意外性”のあるレシピをGeminiに生成させるプロンプトを考案。利用者がよりインタラクティブにGeminiを使えるCanvas機能の「インフォグラフィック」により、手順を視覚化できる点もポイントです。

セロリ=洋食、きゅうり=和食といった、固定観念に縛られないレシピをAIなら生成できるとし、レシピに限らず、「意外性のある垣根を越えた何々を教えて」といった聞き方をすることで、自分の常識にとらわれない回答を得られると話しました。

  • 横浜市立大学のREIさんによる、冷蔵庫の残りものを活用するプロンプト紹介

交流に役立つ似顔絵ステッカーを生成するプロンプト

※写真を添付
私の「かわいいスタイル」のステッカーを作って。「Hello!」というセリフが入っている。デザインは、太い輪郭線、シンプルな漫画風、鮮やかな色、白い背景。

清泉女子大学のSUMIKAさんは、SNSやサークルなどでの交流時に“名前と顔が一致しない”という課題を解決すべく、好きな色や趣味など本人の特徴を取り入れたオリジナルステッカーを生成するアイデアを紹介しました。ステッカーはポップで可愛い雰囲気を出し、サークルのメンバー紹介などで顔写真を使いたくない人でも代替できます。SNSアイコンや自己紹介スライド、チャットのスタンプとしても活用可能とのこと。

  • 清泉女子大学のSUMIKAさんによる、似顔絵ステッカーを生成するプロンプト紹介

時事ニュースを絵本で理解できるプロンプト

※Gemから「Storybook」を選択して、ニュースのURLを添付
このランサム攻撃のニュースについて、中高生向けに分かりやすく解説する本を作成して
 ※特に説明してほしい内容を明記

東京理科大学のYUMIさんは、Gem(カスタマイズ版Gemini)の「Storybook」を活用し、知りたいニュース記事を絵本形式で理解しやすくするプロンプトを紹介。“中高生向け”など対象者を指定することで用語の難易度を調整し、サイバー攻撃などの複雑なトピックを視覚的にもわかりやすくまとめられます。薬学部に所属しているYUMIさんは、大学の学習でも参考文献の要約や英語論文の平易化などで日常的にGeminiを活用していると話しました。

  • 東京理科大学のYUMIさんによる、時事ニュースを絵本で理解できるプロンプト紹介

自分の強みを織り込んだ名刺を作れるプロンプト

※自分の写真をアップ
画像の人物を手書き風イラストにして
イラストを使って名刺のデザインを作成して
※入れたい情報、デザインイメージを明記

共立女子大学のSATSUKIさんは、Gemini Day for Studentsへのイベント参加をきっかけに、連絡先以上の情報を載せて“自己表現ツール”として使える名刺を作成しました。Geminiとの対話を通じて自分の強みやアピールポイントを確認し、具体的な名刺デザインや、名刺に載せるキャッチコピーに落とし込むプロセスを工夫したといいます。作成した名刺は実際にイベントで活用し、他学生と会話するきっかけになったとのこと。

  • 共立女子大学のSATSUKIさんによる、自分の特徴を伝える名刺を作るプロンプト紹介

AIの利用には注意点も。人間の代役ではなく「ベストパートナー」

自分の知りたい情報や作りたい物をAIの手助けで手軽に得られるようになる生活は便利ですが、一方でGoogleはAIを使うには責任がともなうと警鐘を鳴らしてもいます。

Google for Education マーケティング マネージャーの塙真知恵氏は、教育機関向けに提供されるGoogleツール「Google for Education」について、「学びの中で正しくAIを使ってほしい」と話しました。

  • Google for Education マーケティング マネージャーの塙真知恵氏

    Google for Education マーケティング マネージャーの塙真知恵氏

  • Googleが提唱するAIの基本原則

    Googleが提唱するAIの基本原則

教育機関のWorkspaceアカウントで使うGeminiは一般提供されているものと異なり、入力内容がAI学習に使われない(利用する組織内で完結する)ことや、Googleの最上位AIモデル(Gemini 3 Pro)を扱えること、18歳未満のユーザー向けに不適切な回答を表示しない機能があること、教育の専門家と共同構築し学習向けに最適化したモデルを組み込んだものであることなどが特徴です。

しかし、著作権・肖像権の入力に注意が必要だったり、AIの出力には偏り(バイアス)が発生したりするなど、人間が主体で情報の取り扱いを考える必要があることに変わりはなく、AIが思考の全てを担うことはできません。塙氏は「最終的な成果物には自分自身の考えを反映させてください。AIは皆さんの代役ではなく、あくまでも“ベストパートナー”だとGoogleでは思っています」と強調しました。

  • Googleの教育向けAIツール群「Gemini for Education」の特徴

    Googleの教育向けAIツール群「Gemini for Education」の特徴

  • 教育機関や学習用途でのAIは適切に使われる必要があると強調された

    教育機関や学習用途でのAIは適切に使われる必要があると強調された