米NVIDIAは5月28日(現地時間)、同社2026年度第1四半期(2025年2月〜4月)決算を発表した。米政府の中国向けAIチップ輸出規制強化が影を落とし、2年にわたり継続していた過去最高益の更新は途絶えたが、AI向けデータセンター事業が引き続き全体の成長を力強く牽引し、売上高・利益ともに市場予想を上回った。

4月期の売上高は前年同期比69%増の440億6200万ドル。GAAPベースの純利益は同26%増の187億7500万ドル、1株当たり利益は0.76ドルだった 。非GAAPベースの純利益は同31%増の198億9400万ドル、1株当たり利益は0.81ドル。H20に関連する特別損失および税効果を除いた希薄化後1株当たり利益は0.96ドルであった。市場の予想平均は、売上高433億1000万ドル、1株利益0.93ドル(非GAAP)だった。

事業部門別の売上高は以下の通り。

  • データセンター:売上高391億ドル(前年同期比73%増)
  • ゲーミング&AI PC:売上高38億ドル(前年同期比42%増)
  • プロフェッショナル・ビジュアライゼーション:売上高5億900万ドル(前年同期比19%増)
  • オートモーティブ&ロボティクス:売上高5億6700万ドル(前年同期比72%増)

データセンターの売上高は全体の約89%を占め、強いAI需要が示された。大手クラウドサービスプロバイダーが同部門の売上の半分弱を占めたという。ジェンスン・ファンCEOは、最新のBlackwellベースのAIスーパーコンピュータ「NVL72」が本格量産体制に入ったことを報告し、世界的なAIインフラ需要は引き続き極めて強いと強調した。AI推論のトークン生成量は過去1年で10倍に急増しており、ファン氏は「今後AIエージェントの普及が進めば需要はさらに加速する」と述べ、長期的な成長見通しに自信を示した。

ゲーミング&AI PCも、GeForce RTX 5070シリーズの発売により、前年同期比42%増を記録した。5月にはRTX 5060シリーズが発売され、さらにNVIDIAのSoCを搭載する「Nintendo Switch 2」の登場も控えており、今後のさらなる成長が見込まれる。

今回の決算で最も注目されたのは、大きな不確実要因となっている中国市場である。4月、米政府はH20製品を輸出規制対象に指定。これにより、NVIDIAは第1四半期にH20製品の過剰在庫と購入義務に関連して45億ドルの費用を計上することになり、これが利益の圧迫要因になった。NVIDIAは規制に対応すべく、性能をさらに抑えた中国向けAIチップの開発を進めていると報じられているが、代替製品について問われたファン氏は具体的なコメントを避けた。