米Microsoftは9月3日(現地時間)、新世代のAI機能を搭載した「Copilot+ PC」がAMDとIntelの最新プロセッサを搭載したWindows 11 PCに拡大されることを発表した。

Copilot+ PC機能は、これまでQualcommのSnapdragon X EliteおよびX Plusプロセッサを搭載したPCのみに提供されていたが、新たにAMDのRyzen AI 300シリーズやIntelのCore Ultra 200Vシリーズを搭載したPCでも利用できるようになる。Microsoftは11月にWindows Updateを通じて、対応するPCに以下のようなCopilot+ PC機能を追加する無料の機能アップデートの配布を開始する予定である。

  • リアルタイム翻訳が可能なライブキャプション
  • Windows Studioエフェクト(背景ぼかし、人物背景用ぼかし、アイコンタクト、自動フレーミングなど)
  • 「ペイント」のコクリエイター機能
  • 「フォト」のリスタイルとイメージクリエイター

11月のアップデートには含まれないが、Copilot+ PC向けのWindows 11の新機能「リコール(Recall)」のプレビューを10月にWindows Insiderプログラムで開始する。

Microsoftは今年5月、Snapdragon X Elite/Plusを発表したQualcommをローンチパートナーに「Copilot+ PC」を発表した。16GB RAM、40TOPS以上のニューラル処理装置 (NPU) をハードウェア要件とし、生成AIを活用した新たなPC体験で、生産性向上、創造性の発揮、より効果的なコミュニケーションをサポートする。

ArmベースのSnapdragon X Elite/Plusは、高いパフォーマンスと長時間のバッテリー持続時間を両立させ、モバイルノートPCの可能性を一段と広げるものになった。しかし、x86向けに作られてきたWindowsのエコシステムにおいて、Armベースのプロセッサにはまだ互換性の問題が存在する。Armネイティブ版が用意されていないアプリケーションが残されており、Microsoftはそうした非ネイティブ・アプリケーションを動作させるバイナリトランスレーションを用意しているが、その場合パフォーマンスのロスが発生する。また、バイナリートランスレーションでも一部のアプリケーションや機能は利用できない。

そのため、Copilot+ PCはこれまでSnapdragon X Elite/Plusのデメリットが問題とならないユーザーに限られていた。AMDが6月にCopilot+ PCの要件を満たすRyzen AI 300シリーズを発表し、さらにIntelが9月3日にCore Ultra 200Vシリーズを発表した。これらへのWindowsアップデートの提供により、Copilot+ PCがWindows 11のエコシステム全体に広がることになる。